尹大統領の戒厳令発令~撤回騒動は、まさに「政治的自殺」だろう。それは間違いない。では、この背景はなんなのか?あまりにも唐突な事態故に、様々な推察や憶測を呼ぶのは仕方ない。 注目点はアメリカ帝国の関与の有無。この点について、田中宇氏は次のような見解を示した。 -------引用ここから------- 尹が戒厳令を発案して米国に打診したというより、米国側が尹をそそのかして戒厳令をやらせた可能性の方が高い。尹の方から打診する場合、米国側が断ったら、米上層部における尹の信頼が揺らいでしまう。尹の方から打診する可能性は低い。米国側が持ちかけたと考えるのが自然だ。 尹は、自政権の金龍顕・国防相からそそのかされて戒厳令を発したという話もあるが、そうだったとしても、米国に事前に相談して了承を得ないと戒厳令はやれない。 -------引用ここまで------- アメリカ帝国の了承なしに、戒厳令発令はあり得ない、と。 Moon of Alabamaはアメリカ帝国の関与を推測している点は田中氏と同様の見解である。が、アメリカ帝国が唆したのではなく、あくまで尹大統領側が発案しただろうことを示唆している。「(駐韓国米国大使)ゴールドバーグとワシントンDCはユン氏の戒厳令計画について知らされていたが、それを阻止しようとはしなかった可能性が高い。」 https://www.moonofalabama.org/2024/12/south-korea-majority-wins-as-presidents-putsch-fails.html#more さて、両氏ともにアメリカ帝国の関与では一致しているが、では、なんのためにアメリカ帝国は、戒厳令発令という唐突な暴挙を教唆又は黙認したのか? この点はMoon of Alabamaには説明がないが、田中宇氏は次のように説明している。 https://tanakanews.com/241205korea.htm -------引用ここから------- この流れの背景にはおそらく、トランプが就任後、1期目にやった北朝鮮の金正恩との対話を再開し、韓国と北朝鮮の和解をトランプが仲裁し、朝鮮半島を緊張緩和し、在韓米軍を撤退する流れを計画していることがある。 この計画の中で、韓国の大統領が尹のままだと、北との和解を拒否しかねず、南北対話が進まない。今回、尹を戒厳令騒動で自滅させ、来年早々、トランプ就任後ぐらいに韓国も大統領選挙をやって「共に民主党」が大統領と議会の両方を握る与党になる。 トランプは、南北和解に積極的になった韓国の新政権を取り込みつつ金正恩との対話を再開し、南北を和解させて朝鮮半島の米国覇権を放棄しようとしている。諜報界のリクード系は、中東や欧州だけでなくアジアでも、トランプが対立抑止と覇権放棄の功績を成功できるよう、協力している。これが私の推測だ。 -------引用ここまで------- このドタバタ劇が、田中氏の推測のようにトランプ2.0後の朝鮮半島の緊張緩和の流れの一環ならば、好ましいと思う。その点では、尹大統領の政治生命は終わったと言わざるを得ないから、次の韓国大統領はどのような人物になるのか?野党の対北朝鮮融和路線が更に鮮明になるか?この点に加えて、トランプ大統領就任後、金正恩と対話するのか、今後の成り行きを注目したい。 一方で、ロシアの目線では、野党の考え方は親EUとか、グローバリスト系に見えるのだろうか?コンスタンチン・アスモロフ氏の論評にある「民主党は北朝鮮を優先しているため、ロシアと中国を「犠牲」にする可能性がある。」とは、そうでもないように思われるのだが・・・。というのも、韓国最大野党、共に民主党は「ウクライナに武器を供与する問題に関しても「他国の戦争に攻撃武器を提供すれば戦争に介入することではないか」として、「あり得ない」と強調した。」とのことだから、グローバリズム勢力とは一線を引いている。 https://news.yahoo.co.jp/articles/11228e7b6eaaa556cb27205372063d21cb61c722
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尹大統領の戒厳令発令~撤回騒動は、まさに「政治的自殺」だろう。それは間違いない。では、この背景はなんなのか?あまりにも唐突な事態故に、様々な推察や憶測を呼ぶのは仕方ない。
注目点はアメリカ帝国の関与の有無。この点について、田中宇氏は次のような見解を示した。
-------引用ここから-------
尹が戒厳令を発案して米国に打診したというより、米国側が尹をそそのかして戒厳令をやらせた可能性の方が高い。尹の方から打診する場合、米国側が断ったら、米上層部における尹の信頼が揺らいでしまう。尹の方から打診する可能性は低い。米国側が持ちかけたと考えるのが自然だ。
尹は、自政権の金龍顕・国防相からそそのかされて戒厳令を発したという話もあるが、そうだったとしても、米国に事前に相談して了承を得ないと戒厳令はやれない。
-------引用ここまで-------
アメリカ帝国の了承なしに、戒厳令発令はあり得ない、と。
Moon of Alabamaはアメリカ帝国の関与を推測している点は田中氏と同様の見解である。が、アメリカ帝国が唆したのではなく、あくまで尹大統領側が発案しただろうことを示唆している。「(駐韓国米国大使)ゴールドバーグとワシントンDCはユン氏の戒厳令計画について知らされていたが、それを阻止しようとはしなかった可能性が高い。」
https://www.moonofalabama.org/2024/12/south-korea-majority-wins-as-presidents-putsch-fails.html#more
さて、両氏ともにアメリカ帝国の関与では一致しているが、では、なんのためにアメリカ帝国は、戒厳令発令という唐突な暴挙を教唆又は黙認したのか?
この点はMoon of Alabamaには説明がないが、田中宇氏は次のように説明している。
https://tanakanews.com/241205korea.htm
-------引用ここから-------
この流れの背景にはおそらく、トランプが就任後、1期目にやった北朝鮮の金正恩との対話を再開し、韓国と北朝鮮の和解をトランプが仲裁し、朝鮮半島を緊張緩和し、在韓米軍を撤退する流れを計画していることがある。
この計画の中で、韓国の大統領が尹のままだと、北との和解を拒否しかねず、南北対話が進まない。今回、尹を戒厳令騒動で自滅させ、来年早々、トランプ就任後ぐらいに韓国も大統領選挙をやって「共に民主党」が大統領と議会の両方を握る与党になる。
トランプは、南北和解に積極的になった韓国の新政権を取り込みつつ金正恩との対話を再開し、南北を和解させて朝鮮半島の米国覇権を放棄しようとしている。諜報界のリクード系は、中東や欧州だけでなくアジアでも、トランプが対立抑止と覇権放棄の功績を成功できるよう、協力している。これが私の推測だ。
-------引用ここまで-------
このドタバタ劇が、田中氏の推測のようにトランプ2.0後の朝鮮半島の緊張緩和の流れの一環ならば、好ましいと思う。その点では、尹大統領の政治生命は終わったと言わざるを得ないから、次の韓国大統領はどのような人物になるのか?野党の対北朝鮮融和路線が更に鮮明になるか?この点に加えて、トランプ大統領就任後、金正恩と対話するのか、今後の成り行きを注目したい。
一方で、ロシアの目線では、野党の考え方は親EUとか、グローバリスト系に見えるのだろうか?コンスタンチン・アスモロフ氏の論評にある「民主党は北朝鮮を優先しているため、ロシアと中国を「犠牲」にする可能性がある。」とは、そうでもないように思われるのだが・・・。というのも、韓国最大野党、共に民主党は「ウクライナに武器を供与する問題に関しても「他国の戦争に攻撃武器を提供すれば戦争に介入することではないか」として、「あり得ない」と強調した。」とのことだから、グローバリズム勢力とは一線を引いている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/11228e7b6eaaa556cb27205372063d21cb61c722