中庸左派 のコメント

 毎日によると「日銀は20日開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和政策の修正を決めた。長期金利の上限を従来の0・25%程度から0・5%程度に変更し、金利上昇の余地を広げる。国内の消費者物価指数上昇率が日銀が目標に掲げる2%を7カ月連続で上回っている状況などを踏まえ、政策修正によるインフレ抑制を優先する必要があると判断したとみられる」

 日銀がインフレ抑制を目的に利上げに踏み切ったというが、今、西側を襲っているインフレは、無分別なロシア制裁や中国によるゼロコロナ政策、更には食糧危機等の複合的要因による供給不足が原因であろうから、利上げで解決するとは思えない。とはいえ、世界的な信用収縮の中で、日本だけがお札をジャンジャン刷って、国債頼みの借金財政が通用しなくなったのか?実体経済と関係ない債権バブル=金融資本主義の終わりの始まりか? 
 日本財政=国債への海外からの信認が永遠に続くなど、誰に保証できようか?
 物価も勿論だか、庶民にとっては中長期的には長期金利の上昇が住宅ローン金利に跳ね返るのかどうかも心配ではなかろうか?

 いずれにせよ、財政支出は本来租税により担保されるべきだとは考えるが、問題はその使い道だ。購買力平価ベースなら、日本は世界11位の軍事費支出国だ。十分、日本は「軍事大国」だ。
 国防費増額など、私に言わせればムダの極致だ。
 何故なら、日本が「脅威」としているらしい中露には軍事力では絶対に勝てない。こんなことは、コドモでも容易に理解できる単純な事実である。絶対に勝てない相手に対して「抑止力」などムダな抵抗でしかない。
 ロシアウクライナ戦争によって明白になった今日的戦術は、ミサイルやドローン攻撃が主たる攻防の要で、標的はインフラで十分ということだろう。インフラを叩けば、相手を叩きのめせる、ということではないか。    
 全てのミサイル等を撃ち落とせる防空体制はムリなのは、ウクライナのインフラ被害で明白だ。国土が小さく狭く、山間部が多い日本は臨海部に大都市や原発を含むエネルギー施設が集中している。ピンポイントで集中的にミサイルの雨を降らせれば、日本は簡単に壊滅するだろう。
 「反撃」だかなんだか知らないが、「反撃」に対して反撃されたら一般市民が何人犠牲になるのか?
 地上兵力をいくら増強しても、逃げ場のない島国では、国土が戦場になった途端悲劇的敗北が待ち受けているのではないか? 
 私に言わせれば、軍事的勝敗以前に、日本の国土が戦場になること自体、「敗北」だ。
 ロシアの特別軍事作戦をダシにして、脅威を煽ることは詐術でしかない。それはウクライナのネオナチ親米傀儡政権と露系ウクライナ人の虐殺を無視し、隠蔽しているからだ。ロシアは理由もなく侵攻したわけではない。
 同様に尖閣棚上げ論や一つの中国論を意図的に破棄して、中国の脅威を煽ることも詐術である。
 戦争の原因となる理不尽の芽を摘む合理的な政策や外交力があれば、戦争にはならない。ウクライナの失策がそれを証明している。
 ありもしない軍事的脅威を煽り、少子化、格差社会、こどもの貧困、女性の自殺などの喫緊の社会問題よりも外敵に目を向けさせようとしているとしか思えない。それで儲けるのはアメリカ軍産複合体だけだ。
 国防費増大により「日本を守る」というが、庶民の生活を犠牲にしてまで守るべきものなどあってはならない。

No.10 22ヶ月前

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