こんにちは。マクガイヤーです。
『ドラゴンクエストビルダーズ』がめっちゃ気になるのですが、まだ『Fallout4』の半分も楽しめていないので、購入を迷っています。そろそろ有休をとろうかなあ……
今後の放送予定ですが、以下のようになっております。
○2/13(土)20時~
「ニコ生マクガイヤーゼミ 『オデッセイ』と火星で生き延びる方法」
2/5(金)より期待のSF映画『オデッセイ』が公開されます。
アンディ・ウィアーのSF小説『火星の人』を原作とする本作は、ウンコを利用して土壌改良した土でじゃがいもを育てたり、ジェット燃料から電気分解で水を入手したりと、サイエンス・フィクションの魅力がたっぷり詰まった作品です。
そこで、映画『オデッセイ』の魅力について主に科学的な側面から解説する予定です。
是非とも『オデッセイ』を観賞するか、原作小説『火星の人』を読了してから放送をお楽しみください。
○2/25(木)20時~
「最近のマクガイヤー 2016年2月号」
いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
以上、ご期待ください。
遺言 アーカイブ
さて、前回のブロマガの続きです。一応、今回が最終回になります。
世の中には、感染し易い感染症と感染し難い感染症があります。
しかし、
「インフルエンザウイルスには強力な感染力がある」
「ノロウイルスにはもっと強い感染力がある」
「エボラウイルスにはもっともっと強い感染力がある」
……そう言われても、個々のウイルスの感染力が他のウイルスと比べてどれくらい強いのか、どれくらい弱いのか、ぼんやりしすぎて全くわかりません。
そこで考え出されたのが「感染最小単位」という考え方です。「何個のウイルス粒子が体内に入れば感染が成立するのか」を数値で表したものになります。
インフルエンザウイルスの感染最小単位は1000から3000個、ノロウイルスは10から100個、エボラウイルスは1から3、4個といわれています。何事も定量性が大事だということです。
ウイルスごとに感染し易さが異なるのは、体内の免疫に耐える強さ、胃酸に耐える強さ、腸内に100兆いるといわれる様々な常在菌の間で生き抜く強さなどが、それぞれのウイルスで異なるからです。
ウイルス粒子の大きさは、これまた種類によって様々ですが、だいたい100ナノメートル前後と考えるのが適当でしょう。これは一列に並べれば1センチメートルに10の5乗個、すなわち10万個のウイルスが一直線上に並ぶ計算になります。1立方センチメートルの容量なら10の15乗個、すなわち1000兆個のウイルスが入ります。
インフルエンザウイルスは空気感染することが知られています。くしゃみや咳と共に、ウイルスを含む唾液などが飛沫となって飛ばされるのです。比較的大きな飛沫はすぐ地面に落ちますが、比較的小さな飛沫――エアロゾルとよばれる微粒子の中でも直径数マイクロメートル単位のものは空気中に滞留します。
咳やくしゃみで発生するエアロゾルの中で最も多いのは直径5マイクロメートルほどのもので、1回の咳では約10万個、1回のくしゃみでは約200万個が飛散するそうです。
飛散する液体のすべてがインフルエンザウイルスというわけではありませんが、仮に0.1%含まれているとすれば、直径5マイクロメートルのエアロゾルの中に125個のウイルス粒子が含まれていることになります。
エアロゾルを8から24個吸い込めば、感染が成立する計算です。
つまり、私の身体がなんだか熱っぽく、関節が痛痒く、喉が焼けるように痛いのは、昨日帰宅する途中に電車で乗り合わせた、くしゃみをしていた見知らぬOLのせいなのです。あの意地の悪いハムスターのような顔をしたOLのせいに違いありません。
しかし、あのハムスターOLに責任を追求するためには、私の感染したインフルエンザウイルスとOLのそれとが同じ株――兄貴の言った通り、人間でいえば種族や個人になるでしょう――であることを証明しなくてはなりません。すなわちDNA鑑定をする必要があります。
次に、あのハムスターOLが悪意と共に私に感染させたと証明する必要があります。これが難しい、これまた兄貴の言った通りです。
仮に、私とあのOLが過去につき合っていたとしましょう。あんなブサイクなOLと付き合うわけありませんが、仮の話です。で、いわゆる「男女関係のもつれ」があって別れていたとしましょう。メールやLINEの文面とか、彼女が人間として私のことを憎んでいるということを、なにがしかの証拠で証明できたとしましょう。彼女が医者に行き、インフルエンザ検査を受け、自分が感染していることを自覚していたとしましょう。そして、彼女が悪意をもって私に咳やくしゃみを吐きかけた、ということを映像や画像記録で証明できれば――なんとかなるかもしれません。
……そんなことを、風邪に罹りはじめのぼんやりした頭で考えているうちに、新幹線が新大阪駅に到着しました。
時刻は夜の7時でした。冬なので、もう真っ暗です。本当はもっと早い時間に大阪に着きたかったのですが、事故で遅延があり、午前中はほとんど新幹線が動かなかったので、仕方がありません。
新幹線から降りると、喉の奥に異物感があり、何度か咳払いしました。これはインフルエンザのせいではなく、大阪の空気が肌に合わないのかもしれません。
JR京都線で大阪駅まで出て、環状線で新今宮駅まで行きます。新今宮駅といえば駅の南側にあるあいりん地区が有名ですが、そういえば祖父はこの駅の北側にある今宮高校に通っていたのでした。
新今宮駅で更に南海線に乗り換え、一駅移動し、我孫子前駅で降ります。
そこから十数分ほど住宅街を歩きます。初めて歩く夜の街は、どこか見覚えがあるような、そうでもないような、不思議な感覚でした。外灯に照らされる街をうろうろと見廻しながらアスファルトの道路を歩いている最中、まるで空中を歩くような不思議な感覚だったのは、多分、熱がだんだんと上がっていったからでしょう。
兄貴から「宅下げ」で貰った鍵には、プラスチックの板でできたキーホルダーがついていました。そのキーホルダーにはマジックで住所が書いてありました。ポケットから取り出し、確認します。大阪府大阪市住吉区遠里小野……もう、すぐそこの筈です。
住宅地の合間に、鉄筋コンクリート三階建ての異様な風貌をした家屋がみえました。四面コンクリート打ちっぱなしで、屋上まである建物です。おそらく、築数十年は経っているのでしょう、外灯や隣家の窓明かりで照らされたコンクリートの隅々が、黒ずみ、苔生しています。窓という窓は、当然ですが、全て装甲のような分厚い雨戸で覆われています。まるでサーチライトに照らされた古い要塞のようでした。
それが祖父の生家でした。
以前書いた通り、大阪で生まれた祖父は、編集プロダクションの会社を立ち上げ、そこで祖母と知り合いました。やがて編プロは大きくなり、東京に本社を移し、それと共に祖父も棲家を東京に移しました。
この時、祖父は結婚しました。つまり、結婚と上京を機に実家を出たわけです。
その後、祖父の父母――曾祖父も曾祖母も亡くなり、祖父は生家を相続しました。すっかり拠点を東京に移し、今さら大阪に帰るつもりも無かった祖父は、生家を処分しました。ちょうどお世話になった両親に親孝行をしたかった売れっ子のイラストレーターが買い取ったそうです。
――私が聞いていた話はここまででした。
しかし、ある時、祖父は考え直し、生家を買い戻していたのです。
祖父の生活の場はすっかり東京に移っていました。しかし、関西にあるとある大学で講師をしていたのと、関西でもSNSに関連したイベントやらトークショーやらを開催するために、定期的に来阪していました。
その時、宿泊に利用していたのは、シティホテルだと思っていました……が、違ったようです。
大阪駅から約一時間、そしてこの広さの土地です。もはや建物に不動産的価値はないでしょうが、大阪の土地勘の無い自分でも、どれくらいの固定資産税がかかり、どれくらいの維持費がかかるのか、だいたい分かります。二、三ケ月に一度、数日宿泊するための場所としては、大げさすぎるのです。
それでも、買い戻すことまでしてこの家に拘ったのは、なんらかの理由があるはずです。
もしかすると、それは、私が祖母や兄貴と過ごした家に拘ったのと似たような理由かもしれません。
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コメント
コメントを書く(ID:715355)
思いっきりフィクションじゃん
(ID:60669328)
3000円使ってしまった!!!
面白かったけど、創作と分かってたら買ってないぞ!!!
まーでも才能あるかもね???