トヨトミ のコメント

僕も当初から孫崎さんと同様に宇都宮氏は、政策が近い細川氏と連携し候補者を一本化した方がいいのではないかと考えていました。

しかし、宇都宮氏が、これまで公開の場での政策協議を細川氏に対して再三申し入れたにも関わらず拒否された経緯を今日の会見で話しておられ、その結果を受けて宇都宮氏が立候補を堅持されたことに、一理あるなと納得しました。

いずれにしろこのお二人が立候補されるという流れになったからには、その現実を踏まえた上で、今後の選挙戦に於いて宇都宮氏が立候補されることがリベラル側にとってどのような好影響をもたらしてくれるかについて考えてました。

これまでの自民党の選挙戦略を見ていれば明らかなように、今回の都知事選でもあらゆる策を講じて「原発政策」が選挙の争点にならないよう、または争点が曖昧になるように原発推進勢力は様々な方面に圧力を掛けてくることが予想されます。

そうした状況下で、仮に脱原発を声高に訴える候補者が細川氏だけだった場合、メディアはその選挙戦の構図に関する報道の仕方として、細川氏が一人だけ少し浮いた存在であるというイメージを作り上げてしまう可能性があり、既にその徴候は見え隠れしています。
都政は原発だけが問題ではなく、他にも様々な話し合うべき課題が山積しているのに、細川氏は原発だけに固執し、都知事選論戦の本来あるべき姿を歪めている、と。

しかし、そこにもう一人の主要候補者である宇都宮氏も選挙戦を通じて脱原発を前面に打ち出して論戦を展開していく戦術を採れば、おそらくメディアの方も「脱原発」という争点を事実上無視できなくなると思うのです。

現在宇都宮氏は、原発政策だけを都知事選の争点にすべきではないというお考えをお持ちのようです。
しかし、仮に細川氏が当選した際に、堂々と「今回は都民の脱原発という意向を受けて自分は当選したのだ」と主張し、脱原発政策を展開していくことを可能にするためには、やはりどうしてもこの選挙で都民が都知事を選ぶ基準として明確に「原発政策」が見えていなければなりません。
細川氏が都政を運営していく中で強固な原子力ムラからの圧力を受けた際にも都民の民意を背景にして自分の政策を進めていくためには、原発推進派の主張する「原発がどうしても日本に必要な理由」という付け焼き刃的理屈が通用しないくらいに「脱原発という民意の追い風を受けて当選したのだ」という事実が誰の目にも明らかな状況で勝たなければなりません。そうでなければ例え細川氏が都知事になることが出来たとしても「脱原発」という目標は何の効力も持ち得ないということになってしまいます。

よって、宇都宮氏も細川氏と同じように本当に心からこの日本社会が脱原発を実現し、全く新たな社会構造を東京から世界に発信していこうと願っておられるなら、細川氏と共に脱原発という政策を前面に打ち出して是非戦って頂きたいと思いました。

宇都宮氏が主張されているように社会福祉や格差問題という課題も都政にとって大切な争点であり、あらゆるテーマに関して幅広く議論すべきだということについては理解しているつもりです。
しかし、やはり何事にも理想だけでは立ち行かない現実があり、特に原発に関して新たな展開を模索しようとすれば、周到でしたたかな戦略が必要だと思います。
かつてこの「したたかな戦略」が欠けていたために鳩山政権は半年で潰されてしまいました。
リベラル保守の勢力が本当にこの国の舵取りを担っていくべき時代にあるのなら、リベラルは、現実路線での戦略と議論が今求められていると感じます。

東京都の課題に関してまんべんなく自分の理想とすべき主張を述べたとしても、争点がぼやけてしまえば、結局何も実現できないままで既得権益を持った勢力に潰されてしまうことだって起こり得ると思います。
そうであるなら、選挙に勝ったらこの公約だけは絶対に譲らずに貫き通しますという主張をある程度絞って訴えていくべきではないかと考えます。原発政策に関しては特に。

そして、そのような選挙戦に持ち込むためには、どうしても宇都宮氏が細川氏と共に脱原発を強力に主張していくということが不可欠だという結論に至りました。
宇都宮氏が社会保障・格差社会などの問題はもちろんのこととして、常に脱原発の問題を議論すべきテーマとして提示していくことで、候補者全体の議論構成のバランスを維持しつつ「原発政策」を自然の流れの中で「中心議題」に持って行くことが出来るのではないでしょうか。

No.2 132ヶ月前

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