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RT 29 Jun, 2022

西側の無益な愚行―対ロ制裁が過去も未来もうまくいかない理由
https://www.rt.com/news/557972-sanctions-against-russia-not-work/

ロシア人は西側の経済対策の影響を感じているが、耐えられないほどではない-

RT編集部 ユリア・ボコワ 記

ロシア経済は現在、米国を筆頭とする国々から前例のない圧力を受けており、1万件以上の制裁措置が国や国民、企業に課せられている。

これほど大量の罰則が一国に課されたことは かつてなかった。長年に亘り西側諸国の地政学的サンドバッグとなってきたイランでさえ、約3,600件に「過ぎない」のだ。

ロシアへの制裁圧力は、経済の主要部門であるエネルギー、軍産複合体、金融部門が標的となった2014年以降、強まっている。それ以来、国民は制裁にまつわる悲惨な予測と、制裁実施の目に見える結果を区別することを学んだ。2015年には約60%のロシア人が制裁が自分たちの生活に何の影響も与えていないと考えていたが、2020年にはほぼ90%が影響を感じないと答えた。要するに、人々は適応し、脅威に慣れたのだ。失業率は上昇せず、歴史的な低水準にとどまった。低インフレのおかげで、消費者ローンや住宅ローンなど多くの銀行商品が手ごろな価格になり、国内の一部では不動産ブームに拍車がかかった。

ロシア当局によると、制裁の結果、ロシアは約500億ドルの損失を被ったものの、これを補うことができたという。プーチン大統領は2020年3月、ロシアのメディアとのインタビューで「私は制裁など気にしていない」と語った。この感情はロシア国民も共有していた。西側の制裁は国民生活にも指導者の支持率にも影響を与えなかった。それどころか、同国の大統領に対する信頼は強まった。西側の政治学者たちは、対ロ制裁の導入は、よく研究されている「国旗の周りに集まる」効果をもたらしただけであり、外圧はその国の指導者の周りに集まるよう、その国の国民の決意を促すだけだと観察している。

過去4ヶ月間に導入された制限は、より厳しく、より広範囲に及んでいる。制裁リストには、法人や個人だけでなく、国家―つまり、大統領、首相、各省庁のトップが代表を務める機関も含まれている。一方、西側に蔓延する「キャンセル文化」からの圧力により、石油会社や金融会社から小売チェーンや人材紹介会社に至るまで、外国企業が大量にロシア市場から撤退している。

また、世界のスポーツや文化、更には歴史からロシアの痕跡を消し去ろうとする広範な措置も取られている。ロシア人は、西側諸国がロシア人の過去を消し去り、現在を複雑にし、未来を暗くすることで、ロシア人に最大の苦痛を与えようとしている、と感じている。

この政策に対する公式の説明は、ロシアの外交政策を変えるための措置だというものだ。西側の政治家たちは定期的に、制裁はロシア国民そのものに向けられたものではないと強調するが、殆どの一般庶民はこの二枚舌のレトリックをデタラメだと見做している。

モスクワの大学に通う学生、オレグはこう指摘する: 「結局のところ、制裁の実際の目的がロシアの経済発展を何十年も後退させることであるならば、一般のロシア人の福祉もそれに伴って損なわれることを意味する」

西側諸国は、ロシアの住民に不快感を与え、社会的緊張を生み出すために、ルーブル安、インフレの増大、物流チェーンの寸断、消費財の不足を引き起こそうと、あらゆる手を尽くしている。

制裁は既に包括的なものとなっており、個々の部門だけでなく、国の経済全体に影響を及ぼしている。ロシア世論調査センターは3月、ロシア人の日常生活への制裁の影響を調査し、国民の半数が高価な商品の代わりに安価な商品を購入するか、その計画を立てており、5人に1人がアパートの改築や転居、教育コースなどのプロジェクトを断念していると結論づけた。その結果、ロシア人の大多数(約60%)は、制裁が自分たちの生活に何らかの影響を与えたと答えた。

この数字は、制裁の経済的影響だけでなく、政治的リスクの増大や抗議デモの可能性を示していると、この国の事情に疎い外部の観察者は考えるかもしれない。しかし、西側が資金を提供する研究センターの推計によると、ロシア国民のうち、国が「正しい方向」に進んでいると確信している人の割合は、ここ数ヶ月間65~70%で安定している。これは非常に高い指標だ。

金融危機後の勢いを失っているにも拘わらず、前向きな経済成長を示してきた西側の多くの「成功した民主主義国」の指導者たちは、このような信頼の度合いを羨ましく思うだろう。例えば、ジョー・バイデン米大統領の支持率は僅か36%で、底が見えないまま沈み続けている。

西側諸国は、制裁と西側企業の撤退によって、一般のロシア人を街頭に駆り立てることを望んでいるが、それは単に、以下のことを理解していないだけである―第一に、ロシア経済の構造、第二に、ロシア国民が最近のウクライナでの出来事の背後にある理由をどう見ているのか、あるいは、誰がその責任を負っていると考えているのか、ということ。

6,000万人以上、つまり定年退職者を含むこの国の成人人口の半数以上が、何らかの形で国家に経済的に依存している。公務員、法執行官、軍人、医師、教師など、「国家のために働く」人々は殆ど誰も、ウクライナでの出来事に抗議して政府の仕事を辞めようという西側からの呼びかけに応じようとはしない。

20年弱前にこの分野に入った国営銀行職員のローマンは、今年の2月までは収入が順調に伸びていたと言う。勿論、西側の制裁第一弾が発動され、クリミア再統合でルーブルの価値が急落した2014年以降、経済的に報われる機会は減ったが、安定は保たれている。

「私が働いている銀行が制裁を受けていることを考えれば、状況が単純だとは誰も言わないだろう。しかし、新入社員も、長く勤めている人も、解雇することはない。給与についても同様だ。近い将来昇給する見込みは殆どないだろうが、月給やボーナスのカットは まだ起きそうもない」とローマンは言う。

このような状況では、国営企業で働く方が、西側企業で働くよりも遥かに安定しているのは明らかである。

「3月4日に最後の出社をした。仕事とは言い難いけど、もう3ヶ月近く自宅で仕事をしている」と、欧州の大手家庭用品メーカーに勤めるアンナは言う。「確かに、給料は全額ではないが支払われ続けているけれど、仕事は殆どない―郵便局に書類を送ったり、他の社員とズーム・ミーティングをしたりする程度。でも、何よりも未知の世界が怖い。いつスタッフがきっぱりと解雇され、私が仕事を失うかもしれないのだから。長年キャリアを積み、一介の営業マンから部門長にまで上り詰めたのに、最終的に労働市場に放り出されたら、ゼロからやり直すか、熾烈な競争に直面することになるだろうと思うと、残念でなりません」

アナリストによれば、大企業でさえ、スタッフを3ヶ月以上維持する余裕はないという。宙ぶらりんな状態に留まっている余裕は もはやないと判断し、既に多くの企業がロシアでの事業を売却し始めている。

No.3 15ヶ月前

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