p_f のコメント

RT 1 Nov, 2023

世界の大多数はイスラエル・パレスチナ紛争における西側の偽善にショックを受けている
https://www.rt.com/news/586380-global-majority-is-shocked/

北米と西欧の現在の指導者たちは、自分たちの繁栄を支えたシステムを破壊している-

ティモフェイ・ボルダチェフ記
バルダイクラブ プログラムディレクター

我々ロシア人は、「グローバル・マジョリティ」という概念を好んで使う。グローバル化の主要な流れに自国の発展を連動させながら、公正な国際秩序について自国の意見を表明できる世界の国々のことだ。これまでは、この考え方はかなり控えめに表明されてきた。それは、西側が主導的な役割を果たしていただけでなく、ある時点までは、誰にとっても比較的良好な関係を築くことができた関係システムに、我々が共通して参加していたからである。しかし、最近の出来事、とりわけ中東の危機は、世界の大半の国々によって米国と西欧の政策に対する認識に新たな章を開かせ、以前の世界秩序への回帰を不可能にする新たな条件を作り出すかもしれない。

イスラエルの対決的な政策は、現代世界の大国であるロシア、米国、中国を直接脅かすものではない。しかし、西側が選択した立場の特定の特徴が、国際社会の目から見た米国とその同盟国の信頼性に与える悪影響を過小評価するのは短絡的だろう。これは、将来の国際秩序が形成される条件がより複雑になっていることを意味する。世界の多数派の国々、特にイスラム諸国が、米国の敵対国や欧州の同盟国の行動、そして最も重要なことだが、これら全てが国際政治に及ぼす影響について、どのように評価する可能性があるかを要約してみよう。

最近、多数派の国々の仲間たちと議論した結果、米国の行動を最も簡潔に特徴づけるものは、単純な言葉で言い表せる: 西側は自らのこれまでの成果を破壊している―この評価の論拠は次のようなものだ: ここ数日、ガザに包囲されたパレスチナ人を支援するデモの波が世界を覆っている。西側の指導者たちは、イスラエルを全面的に支持し、如何なる手段も厭わないというお決まりの声明をマントラのように繰り返しているが、彼らの国の国民も、勿論イスラム諸国の国民も、一方的な暴力的解決に抗議している。このような平和的かつ今のところ数少ない行動は、ホワイトハウスと その欧州の支持者たちの近視眼的な政策に直面する中で生まれつつある、より複雑なプロセスの前兆と考えるのが妥当だろう。

世界の多数派の国々の我々の同僚が懸念している最も重要なことは、過去数年で事実上消え去った幾つかの物語が、再び議題に上っていることである: イスラム教徒の苦しみや彼らを戦争や紛争で破壊してきた主な責任は米国と旧世界のキリスト教諸国にあり、また、米国と係る諸国は発展途上国の経済危機、飢餓、失業につながる対立を引き起こしている。

西側に対するこのような認識の出現は、西側の道徳的権威を強化するために近年行われてきた多大な外交努力を完全に覆すものである。EUの外交政策責任者であるジョセップ・ボレルが、「庭園」や「ジャングル」について述べたことなど気にする必要はない。

米国と西欧がグローバル市場経済の発展に多大な貢献をしてきたことは誰も否定しない。しかし今、我々が耳にした評価からわかるように、彼ら自身が自らの成果を台無しにしようとしている。世界人口の大部分は、政治エリートたちの限りない皮肉と二枚舌を確信するようになっているが、自慢の自由民主主義体制は この政治エリートを権力の頂点に据えているのである。現在の運命の支配者たちは、現下の選挙情勢と、それが自分たちの出世欲にどのような影響を及ぼすかを懸念するあまり、国際関係における信頼の構築とグローバル・レベルでの利害の調整という、過去数年間の多大な成果を投げ捨てることを躊躇わない。

米国や西欧の外交官、政府、公的機関が、イスラム諸国における様々な社会開発プログラムを支援し、宗教間の寛容を確立し、人権を保護し、文明世界のその他の価値を促進するために、どれほどの労力を費やしてきたかを覚えている人は、今では殆どいないだろう。ここ数週間の単純な政治的駆け引きの結果、少なくともテロの脅威が増大したことは、米国をはじめとする各国当局が国民に発した数々の警告によって確認されている。極端な二極化の状態と、宗教的な理由による市民の見方の持続的な過激化が、時代の風潮になることは確実だ。

将来的には、中東での軍事衝突に西側が直接関与する可能性もあり、全ての参加者にとって非常に血なまぐさいものになる危険性がある。宗教的急進主義や過激主義の挑戦に特に敏感なイスラム諸国に住み、働いている同僚たちよりも、我々ロシア人は、起こりうる新たな分断の危険性をあまり認識していないことに注意しなければならない。

従って、米国、ひいてはEUによるイスラエルへの強力な支援政策は、中東和平への脅威であるだけでなく、多くの国家における緊張の原因となる可能性がある。

グローバル・マジョリティのもう一つの関心事は、現在の緊迫した世界情勢が、もはや誰にも平然と軍事力を行使すること―遠くはない過去と同じように―を許さなくなることである。係る過去には、それでも世界の大国が互いの「レッドライン」を認識し、相手を尊重していた。ウクライナ紛争の進展は、無制限かつ公然の武力行使を伴うものであり、かつての敵対国同士の平和的共存の構築という点で人類史上最も成功した章の一つに終止符を打った。数十年にわたる武器不拡散メカニズムの構築、共通の管理措置や信頼醸成措置の実施の成果は、失われただけでなく、回復不可能なものとなった。殆どの国は、基本的な開発目標の実現を、冷戦後に出現した国際的な現実と結びつけて考えていた。それは今やユートピアのように思える。そして、この失われた経験は、新しい世代の外交官や軍人の訓練において評価されることになる。

世界中の主要な西側メディアが自己検閲的な報道を行い、ソーシャルメディア サイトでは内容が厳しく管理されていることに、大きな当惑を覚える。表現の自由を巡って厳しい苦難や外部からの批判に晒されている国々は、ウクライナやイスラエルの紛争を報道する際の基準について、まともな言葉を見つけるのが難しいことがある。国際舞台における西側の現在の集団的政策は、かつて驚異的な成功を収めたソフトパワーを益々損ないつつある。非伝統的な価値観を積極的に推進する西側のファッションや映画産業の世界は、今や殆どの国で関心を集めることが少なくなっている。アメリン・ドリームとハリウッドは、熱狂を呼び起こすどころか、今やしばしば拒絶と誤解を引き起こす。ワシントン主導の西欧の「主流派」もまた地歩を失いつつある。

世界は、西側自体の益々多くの一般市民が、海の向こうや自国の役人たちが自分たちの幸福をどれほど気にかけているのかを問うていることを目の当たりにしている。右翼・左翼勢力の台頭と中道政党の完全な失敗は、現状に対する反発の高まりを物語っている。

莫大な犠牲と疲弊した競争、長期計画によって得られた20世紀の成功は、21世紀初頭の20年間で忘れ去られた。

国際政治における成果の このような無駄な散逸は、旧体制から最も多くの恩恵を受け易かった西側の急速な破産に繋がっている。

このような安定とその恩恵の浪費は、グローバル・マジョリティーの国々には耐えられないし、好ましくない。また、西側が同時にテロの脅威に直面し、中東での熱い紛争に巻き込まれ、影響力のある世界の大国グループと地政学的・地経済的に対立しているような状況は、西側の大衆を興奮させるとは思えない。

新たな世界秩序の構築がどのような方向に進んでいるのか、考えるべき時期に来ている: これは世界の大多数の国々の関心事であり、既存のルールや規範を破壊しようとするのではなく、国際的安定の基礎として尊重されることを望んでいる。そして我々ロシアは、西側の敵対者以上に、こうしたアプローチを考慮しなければならない。

No.6 12ヶ月前

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