p_f のコメント

「音楽は、非ヨーロッパ人には踏み込みえない領域で(中略)バッハの音楽はドイツ人音楽家にしか演奏できない」(「ピアノの巨人 豊増昇」)と見做された時代もあったらしいが、果たして「すっかり過去のこと」なのか。
小澤征爾氏のドキュメンタリー(1985)で久々に再会したヨーヨー・マ氏と次のやり取りがあった-
「議論したね 東洋人に西洋音楽は可能かって」
「もちろん可能ですよ。音楽を深く知りたいという気持ちと才能さえあれば。僕の家族がいい例だ。典型的東洋人ですよ。僕自身 日本に行ったことがあるけど 日本人の行動様式は よく理解できる。個性より協調性が優先する。才能ある者はつらい。だが 一たび東洋を出ると自己を主張しなければならない。東洋では口をつぐむしかないが・・・両文化の違いは尊重したい」
「できるかい?僕にとっては重大問題だ...カメラ止めてよ」
事はクラシックに限らない。何処の誰が何処のどんな音楽を演ろうと当人の勝手と思う。しかし、自分のルーツと無関係の音楽を演ることに思い巡らすことは「目覚めた」プロの音楽家ならば今尚よくあることでないか。否応なしにアイデンティティに関わってくるからだ。時々見かける英語がペラペラでも中身カラッポのような人間には解らない話ではある。
本家の単なる猿真似に終わらない音楽を如何に創るか━ホンモノの音楽家の道はつらい。

No.4 51ヶ月前

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