この問題は、今までも書いたことの繰り返しだが、次の事実に留意したうえで、最終的には投票箱で決めれば良い。ただ、どっちの結論にしても、はやく決めた方がいいとおもうし、ずるずると再稼働していくのではなくて、民意ではっきりと決めるべきであるとおもう。 事実 1、日本では実際上、原発の新設は不可能である(※)。 2、いっぽうで、日本の既存の原発は、稼働しようがしまいが、今後数十年間のあいだにすべて器械としての寿命をむかえる。 3、そうすると、日本における原発問題とは、今ある原発をどの程度再稼働するのか、しないのかという問題である。 4、仮に今ある原発をまったく再稼働しないとしても、使用済み核燃料保管や最終処分、あるいは廃炉の問題をふくめ、原発の「コスト」のほとんどは、すでに発生しており、消えない(サンクコストという)。また、安全面でいえば、稼働していない原発も、完全に安全とはいえない。 5、再生可能エネルギーはまだ電力の安定供給を達成できていない。火発に要する天然ガスなどは、日本では輸入に頼っており(ここが米国と異なる)、外国に多額の代金を払っている。 わたしの個人的な意見は、安全審査を厳しくした上で、再稼働の範囲を広げる。それで浮いたお金の大部分を、次世代エネルギーの研究開発にまわし、今後二十年くらい集中的に研究開発するいうものである。 逆に、再稼働しないとなると、火発に要するエネルギーの輸入費用などは、最終的に消費者につけまわされることになるが(すでに電気料金はかなりあがっている)、これも個人的な意見では、日本でもっとも原発の恩恵を受けた世代である団塊およびそのやや下あたりまでの世代から特に多く負担してもらいたいとおもう。 なお、トランプのおかげで、中国の景気がかなり減速するならば、中国の原発建設計画も見直されることとなり、そのぶん、「地球を救う」こととなり、ヤツコもよろこんでいるだろうとおもう。 また、ドイツが必ず引き合いにだされるが、そううまくいっているわけではないことは、SPIEGELのこの記事でもうかがえる。 https://www.spiegel.de/international/germany/german-failure-on-the-road-to-a-renewable-future-a-1266586.html ※ 新設はできないにしても、研究レベルでは新技術開発はすすめたほうがいいと個人的にはおもっている。
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孫崎享チャンネル
(ID:13458971)
この問題は、今までも書いたことの繰り返しだが、次の事実に留意したうえで、最終的には投票箱で決めれば良い。ただ、どっちの結論にしても、はやく決めた方がいいとおもうし、ずるずると再稼働していくのではなくて、民意ではっきりと決めるべきであるとおもう。
事実
1、日本では実際上、原発の新設は不可能である(※)。
2、いっぽうで、日本の既存の原発は、稼働しようがしまいが、今後数十年間のあいだにすべて器械としての寿命をむかえる。
3、そうすると、日本における原発問題とは、今ある原発をどの程度再稼働するのか、しないのかという問題である。
4、仮に今ある原発をまったく再稼働しないとしても、使用済み核燃料保管や最終処分、あるいは廃炉の問題をふくめ、原発の「コスト」のほとんどは、すでに発生しており、消えない(サンクコストという)。また、安全面でいえば、稼働していない原発も、完全に安全とはいえない。
5、再生可能エネルギーはまだ電力の安定供給を達成できていない。火発に要する天然ガスなどは、日本では輸入に頼っており(ここが米国と異なる)、外国に多額の代金を払っている。
わたしの個人的な意見は、安全審査を厳しくした上で、再稼働の範囲を広げる。それで浮いたお金の大部分を、次世代エネルギーの研究開発にまわし、今後二十年くらい集中的に研究開発するいうものである。
逆に、再稼働しないとなると、火発に要するエネルギーの輸入費用などは、最終的に消費者につけまわされることになるが(すでに電気料金はかなりあがっている)、これも個人的な意見では、日本でもっとも原発の恩恵を受けた世代である団塊およびそのやや下あたりまでの世代から特に多く負担してもらいたいとおもう。
なお、トランプのおかげで、中国の景気がかなり減速するならば、中国の原発建設計画も見直されることとなり、そのぶん、「地球を救う」こととなり、ヤツコもよろこんでいるだろうとおもう。
また、ドイツが必ず引き合いにだされるが、そううまくいっているわけではないことは、SPIEGELのこの記事でもうかがえる。
https://www.spiegel.de/international/germany/german-failure-on-the-road-to-a-renewable-future-a-1266586.html
※ 新設はできないにしても、研究レベルでは新技術開発はすすめたほうがいいと個人的にはおもっている。