中庸左派 のコメント

>イスラエルの軍事的初期勝利の後には、ハマスの復活を阻止し、穏健な代替勢力の台頭を可能にするための継続的な努力が続けられなければならない。言い換えれば、イスラエルは持続可能な解決策をもたらすためにパレスチナと地域の当事者を結集する方法を見つけなければならない。

 率直な印象では、旧来的思考しか出来ていない、元イスラエル軍の高官が書いた論文の域を出ない印象である。私から見れば、イスラエルは建国以来、「戦争を続けてきた国」である。それは建国そのものの不自然に負うのだろうし、パレスチナ人の虐殺やアパルトヘイト政策を続けてきた責であろう。

 イスラエル人右派勢力によるヨルダン川西岸地区への入植の問題に全く、触れていないことも、違和感を禁じ得ない。

https://www.972mag.com/wadi-siq-settler-army-torture-expulsion-palestinians/

>バイデン米国大統領は二国家解決への期待を表明しているが、現在の状況ではそのビジョンは手の届かないものであるように思われる。

 入植者問題、即ちイスラエルによる侵略植民地支配問題に触れることなく、その非を認めずに、二国家解決を否定するということは、パレスチナ人を追い出すということではないか。

 そのことが、更に根深い対立を招くかもしれないということに、想像力はないのだろうか?

 私には、この元軍人の言説は永遠に同じ悲劇を繰り返す、さながらイスラエルの「無間地獄」みたいなハナシをしているようにしか、思えない。

>イスラエルは軍事力を行使するだけでなく、地域や世界のパートナーとの関係を育成・強化し、中東における米国主導の安全保障体制を推進し、行き詰まったパレスチナ人との紛争を打開するための大胆な新たな道を模索する必要があるだろう。

 しかし、大前提にあるのは、ハマスを軍事力により壊滅させる武断的戦略であろう。「地域や世界のパートナーとの関係を育成・強化し」という文言が虚しく響く。では、今、日々繰り返されている民間人虐殺をどう説明するのか?世界中がイスラエルとアメリカ帝国ら西側の姿勢に非難の目を向けている。

 アメリカ帝国の覇権低下や西側のルールによる秩序の欺瞞に世界が批判の目を向けていることも重要な変化である。一方、イスラム圏の和解と結束が進んでいる。そうした中で、旧来型の政策をイスラエルが維持できる条件は無くなったのではないか?

『国連人権高等弁務官事務所ニューヨーク事務所長からの手紙』というものを読んだ。

 国連人権高等弁務官ニューヨーク事務所のクレイグ・モカイバー所長が、国連のパレスチナ政策に抗議して辞表を提出した際のものとのことだ。

https://aurdip.org/en/resignation-letter-from-the-director-of-new-york-office-of-un-high-commissioner-of-human-rights/

 この中で、重要なポイントを10点あげているが、その中の2つを引用する。

「私たちは、これが単に土地や宗教をめぐる紛争であるかのように装うことをやめ、不釣り合いなほど強大な国家が、民族性を理由に先住民族を植民地化し、迫害し、土地を奪っているという現実を認めなければならない。」

「米国をはじめとする西側諸国は、実際には信頼できる調停者ではなく、パレスチナ人の権利侵害にイスラエルと共謀している実際の紛争当事者であることを認識しなければならない。」

 即時停戦、即ち問われているのは、イスラエル側による虐殺とアパルトヘイトの停止である。

No.2 12ヶ月前

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