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マクガイヤーチャンネル 第32号 2015/9/14
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ニコ生放送が一段落して、ホッと一息ついているマクガイヤーです。こんにちは。
『Fallout 4』や『マッドマックス』のゲーム版が発売されることもあり、良い機会かなと思ってPS4と『メタルギアソリッドV ファントムペイン』をセットで買ったのですが、忙しくて、全然プレイできていません。
忙しさの原因はリアル仕事と Netflixなのですが……あれですね、huluにネトフリにTSUTAYA100円レンタルと、ほとんどタダのような値段で他人のコンテンツを楽しめるけれども、自分でコンテンツを生み出すのは死ぬほど難しい、そして楽しむ時間もない、というわけです。子供の頃はタダで映画やらアニメやら特撮やらが観れたら天国だぜ! などと単純に思ってましたが、こんな未来になるとは思わんかったです。ヒロシです。
次回の放送ですが、9/21(月)20時より、「最近のマクガイヤー9月号」と題しまして、いつも通り最近面白かった映画や漫画やについてまったりひとり喋りでお送りします。
・『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』
等々について話すことになると思います。
アシスタントとして久しぶりにみゆきちが出演してくれる予定です。なんでも、この夏の思い出について話してくれるとか……
また、ゲストとして先月『アラフォーオタクの生態』に出演してくれたナオトさんが再度出演してくれる予定です。
ご期待ください!
そして9/29(火)20時から9月のマクガイヤーゼミを行います。「Projectitohと伊藤計劃」と題しまして、SF作家 伊藤計劃についてお話する予定です。10月から伊藤計劃原作のアニメ映画『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』が三作連続公開されます。予習にどうぞ!
さて、今回のブロマガですが、以前行いました夏映画鑑賞ガイドで紹介しきれなかった『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』と『テッド2』について書こうかと思います。
ちなみに星は五つで満点になっております。
『テッド』は画期的な映画でした。
ブロマンス映画というジャンルがあります。いい年こいて映画やらゲームやらといったボンクラサブカルチャーに夢中になっている駄目中年たちの前に魅力的な女性が現れ、ボンクラ同士のぬるま湯的友愛関係を続けるか、女性との恋愛を通して年齢相応の「大人」になるかの選択を迫られる……というのがブロマンス映画の定型です。日本と違って、マリファナや刺青もボンクラサブカルチャーの枠内に入るのがアメリカのブロマンス映画の面白いところです。
これまで何作ものブロマンス映画が作られてきましたが、『テッド』が画期的だったのは、ブロマンス仲間の一人がクマのぬいぐるみだったということでした。ただのぬいぐるみじゃありません、子供のころ大事にしていたぬいぐるみです。そのぬいぐるみが、女を買い、マリファナを吸い、汚なくて面白い言葉を喋る。くまのプーさんとブロマンス映画の融合です。これで面白くないわけがありません。今までに誰一人思いつかなかったのが不思議なくらいです。
ただ、自分は『テッド』で納得できないことが二つありました。
一つは『フラッシュ・ゴードン』への偏愛です。
『テッド』は1985年マーク・ウォルバーグ演じる主人公が小学生だったシーンから始まります。『フラッシュ・ゴードン』は1980年の映画です。1985年に小学生だったら、偏愛してしまうのは『トランスフォーマー』か、『MASTERS OF THE UNIVERSE』だろ? 普通に考えて! とか思ってしまうわけです。
もう一つは、ラストです。
『くまのプーさん』では、クリストファーロビンが学校に行く年齢になると、二人のお別れがやってきました。しかし『テッド』は違います、主人公のマーク・ウォルバーグはウソみたいなほど理想の彼女であるミラ・クニスのためにテッドと離れて暮らそうとするものの、最後にテッドとお別れしません。「最後に彼女を選ぶことで大人になる」というブロマンス映画の定型を考えれば、ミラ・クニスを選んだ以上、最後にテッドと永遠のお別れをするはずなのですが、そうならないのです。なんと奇跡が起こり、彼女とテッド両方とつきあってゆくぬるま湯生活が永遠に続くことを予感させるラストで映画が終わります。
おそらく、これはセス・マクファーレン監督の価値観――大人になっても子供の心を適度に持ち続けることがクリエイターとして大切なのだという価値観に基づくラストなのでしょうが、ハリウッド映画にしては珍しいラストです。何故なら、ハリウッド映画の根本には何かを捨てることで何かを得ることを是とするキリスト教的価値観があるからです。『テッド』のように、永遠の甘やかしを意味する政治的に正しくないラストが用意された作品はほとんどありません。
ただ、そう考えると、日本でテッドが成功した理由が分かります。
大人になったのび太はドラえもんと一緒に生活しないものの、一生つきあいが続きす。『劇画オバQ』はファンからも作者からも否定されました。日本人が理解できないギャグや演出がたっぷりと入っているにも関わらず『テッド』がヒットしたのは、単に言葉を喋るファンシーなキャラクターが生き生きと動き回っているからではありません。テッドが、一緒にマリファナを吸いつつボンクラ映画を観てくれるオバQのような存在だからです。日本人は、『テッド』をブロマンス映画としてではなく、居候ものマンガの実写化のようなものとして受け入れられたのです。
さて、そんな『テッド』の続編『テッド2』ですが、いきなりマーク・ウォルバーグが離婚しています。これは、ミラ・クニスが妊娠したとか、ヒロインを変えたいという興行上の理由とかを横に置いても、納得の展開です。
何かを捨てずに何かを得ることはできない――テッドを捨てることができないならばミラ・クニスを捨てなくてはならない――映画と映画の間でその清算をしたわけです。マーク・ウォルバーグが憂鬱そうな顔をしているのも分かります。
で、本作は続編です。前作がブロマンス・コンビの片割れであるマーク・ウォルバーグのドラマが主軸に進んだのに対し、本作はテッドのドラマが主軸として進みます。『カーズ2』と同じアプローチですね。
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