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マクガイヤーチャンネル 第24号 2015/7/20
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こんにちは、マクイガイヤーです。
月に2回の生放送をお送りしているマクガイヤーチャンネルですが、来月は3回お送りする予定です。
まず8/6(木)20時から、最近のマクガイヤー8月号と題しまして、いつも通り最近面白かった映画や漫画やについてまったりひとり喋りでお送りする予定です。
・『リアル鬼ごっこ』と園子温
・『チェイサー』と手塚研究漫画
・『カツシン』と日本俳優の評伝
・27時間テレビとフジテレビの「ピンチ」と『ザ・ノンフィクション』
・『インサイドヘッド』と『はたらく細胞』
等々について話すことになると思います。
次に8/15(土)20時から、豪華ゲストをお呼びして「アラフォーオタクの生き方」についてトークを行う予定です。
コミケの後にでもご覧ください!
そして8/22(土)20時から、ニコ生マクガイヤーゼミを行う予定です。
内容は……すみません、未定です。いまのところ、戦争映画かアメコミをテーマにお送りする予定です。もし希望があればコメント欄等で連絡してね!
さて、前回7/18のニコ生放送「『ジュラシック・パーク』と恐竜復活計画」はいかがだったでしょうか?
後半が大学の講義っぽい話になるので、皆さんに楽しんで貰えるかどうか不安だったのですが、わりと良い評判をもらいまして、一安心しているところです。
また、アシスタントのしまさんは作家 柚木麻子のファンらしく、『ナイルパーチの女子会』のことをしっかり知っていてくれたのも良かったです。
『ナイルパーチの女子会』は、今回の直木賞にもノミネートされた、柚木麻子による長編小説です。
本作には二人の主人公が登場します。大手商社に勤めるキャリアウーマンである栄利子と、専業主婦にして人気ブロガーの翔子です。
二人に共通するのは「女子会がキライ」という点です。つまり、二人には女友達がいません。ある日、栄利子は偶然にも翔子と知り合います。翔子のブログの大ファンだった栄利子は、ストーカーの如く翔子との距離を詰めていきます。一方、翔子は栄利子と知り合ったことがきっかけで、これまでまったりとやっていたブログ運営に異様なまでの力を注ぎ始め……といった話です。
面白いのは、ナイルパーチのアナロジーです。
『ダーウィンの悪夢』という映画をご存知でしょうか? 9月のマクガイヤーゼミで語る予定の伊藤計劃の処女作『虐殺器官』のネタ元の一つでもあります。
アフリカにヴィクトリア湖という、ちょう巨大な湖があります。どれくらい巨大かというと、面積は実に九州の2倍です。
かつてヴィクトリア湖には約400種の固有種が生息しており、「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていました。湖の周辺に住んでいた人々は漁業や水産物の加工業で生計を立てていました。
しかし1954年、漁獲量を上げようとしたイギリス植民地政府によってナイルパーチが放流されました。ナイルパーチはアフリカ熱帯域に生息する魚で、白身の大型魚であることから、食用として需要の高い魚です。時々スーパーにも売ってますね。
ただ、人間の手で放流されるまで、ナイルパーチはヴィクトリア湖に生息していませんでした。そして、ナイルパーチは肉食性で、体も大きく、とても強い魚です。あっという間にそれまでヴィクトリア湖に棲んでいた魚は食べられてしまいました。固有種400種のうち200種がいなくなってしまったそうです。
それだけではありません。草食性の魚がいなくなったことから、湖の藻が大繁殖、そのせいで湖は酸欠状態となり、更に魚がいなくなるという悪循環に陥りました。
一時期、日本の河川へのブラックバスやブルーギルの放流が問題となりました。それの何倍も凄いことがヴィクトリア湖で起こったのです。
地域の伝統的な漁業や加工業は衰退し、地域社会は崩壊しました。
ナイルパーチの加工工場は外資によって運営され、人員をそれほど必要としないので、仕事が無くなりました。幸運な住民は、ウジが湧いた魚の残骸を拾い、腐った魚肉から発生するアンモニアガスに生命を脅かされながらもそれを天日干しし、「仕事があるだけマシ」と言い切ります。子供たちはゴミを燃やした時に出る煙をドラッグ代わりに吸い込み、酩酊します。女性は体を売り、エイズが蔓延します。これを地獄と言わずになんというのか……というドキュメンタリー映画が『ダーウィンの悪夢』です。凄い映画です。
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