りゃん のコメント

今回記事について書こうとおもったが、昨日の記事を読んで、「とわの庭」について書いているひとがいたので、
わたしも感想を書いてみようと思う。今回記事と直接は関係ないが、まったく関係ないわけではない。
この文庫本は、孫崎さんの記事が出た日に帰りの本屋で買い(小川糸ならはずれではないだろうとおもって買った)、
翌日までに読んでいた。



以下、ネタバレがあるので、困るヒトは読まないでください。


「とわ」は物語の最初では小さい少女で、母親から虐待を受けている。
しかしそれが虐待だとわからないくらい、無力で母親に頼るしかない存在だ。

わたしは20ページくらい読んだところで、最後にはすべてを知った「とわ」が、そのとき母親を赦すかどうかが描かれるだろうなと感じつつ、
さらに読み進めた。

途中で、いろいろな出来事がおきるのだが、読み進めるにつれ、最後には母親を赦すだろうなとの
確信が広がっていった。そのほうがお話としてのすわりが良い感じに、いろいろな出来事が描かれているのだ。
そして実際最後には母親を赦した。

この小説では描かれている出来事はほぼほぼ「とわ」視点であり、第三者視点の種明かし的描写もあるが、
深く読もうとおもえば、真実はどうであったのかを読者が少し補う必要がある。その補いの結果もふまえつつ、
「とわ」は正直に心情を語っていると読むのが普通の読み方であろうし、「とわ」がいわゆる
Unreliable narrator だと考えて、さらにいろいろ想像するのも楽しい。
テーマは「わたしを離さないで」にも通じるものがある。

以上が小説を読んでのベーシックな感想だが、やはり実人生で似たようなことがあった場合、赦せるか、という問題も
考えざるを得ない。それはまさに各自各様であろう。同じ父親の横暴を見て育っても、親を赦す兄もいれば、赦せない弟もいるのだ。

そしてまた、わたしとしてはプーチンのこども連れ去りを考えざるを得ない。
ウクライナ大衆のこども連れ去りの件で、プーチンには国際刑事裁判所から逮捕状が出ている。
一部のこどもはウクライナに取り戻されているが、取り戻されていないこどもも多いとみられている。
それは虐待だ。
ロシア側にとって理想的に育った場合、そのこどもはロシア人として育てられ、ロシアの観点に立った教育を与えられ、
最後にはウクライナ人を憎むようになるであろう。立派なロシア人の誕生だ。
しかしウクライナ人を憎むようになったこどもが、ある日、自分はウクライナのこどもで、ロシアに連れ去られたことを知ったら、
かれらはロシアを赦すだろうか。

No.9 14ヶ月前

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