中庸左派 のコメント

 若い頃は様々なことに不安や心配は尽きなかった。若い頃は好むと好まざると、挑戦の連続であるから。

 仕事、結婚、子育て、ドンドン未知なる状況が押し寄せてきた。

 カベを感じ、眠れない夜も多々あったと思う。

 どのように乗り越えてきたか、決定的な処方箋のようなものは思い浮かばない。忘れてしまったことも多いだろう。

 その都度、当たり前の日常をどうにか、こうにか続けてきただけだったように思う。実際、凡夫にはそれ以外、できようもない。

 時々、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と念仏を唱えて、自分を慰め、落ち着かせることもあった。

 そんな中でも、良書に出会うことは人生を生き抜く一助になると信じている。と言っても、若い頃に読んだ本の内容は忘却の彼方であって、一節のどの部分に救われたのか、あやふやである。だが、何か救われた印象が残っているから、記憶に残っている本がいくつかある。

 思いつくままに、列記してみる。岸田秀氏の『ものぐさ精神分析』。河合隼雄氏の『こころの処方箋』。これらは駆け出しの頃に読んでいた。

 中年になると、上田閑照氏の『私とは何か』。この本にあった「私は、私ならずして、私である」という哲学は、今でも味わい深く思い返す。森田正馬氏の『神経衰弱と強迫観念の根治法』には、本当に助けられた。

 上記以外にも、折々に政治、経済、社会、哲学、思想、等読んだ本の分野は多岐にわたるが、私が折れそうな時に読んだ本という点では、上記が真っ先に思いついた。

 今は、新しいことにチャレンジすることもなく、日々ルーティンをこなすのみで気楽になった。夜寝なくても平気である。2〜3時間寝ればスッキリする。だから、体も楽である。

 この意味で、年を重ねるのは悪くない、とシミジミ思っている。若い頃に出来なかったことを、自分のペースでノンビリやれれば、それで十分である。

No.5 13ヶ月前

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