中庸左派 のコメント

>>7

 この記事で本当に恐ろしいと言わざるを得ないのは、「特定国への敵愾心 反戦、厭戦機運の撲滅」という世論誘導工作という部分。

>日本を守り、日本国民を守り、財産を守る活動をしておられる防衛省は、日本にとって不可欠な組織である。

 現に存在する防衛省を不要な組織とは私も考えませんし、一面から見れば「日本国民を守り、財産を守る活動をして」いることに感謝するものです。ただし、一般に物事は多面的に考えて、総合的に是非を判断するべきなのであって、一面のみにしか焦点を当てない論理は偏向でしかありません。「特定国への敵愾心 反戦、厭戦機運の撲滅」というのは、言論統制そのものです。こんなことを防衛省がイメージしているなら、そのことに対して反対や批判をすることは当然です。戦争は自由と民主主義を圧殺することでしか成立しえないのです。そのことはロシアウクライナ戦争において、大量に兵士が動員され、戦場に送り込まれていることからも明白です。日本国民を守るだけでなく、無理やり「敵を殺してこい!」と強制するのも軍隊です。ウクライナでは戒厳令下で反戦平和もかき消されていることでしょう。

 もっとも、権力による情報操作は今に始まったことでもなく、フェイクニュース=ニセの物語は近代日本が始まってから延々と繰り返されてきたことでもあります。近現代の日本は「現人神」「八紘一宇」「大東亜共栄圏」とか、ニセの物語の枚挙に暇なしです。

 にもかかわらず、そのニセの物語を無批判に積極的に受容してきた多数の「中間層」こそ、真の問題ではないか、と私などは考え込んでしまいます。「どんな専制政治でも、被治者の最小限度の自発的協力がなくては存在することは出来ない。そうして軍国日本において、この被治者のミニマムの自発的協力を保証する役割を果たしたのはまさにこの第一の意味での中間層であると言うことが出来ます」これは丸山眞男氏の『日本ファシズムの思想と運動』という1947年の論文の一節です。2022年の現在、この当時と被治者の思想と行動が大きく変わったとは考えられません。
 そのことは、昨今の新型コロナ騒動(ワクチン接種への同調圧力)やロシアウクライナ戦争によるロシア悪玉=ウクライナ聖戦論によって、私には証明されているように思えてしまいます。
 異論はかき消され、主流権威筋メディアはおしなべて、コロナ騒動を無批判に喧伝、ワクチン接種への同調圧力を強化し続けました。そして、多くの「中間層」は、異論が無視されているという意味での「情報操作」を無批判に受容し、強化推進すらしてきた、私はそう見ています。同様に、ロシアウクライナ戦争についても、主流権威筋メディアからたれ流されるロシア悪玉論を根拠に、戦争を終わらせるどころか、戦争の長期化を推進しているのが、日本の「中間層」の思想と行動でしょう。
 同調圧力は日本の宿痾。その意味では、防衛省は世論操作工作を「研究」するらしいですが、残念ながら、それほど難しいことでないのでは?
 何がニセの物語かを決めるのは自分自身でなければならないと考えています。私としては論理的思考力や合理的思考力が大事だな、と。

No.10 22ヶ月前

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