国民は、どっちにころんでも、この国は滅亡すると直観しているのではないか。滅びへの道は、そこここに口を開けているのであり、それは己が心の中にも巣食っているはずだ。
実は、すべて「金、金、金」のニヒリズムに明け暮れするその心無き人生は悲惨そのものでしかなく、生きながら亡者の苦患をなめつづけている。身分と階級は固定され、何の未来も、希望もないこの世に、愛着を持つ方が奇蹟というべきだろう。
彼らは、いつ知らずの中に心の中にニヒリズムという鬼を育ててきたのであり、人生への愛着も命の哀惜も育ててはこなかったのである。
子どもを置き去りにするような仕業を「しつけ」だとのたまうような鬼が数多いる世が住みやすかろうはずもなく、若い世代を伸ばすはずもない。