フセインの国家統治を振り返ってみると、巧みな人的把握とイラクの土壌に染みついた利益配分を行っていた。米国が目指す選挙制度改革などイラク国民全般の生活向上の試みは間違いではないが、利権で染みついた土壌は簡単に改革できないという事例である。 具体的に見ていくと、フセインは、バース党と軍を効果的に用いた統治体制を敷いていた。フセイン自身は少数のスンニー派に属していたが、石油から得られる富をシーア派有力者や部族長に分配することで体制を維持していた。 現在の問題点 ①県レベルで住民の賛成があれば自治区を形成できる。北部3県によるクルド自治区が誕生した。 ②イランのようにイスラム法学者による統治を提唱していない。絶対的意思決定者が不在といえる。 ③国民全体に富を分配する西欧方式を推し進めようとする外国勢力の関与を排除できない。 米国とかイランの対立は、イラク内の代弁者の対立といえる。本来的には、イラク自身が石油収入の利益配分を通して宗教の対立・民族の対立・部族の対立をどのように乗り越えるかを考えなければならないことでしょう。民族内の紛争が外部勢力を呼び込み、収拾がつかない事例は、アフリカでは数多く見られる。
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孫崎享チャンネル
(ID:18367902)
フセインの国家統治を振り返ってみると、巧みな人的把握とイラクの土壌に染みついた利益配分を行っていた。米国が目指す選挙制度改革などイラク国民全般の生活向上の試みは間違いではないが、利権で染みついた土壌は簡単に改革できないという事例である。
具体的に見ていくと、フセインは、バース党と軍を効果的に用いた統治体制を敷いていた。フセイン自身は少数のスンニー派に属していたが、石油から得られる富をシーア派有力者や部族長に分配することで体制を維持していた。
現在の問題点
①県レベルで住民の賛成があれば自治区を形成できる。北部3県によるクルド自治区が誕生した。
②イランのようにイスラム法学者による統治を提唱していない。絶対的意思決定者が不在といえる。
③国民全体に富を分配する西欧方式を推し進めようとする外国勢力の関与を排除できない。
米国とかイランの対立は、イラク内の代弁者の対立といえる。本来的には、イラク自身が石油収入の利益配分を通して宗教の対立・民族の対立・部族の対立をどのように乗り越えるかを考えなければならないことでしょう。民族内の紛争が外部勢力を呼び込み、収拾がつかない事例は、アフリカでは数多く見られる。