りゃん のコメント

孫崎さんは、このところ、韓国のひとりあたりGDPと韓国の平均賃金を日本のと比較する議論をしている。この点について考察してみたい。考察の基礎はネットから得た情報にもとづいており、もし間違いがあれば、孫崎さんを含め、指摘していただきたい。

韓国は財閥・大企業に従属した経済である。代表的な財閥であるサムスングループは韓国GDPの2割をしめる。財閥上位10グループで韓国GDPの半分をかなりこえるともいう。この構造のなかで、たとえばサムスンのスマホが世界でどんどん売れれば、GDPもどんどん積みあがる。ひとりあたりになおしたGDPももちろん増える。

しかし、その恩恵に第一にあずかるのは、株主である欧米(日本も?)の資本だ。いわゆる株主資本主義(株主を従業員よりも優遇する資本主義)だからだ。

その一方で、韓国の社会保障支出は対GDP比8%程度と低い。OECD諸国中最下位とも書かれている。

その結果のひとつが、わたしが先に書いた、韓国の高齢者の実態なのだ。その指摘がお気に召さなかった方もいるみたいだが、その点を抜きに韓国のひとりあたりGDPを論じても意味がないとわたしはおもう。そして、高齢者はひとつの例にすぎない。いちいち書かないだけで、若年者の受験競争や就職事情にはじまり、影響は全年齢に及ぶ。

平均賃金のほうにもやはりカラクリがある。中でもわかりやすいのは、韓国は非正規は労働統計に含めていないという点だ。そのぶん、計算上の平均賃金は押し上げられるだろう。

わたしは、日本がこのままでいいとおもっているのでもなく、韓国を表面だけ飾る虚飾の国だとあまりおもっているわけでもない(多少はおもっている)。日本は経済成長しなければならないが、今の韓国のような国をめざしてはならないとおもっているのだ。韓国だって、そのうち(私の思う意味での)まともな方向にかわるかもしれない。

今回「維新」が躍進した。「維新」は中をみればいろんな考えのひとびとがいるようにおもうが、全体の指導原理としては竹中平蔵路線だと世間からみられている。その「成功例」が韓国のような国ではないのか。このへんは、躍進した「維新」のなかのひとびとが、今後さまざまに説明するのだろうが、わたしは強い警戒感をもっている。

孫崎さんも、まさか竹中平蔵路線に賛成なわけではないのだろう。賛成でないのなら、韓国のひとりあたりGDPと韓国の平均賃金を注釈なしに押し出す議論は、おかしい。

No.7 36ヶ月前

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