oldjap のコメント

靖国神社の存在は天皇の存在と似ている。私は霊魂なるものがある建造物に宿るということが理解できないので、靖国神社にお参りするという安部総理の行為は理解しない。私は戦前に父親に連れられて靖国神社に行ったこと、さらに戦後から今日まで2回訪問したが、拝礼したことはない。好奇心が主たる訪問目的であり、付属の戦争博物館である遊就館にほとんどの時間を費やしている。同じ目的で、米国のアーリントン墓地、原爆の模型などが陳列されているスミソニアン歴史博物館や、トルコのアタテュルク廟も訪問した。私は現天皇と同じ歳であり、従って昭和天皇が戦争中に日本軍の最高司令官として軍装で白馬にまたがった写真を何度も目にしている。戦後、米国は天皇を戦争犯罪人のリストから外し、また、中国の習近平主席は主席就任前に現天皇を皇居に訪問している。米中両国が安部首相の靖国神社を、歴史誤認として批判するのは、天皇に対する彼らの態度と比較すると矛盾を感じる。言っておくが、私は天皇の責任を問うべきだ、天皇制を止めよと主張するのではない。日本に周辺諸国を侵略したという事実は消し得ない事実であり、それを日本歴史の一部として日本が今後の行動に於いて自制する上で、歴史を忘れないと言う意味では靖国神社と天皇制は同等である。片方を残すならば、もう片方も残し、日本人はそれを考え続けるべきだろう。ただ、政治家が政治的配慮、負け惜しみてき思考から、靖国神社を訪問するのは、賛成できない。安部首相は、靖国訪問と言う自分の行為の影響について、責任を負う覚悟ができているだろうが、現実的にみると、その行為によって日本国民が利益を得るとは思わない。野田首相が尖閣諸島に関して取った行為が、彼の意向と関係なく、日中関係に大きな影響をもたらしたことと同様なことが起きることを予想せざるを得ない。阿部首相をいまさらとがめても、何の役にもたたない。国家は運命共同体として国民と政府をその要素として持っている。良くも悪くも国民は自己を政府から引き離すことはできない。何を言ってもむだである。今の日本人は、戦争の経験、隣国を侵略し、蹂躙したという歴史的事実が今後の精神的な支えになるどころか、大いなる迷惑として考えている。国家戦略により、戦争に駆り出された軍人たち、その家族にはお気の毒と言うしかないが、一方で、そのために国民全体が物理的な利得も受けたことも否定できない。歴史はあくまでも学び、それによって賢くなるという対象であり、それ以上に持ち上げてはならない。天皇制も同様であろう。

No.3 130ヶ月前

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