孫崎さんとの対談は私にとって非常に楽しいもので、終わってしまうのが残念なほどだった。相手の話に耳を傾け、互いの意見を楽しみ合う対談とは、とても文明的な時間の過ごし方だと思う。議論を戦わせ、まるで得点を競うスポーツのごときディベートとは違う。こうして対談を通じて本をつくることは日本独特のやり方だが、この国の良き伝統のひとつに違いない。
 不思議なことに、孫崎さんとは初対面のときから長い知り合いのように思われた。その思いは、対談を通してより強まってもいった。私たちが問題意識、日本の現状に関する危機感を共有していたことが明らかになったからだ。そして私が抱く危機感は、より独立した国家をつくろうと模索した民主党政権の試みが頓挫してしまった今、より深まっていくばかりなのである。
 この本の主題とは、奇妙かつ異常な状態が続いてきた日米関係と、真の意味で日本が米国から独立する必要性について論じることであった