台湾海峡を軍艦が通過できるかは、海洋法条約と国際慣習法との問題であり、厳密には台湾の領有権の問題ではない。津軽海峡も国際海峡だ。この件で中共がなんてコメントしているか、よく分析するべきだし、みずからに理がないときに、しばしば言葉や行動が暴力的になる国だということもおもいだすべきだ。 航行権は、田中角栄と周恩来とのあいだで結ばれた「日中共同声明」に別に違反しないのだ。 === 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する === むしろ、日中共同声明では、 === 両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく === とあるが、国際裁判結果を平気で無視し、フィリピンに軍事紛争をしかけている中共のほうが、日中共同声明に違反している可能性がある。 欧米が「航行の自由」にこだわるのも、結局のところ、ここで中共の横暴をゆるせば、台湾から東南アジア全体が中共の勝手にできる勢力圏にはいってしまい(九段線、十段線)、これが日本やインドやオーストラリアなどの周辺諸国だけでなく、欧米の利益にぶつかるからだ。だけでなく、フィリピン、ベトナム、インドネシア等々の東南アジア諸国にとっても、不利益になることだろう。いまでも中共はこの地域で自由に商売しているが、この地域が中共の勢力圏となれば、ほしいままに周辺諸国や欧米を追い出すだろう。 こういうことがまるでわかってないヒトビトもいるようだ。 ただ、世界史的な構図で考えれば、覇権に挑戦する新たな覇権というわけで、どっちが正しいと議論してもあまり意味はない。 ところで、昨日は中露の部品やソフトウェアを用いた connected car の米国への輸入を禁止するというニュースが流れた。これは日本や韓国の自動車メーカーも無関係ではいられない。きょうは、マイクロンが莫大な利益をあげているというニュースが流れている。中共の不動産バブル崩壊は底が見えず、国内消費は低迷、カンフル剤を打ったようだが、一時的なものに終わるだろう。 ヒトビトは、BRICSやら「グローバルサウス」に期待しているらしいが、その中核は中露であったはずであり、いまや露は中共の臣下、そしてその中共は、今後当分のあいだ、BRICSやら「グローバルサウス」の輸出を消費できるだけの生産をしても、クルマを米国に輸出できなくなる状況だし、国内消費は惨憺たる状況だ。 それでも、中共につきたいのなら、いまの高齢者は医療や介護をあきらめるべきだ。しばらく前に説明したが、高齢者福祉支出は今後毎年3兆円増え、15年後は50兆円くらい増えるといわれている。物価があがれば、額面はさらに増えるだろう。日本が経済成長する以外にこれをまかなう方策はない。 もしかしたら、30年後くらいは中共が覇権国になるから、そのとき米国につくのをやめるかは、われわれ今の現役世代が考えます。 今の高齢者からは、政府軍と戦う前に足手まといを恐れて自害した会津の高齢武士のような覚悟がまったく感じられない。もっとよこせというばかりで、これで米国と戦えるはずがない。
チャンネルに入会
フォロー
孫崎享チャンネル
(ID:13458971)
台湾海峡を軍艦が通過できるかは、海洋法条約と国際慣習法との問題であり、厳密には台湾の領有権の問題ではない。津軽海峡も国際海峡だ。この件で中共がなんてコメントしているか、よく分析するべきだし、みずからに理がないときに、しばしば言葉や行動が暴力的になる国だということもおもいだすべきだ。
航行権は、田中角栄と周恩来とのあいだで結ばれた「日中共同声明」に別に違反しないのだ。
===
中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する
===
むしろ、日中共同声明では、
===
両国のいずれも、アジア・太平洋地域において覇権を求めるべきではなく
===
とあるが、国際裁判結果を平気で無視し、フィリピンに軍事紛争をしかけている中共のほうが、日中共同声明に違反している可能性がある。
欧米が「航行の自由」にこだわるのも、結局のところ、ここで中共の横暴をゆるせば、台湾から東南アジア全体が中共の勝手にできる勢力圏にはいってしまい(九段線、十段線)、これが日本やインドやオーストラリアなどの周辺諸国だけでなく、欧米の利益にぶつかるからだ。だけでなく、フィリピン、ベトナム、インドネシア等々の東南アジア諸国にとっても、不利益になることだろう。いまでも中共はこの地域で自由に商売しているが、この地域が中共の勢力圏となれば、ほしいままに周辺諸国や欧米を追い出すだろう。
こういうことがまるでわかってないヒトビトもいるようだ。
ただ、世界史的な構図で考えれば、覇権に挑戦する新たな覇権というわけで、どっちが正しいと議論してもあまり意味はない。
ところで、昨日は中露の部品やソフトウェアを用いた connected car の米国への輸入を禁止するというニュースが流れた。これは日本や韓国の自動車メーカーも無関係ではいられない。きょうは、マイクロンが莫大な利益をあげているというニュースが流れている。中共の不動産バブル崩壊は底が見えず、国内消費は低迷、カンフル剤を打ったようだが、一時的なものに終わるだろう。
ヒトビトは、BRICSやら「グローバルサウス」に期待しているらしいが、その中核は中露であったはずであり、いまや露は中共の臣下、そしてその中共は、今後当分のあいだ、BRICSやら「グローバルサウス」の輸出を消費できるだけの生産をしても、クルマを米国に輸出できなくなる状況だし、国内消費は惨憺たる状況だ。
それでも、中共につきたいのなら、いまの高齢者は医療や介護をあきらめるべきだ。しばらく前に説明したが、高齢者福祉支出は今後毎年3兆円増え、15年後は50兆円くらい増えるといわれている。物価があがれば、額面はさらに増えるだろう。日本が経済成長する以外にこれをまかなう方策はない。
もしかしたら、30年後くらいは中共が覇権国になるから、そのとき米国につくのをやめるかは、われわれ今の現役世代が考えます。
今の高齢者からは、政府軍と戦う前に足手まといを恐れて自害した会津の高齢武士のような覚悟がまったく感じられない。もっとよこせというばかりで、これで米国と戦えるはずがない。