独仏両国政権に対する政治不信は、トランプ政権再登板や韓国尹政権崩壊の同じ潮流だと考えている。それは、「西側の敗北」(エマニュエル・トッド)という流れの一環だ。即ち、西側の自由民主主義の行き詰まりを反映した現象であろう。さらに、日本の自公政権の少数与党転落や、イギリスの保守党惨敗もその潮流の一環と考えている。 基本的には、エリート支配の寡頭政治に対する一般庶民からの嫌気だと考えている。欧米エリート、即ちネオコン、軍産複合体、DS、EU官僚は、庶民には何の得にもならない戦争支援をすることで、あからさまに庶民を苦しめている。物価高、経済破綻である。更に人権とか自由民主主義とか、キレイゴトの移民政策により、社会不安を拡大している。 それこそが、私は西側の自由民主主義の行き詰まりだと考えている。 ドイツでは、AfD(ドイツのための選択肢)は極右とされ、主要政党からパージされているようだが、エリートによる寡頭政治反対とか、ウクライナへの支援反対=反戦を極右規定するレッテル貼りは、それ自体が西側主流政党が僭称する自由民主主義の欺瞞を暴露するものに他ならない。 興味深いのは、ドイツで左派ポピュリスト政党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)」も、「AfD同様に難民規制の強化を要求」している、ということだ。 https://www.fsight.jp/articles/-/50437 さらにこの左派ポピュリズム政党は、多極世界を受け入れた世界観を表明している。つまりは、所謂“反グローバリズム“政党としての側面を有していると思われる。そして、反戦を宣言している。以下がBSWの主張である。 -------引用ここから------- 私たちは軍事的手段による紛争解決を基本的に拒否します。私たちは、ますます多くの資源が子供たちの教育、環境に優しい技術の研究、医療施設や医療施設ではなく武器や軍事装備に流れ込んでいるという事実に反対します。核武装と核大国間の紛争の激化は人類の生存を危険にさらしており、阻止しなければなりません。私たちは、新時代の緊張緩和と、軍縮と共通の安全保障に関する新たな条約を求めます。ドイツ連邦軍は我が国を守る任務を負っています。この作業には適切な装備が必要です。私たちは国際戦争でのドイツ兵の使用や、ロシア国境や南シナ海への駐留を拒否します。 近年、その主導国が国際法に違反して5カ国を侵略し、これらの戦争で100万人以上を殺害した軍事同盟は、脅威感と防衛反応を煽り、世界的な不安定の一因となっている。地政学的目標のための権力の手段ではなく、国連憲章の原則を尊重し、軍備を強化する代わりに軍縮に努め、加盟国が対等な立場で会合する防衛同盟が必要である。欧州は安定した安全保障構造を必要としており、長期的にはロシアも含めるべきだ。 我が国には、国民の幸福を重視し、米国の利益は我が国の利益とは大きく異なるという理解に基づいた自信に満ちた政策が必要です。私たちの目標は、多極世界における主権民主主義国家の独立した欧州であり、欧州が米国と、中国とロシアを中心とする自信を強める新興勢力圏との間で押しつぶされるような新圏対立ではない。 -------引用ここまで------- https://buendnis-sahra-wagenknecht.de/ このような世界観と対照的に、旧態依然たる十年一日のごとき世界観を示したのが、日本のリベラル紙、毎日の社説であった。「独仏内閣の崩壊 欧州政治の漂流懸念する」としている。 https://mainichi.jp/articles/20241218/ddm/005/070/065000c 毎日の論調を見てみよう。 -------引用ここから------- 経済のグローバル化が進む中、格差拡大や貧困に対処できない政治への不満を、反エリートを掲げる勢力が吸い上げている。 来年1月には、ウクライナ支援の縮小を示唆し、関税強化を掲げるトランプ米政権が誕生する。欧州の負担が増えれば、国民の内向き志向に拍車がかかるだろう。 ウクライナや中東での戦争により、国際秩序が揺らいでいる。自国第一主義の風潮が強まる欧州で政治が漂流し、自由や民主主義といった規範が損なわれる事態を懸念する。 -------引用ここまで------- キーワードは、①反エリート②ウクライナ支援縮小③自国第一主義だ。これらを全て否定的に列記して、その結果、「自由や民主主義といった規範が損なわれる」と述べている。アメリカ帝国による秩序こそが、「自由や民主主義」の規範だ、と言外に言っている。 よく考えて欲しい。①②③は全て自由民主主義に必要な要素ではないのか? にも関わらず、真逆の評価をしている。驚くべき非論理、蒙昧さ、事実誤認、お花畑思考ではないか?主流メディアのあまりの洗脳されっぷりに、つけるクスリがほしい・・・、とあきれ果て、慨嘆するのみである。
チャンネルに入会
フォロー
孫崎享チャンネル
(ID:135017317)
独仏両国政権に対する政治不信は、トランプ政権再登板や韓国尹政権崩壊の同じ潮流だと考えている。それは、「西側の敗北」(エマニュエル・トッド)という流れの一環だ。即ち、西側の自由民主主義の行き詰まりを反映した現象であろう。さらに、日本の自公政権の少数与党転落や、イギリスの保守党惨敗もその潮流の一環と考えている。
基本的には、エリート支配の寡頭政治に対する一般庶民からの嫌気だと考えている。欧米エリート、即ちネオコン、軍産複合体、DS、EU官僚は、庶民には何の得にもならない戦争支援をすることで、あからさまに庶民を苦しめている。物価高、経済破綻である。更に人権とか自由民主主義とか、キレイゴトの移民政策により、社会不安を拡大している。
それこそが、私は西側の自由民主主義の行き詰まりだと考えている。
ドイツでは、AfD(ドイツのための選択肢)は極右とされ、主要政党からパージされているようだが、エリートによる寡頭政治反対とか、ウクライナへの支援反対=反戦を極右規定するレッテル貼りは、それ自体が西側主流政党が僭称する自由民主主義の欺瞞を暴露するものに他ならない。
興味深いのは、ドイツで左派ポピュリスト政党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)」も、「AfD同様に難民規制の強化を要求」している、ということだ。
https://www.fsight.jp/articles/-/50437
さらにこの左派ポピュリズム政党は、多極世界を受け入れた世界観を表明している。つまりは、所謂“反グローバリズム“政党としての側面を有していると思われる。そして、反戦を宣言している。以下がBSWの主張である。
-------引用ここから-------
私たちは軍事的手段による紛争解決を基本的に拒否します。私たちは、ますます多くの資源が子供たちの教育、環境に優しい技術の研究、医療施設や医療施設ではなく武器や軍事装備に流れ込んでいるという事実に反対します。核武装と核大国間の紛争の激化は人類の生存を危険にさらしており、阻止しなければなりません。私たちは、新時代の緊張緩和と、軍縮と共通の安全保障に関する新たな条約を求めます。ドイツ連邦軍は我が国を守る任務を負っています。この作業には適切な装備が必要です。私たちは国際戦争でのドイツ兵の使用や、ロシア国境や南シナ海への駐留を拒否します。
近年、その主導国が国際法に違反して5カ国を侵略し、これらの戦争で100万人以上を殺害した軍事同盟は、脅威感と防衛反応を煽り、世界的な不安定の一因となっている。地政学的目標のための権力の手段ではなく、国連憲章の原則を尊重し、軍備を強化する代わりに軍縮に努め、加盟国が対等な立場で会合する防衛同盟が必要である。欧州は安定した安全保障構造を必要としており、長期的にはロシアも含めるべきだ。
我が国には、国民の幸福を重視し、米国の利益は我が国の利益とは大きく異なるという理解に基づいた自信に満ちた政策が必要です。私たちの目標は、多極世界における主権民主主義国家の独立した欧州であり、欧州が米国と、中国とロシアを中心とする自信を強める新興勢力圏との間で押しつぶされるような新圏対立ではない。
-------引用ここまで-------
https://buendnis-sahra-wagenknecht.de/
このような世界観と対照的に、旧態依然たる十年一日のごとき世界観を示したのが、日本のリベラル紙、毎日の社説であった。「独仏内閣の崩壊 欧州政治の漂流懸念する」としている。
https://mainichi.jp/articles/20241218/ddm/005/070/065000c
毎日の論調を見てみよう。
-------引用ここから-------
経済のグローバル化が進む中、格差拡大や貧困に対処できない政治への不満を、反エリートを掲げる勢力が吸い上げている。
来年1月には、ウクライナ支援の縮小を示唆し、関税強化を掲げるトランプ米政権が誕生する。欧州の負担が増えれば、国民の内向き志向に拍車がかかるだろう。
ウクライナや中東での戦争により、国際秩序が揺らいでいる。自国第一主義の風潮が強まる欧州で政治が漂流し、自由や民主主義といった規範が損なわれる事態を懸念する。
-------引用ここまで-------
キーワードは、①反エリート②ウクライナ支援縮小③自国第一主義だ。これらを全て否定的に列記して、その結果、「自由や民主主義といった規範が損なわれる」と述べている。アメリカ帝国による秩序こそが、「自由や民主主義」の規範だ、と言外に言っている。
よく考えて欲しい。①②③は全て自由民主主義に必要な要素ではないのか?
にも関わらず、真逆の評価をしている。驚くべき非論理、蒙昧さ、事実誤認、お花畑思考ではないか?主流メディアのあまりの洗脳されっぷりに、つけるクスリがほしい・・・、とあきれ果て、慨嘆するのみである。