KUBOTA のコメント

 消費は冷え込んで低下している.政府の意図的なインフレ政策で物価は上昇しているが,市中一般の人々の賃金は上がるどころかむしろ横ばい下降しているのが現実だ.2014年4月からの「-0.7%」の年金スライド減額も消費に直接響いている.人々の実質可処分所得が低下しているのだから消費不況になるのは当たり前だ.

 “新橋のサラリーマン100人に聞きました”のようなマスメディアの報道感覚が胡散臭い.新橋のサラリーマンなんて消費税増税の恩恵を受けている一部大きな企業の人達や公務員などにあたる確率が高いのだから,そもそもそのようなアンケートには不適だ.同じやるのなら本当の生活実態の見える下町や地方の中小都市でアンケートをするべきだろう.景気を煽る意図が見え見えだ.

 イオン・イズミヤ・イトーヨーカ堂など全国60社(9,252店舗:2014年8月21日現在)が加盟する日本チェーンストア協会の2014年7月の販売額実績が8月21日に公表された.その結果は下記の通りで前年同月比「-2.1%」となっていて,消費税増税後4ヶ月連続して前年同月比を下回る消費減少が続いていて固定化の兆しが見えている.

  2014年4月 前年同月比 マイナス ▲5.4%(平成26年5月21日発表)
  2014年5月 前年同月比 マイナス ▲2.2%(平成26年6月23日発表)
  2014年6月 前年同月比 マイナス ▲2.8%(平成26年7月22日発表)
  2014年7月 前年同月比 マイナス ▲2.1%(平成26年8月21日発表)

 マスメディアに起用される大学教授や経済学者・アナリスト・××総研・新聞などの専門家と称する多くの人々は増税前には,6月頃から経済は上向きに転じるなどと,政府に調子を合わせるかのような太鼓持ちコメントを,みんなで渡れば恐くないとばかりに,右へならえで一斉発信をしていたが,結果が出てくると,今度は「想定内」の消費減とあたかも予測していたかのような言説に変化させて来ている.まるでカメレオンだ.

 それらの人々はもはや学者でも専門家でもなく,むしろ人々を意図的にたぶらかす役割を果たす詐欺師的な人達としか言いようがない.良心に従ってまともな消費予測発言をしている人は,内橋克人氏・森永卓朗氏・金子勝氏など少数の人達で,その発言の機会も狭められて来ているようにも見える.

 むしろ最近はこのままでは7月~9月期の経済数値はマイナスとなる可能性が高いので,これまでの経済指標では「消費税10%」への再増税は人々の抵抗が大きいので,別の見方での良い経済数値をはじいて消費税10%に持ち込んだ方が良いと,安倍首相にアドバイスを送る記事さえも見かける.

 多くの人々は安倍首相に経済を良くして欲しいと期待をして支持をしていたと記憶しているが,その実際は安倍首相が進めている政策のそのほとんどが,大多数の人々の願いとは180度違う正反対の方向,不幸社会へと向いていることを,消費不況数値を契機に再認識して欲しいものだ.(2014年8月25日)

No.4 125ヶ月前

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