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【第341号】キャプテン・ジャパン:シークレット・エンペラー

2021/11/24 07:00 投稿

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  • Dr.マクガイヤー
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  • キャプテン・ジャパン
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マクガイヤーチャンネル 第341号 2021/11/24
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おはようございます。マクガイヤーです。

もうすぐ師走ですね。

ついこの間正月だと思っていたのに、時が進む速さに今更ながらに驚いております。

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遊びに来てくれたお友達の中村さんが持ってきてくれた1/6 マクガイヤーヘッドは、きちんと塗装してなにがしかのボディにつけてSNS等にアップしてくれる方3名様にプレゼント致します。

我こそは! と思われる方は、↓からご応募下さい。

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2021年末を締め切りとさせて頂きます。



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇11月28日(日)19時~「『カウボーイビバップ』と渡辺信一郎のアニメみたいな映画」(放送日が日曜日に変更になりました。ご注意ください)

11月19日より実写ドラマ版『カウボーイビバップ』がNetflixで配信開始されます。98~99年に放送されたアニメ『カウボーイビバップ』の実写版で、全10話構成だそうです。


『カウボーイビバップ』といえば『(大隅版)ルパン三世』『探偵物語』『傷だらけの天使』といった70年代作品の影響を多く受けています。これらはジャン=ポール・ベルモンドのアクション映画やヌーヴェルヴァーグとフィルムノワール、『殺しの烙印』『顔役』のような和製フィルムノワールのふりをした和製ヌーヴェルヴァーグ、そしてロバート・アルトマンやサム・ペキンパーの影響を受けています。監督の渡辺信一郎もこれらの作品の影響を公言しています。

こういった作品群をオマージュしつつ、90年代のカッチョ良さで表現されたアニメが『カウボーイビバップ』でしたが、Netflixで実写化されると、果たしてどのような作品になるのでしょうか?

そこで、アニメ『カウボーイビバップ』について解説しつつ、実写ドラマ版『カウボーイビバップ』について楽しくトークするような放送を行います。


ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇12月13日(月)19時~「最後のアンサーソングとしての『エウレカセブン』」

11月26日より映画『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が公開されます。『交響詩篇エウレカセブン』のリブート作品にして、テレビアニメ・ゲーム・漫画などのエウレカセブンシリーズを包括した『ハイエボリューション三部作』の完結編になるそうです。


2005~2006年に放送された『交響詩篇エウレカセブン』は久しぶりに一年に渡って放送されたロボットアニメでした。シリーズものの続編ではない新規作品であると同時に、『ガンダム』から『エヴァンゲリオン』までのロボットアニメのオマージュに溢れた作品でもありました。

そんな『エウレカセブン』が、『シン・エヴァンゲリオン』が公開されたのと同じ2021年に完結する……かどうかは分かりませんが、リブート作品の完結で一区切りつくことに、因縁めいたものを感じてしまいます。


そこで、『エウレカセブン』シリーズ全作について解説しつつ、いったい『エウレカセブン』とは何だったのかについてトークするような放送を行います。


ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇12月27日(月)19時~「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会2021」

例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」。

2021年に語り残したオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくる予定です。

ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。


ちなみに過去の忘年会動画はこちらになります。

2020年

2019年

2018年



〇1月10日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2022年1月号」

詳細未定。

いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



〇1月17日(月)19時~「『クライ・マッチョ』とイーストウッドの私小説映画」

2021年1月14日より映画『クライ・マッチョ』が公開されます。クリント・イーストウッド91歳の主演作にして、監督40作目となる映画だそうです。 イーストウッドはサイコスリラー映画『恐怖のメロディ』でデビューしましたが、自分のオリジンである西部劇、血沸き肉躍る冒険小説の映画化、性癖の反映であろうスリラー映画、自身の軍隊・役者・経験を反映させつつ「血と暴力の国」アメリカを様々な手法・ジャンルで描く映画の他に、それらの要素を合わせ持ちながら自分の人生を反映させた映画を監督しています。しかも、その多くにはイーストウッド自身の恋人・息子・娘が出演しており、その公私混同というか混淆ぶりは庵野秀明にとっての『エヴァンゲリオン』を彷彿とさせるのです。『クライ・マッチョ』もこの系譜に属する作品なのは間違いありません。


そこで、『ブロンコ・ビリー』『センチメンタル・アドベンチャー』『目撃』『グラン・トリノ』などのイーストウッド私小説映画を紹介しつつ、。『クライ・マッチョ』について解説する放送を行います。



〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

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また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。





さて、本日のブロマガですが、引き続きキャプテン・ジャパンの妄想話について書かせて下さい。



●シークレット・エンペラー その2

「原爆と同じことですよ。……つまり人間は、いや人類は、身に付けた技術は必ず使ってしまうということなんですな」


「桜ヒロシ」と名乗ったその人物は、「普段は言わないんだけど、この二人がどうしてもというものだから……」という「物真似」について詫びた後、自身の身の上について語りました。

その内容は、コウイチを驚愕させるのに充分なものでした。


「人類が初めて哺乳類の体細胞クローン作製技術を手にしたのは1997年です。この時使われた細胞が乳腺細胞――採取し易いわりに、分化能をある程度有していると考えられるおっぱいの細胞だったことから、巨乳で有名なドリー・パートンの名前を拝借してドリーと名付けられました。今ならコンプラ違反ですな。だけど、ワタシを含めて男は皆おっぱいが好きなんですよ。」


「しかし、我が国はそれより十数年も前に体細胞クローン作製技術を手にしていたんですな。調査チームが結成され、貴方さんもよく知る<施設>のカプセルをリバースエンジニアリングしようとしたわけです。

<施設>には胎児が入ったカプセルが沢山あったわけですが、不幸にも不具合で胎児が成長し、そのまま亡くなった個体が入っているものがありましたよね? 死体は老人だったり、青年だったりと千差万別でしたが、つまりあれはタイムカプセルであると同時に、クローン作製・培養器だったわけなんですな。

空のままかと思われたカプセルの一つをよく調べてみると、残っていた液体の中に細胞塊がみつかったそうです。しかもそれは全能性を持ってる細胞で、体細胞由来と考えられました。

後は簡単です。調査チームは、乳腺細胞のようにある程度の分化能を有している細胞を特定の方法で培養し、特定の手順でカプセルに入れてやれば、体細胞クローン動物を作成できることを確認しました。最初はマウスで試し、ラット、ウサギ、ビーグル……と順調に駒を進めて、遂に霊長類であるコモンマーモセットでも可能なことを実証しました。

ES細胞やiPS細胞といった単語が世の中に出る何十年も前の話です。ヒトゲノム解析計画もスタートしていません。当然、その時点では分化を巻き戻したり、進めたりするメカニズムは不明だったわけですが、ともかく哺乳類での体細胞クローン動物作成技術を手にしたのです。世界初、人類史上初です。

最もプライオリティの高い目的は、今と同じで、動物の個体丸ごとではなく、移植用のパーツとして臓器のみの作製だったわけですよ。ですが、臓器単位で分化をコントロールする方法が未発見で、達成できなかったそうです。ES細胞やiPS細胞を発見し、様々な細胞に分化する方法が分かった今ならなんとかなるでしょうが、その時はメカニズムを把握できていないから応用できなかったんですな。

しかし当然、実験はここでストップです。人間に応用することは内閣も宮内庁も科技庁も明確に反対し、秘密裡に禁止され、実験記録は封印されました。当たり前ですよ。移植用パーツとしての臓器ではなく、個体丸ごとしか作れない体細胞クローン動物作成技術――これはつまり、極言すればですが、人間が人間を所有する、もしくは、国歌が人間を所有する、ということになってしまうんですよ。

その時の世界人口は4、50億人。4、50億人もいるのに。更に人間を、しかも特定の人間と遺伝子的に同じ個体を増やすということは、何かしらの理由や目的があるわけですよね。その目的を果たすためには、クローン技術で誕生したクローン人間の人権が犠牲になります。優秀な人間のクローンを作り、優秀な人間だけの軍隊やスポーツチームを作ることができない理由がここにあるわけですな。民主国家である限り、だれも他人に対してこれをやれとか、この分野に進めとか。このような人生を送れとか、強制することはできません。憲法も法律も、人権を保障しているんです。クローン人間に普通の人間並みの人権を認めない、というわけにはいかないのです。

しかしですな、我が日本には唯一、自分の人生を自分で決められない、普通の人間並みの人権が認められていな家系があるわけなんですな。国家が人権を制限している一族ともいえますね。一部の人間たちは、人権が制限されている一族ならば、そのクローンの人権を制限しても憲法解釈的に問題無い、と考えたわけですよ」


そう言いながらニタニタ笑うヒロシの眼の奥には、なにか芯の強いもの、克己心とか反骨精神のようなものが宿っているようにみえました。


「昭和天皇が体調を崩し始めたのは、在位60年を越えてから、80代後半に入ってからです。普通、その年齢で体調を崩し始めても、年齢相応のものとみなされますよね。80半ばで亡くなったら大往生なんじゃないんですかね?

しかし、昭和天皇に大往生は許されなかった、というわけです。

陛下のお気持ちを考えて告知しなかった――という侍医長のコメントが発表されたことが記録に残っていますが、80年代にインフォームド・コンセントの概念が無かったわけがないんです。しかも昭和天皇は、変形菌類とヒドロ虫類の分類学を専門とする生物学者だったでしょう? 今や絶滅してしまった殿様生物学者とはいえ、自らの身体を一個の生物として客観的に捉える視点があったはずです。本当は、告知すべきだったんですよ。

上皇明仁が前立腺がんや狭心症の告知を求め、診断も体調も二度の手術もリアルタイムで開示し、報道させたのは、父の死に様をきちんとみていたからでしょうね。十二指腸がんを告知されないまま、自分の知らないところで玉体にメスを入れるべきかどうかの結論の出ない大激論がなされ、1リットルの嘔吐をきっかけに手術するも時すでに遅く、24時間体制の看護が続く中で国事行事に参加させられ続ける……主病名が開示されない一方で血圧、体温、脈拍、輸血・吐血量は即時に報道され、インフォームド・コンセントのないまま延命が続けられ、国民全員が<最後のまつり>である自粛と停滞に参加を強制させられる……いやはや、ワタシはあんな死に方したくないですよ。人権のある人間の死に方じゃないね」


「だがその時、<神>……<現人神>に人権などない、人権なんてものを超越してる、そんな具合に、超法規的ならぬ超憲法解釈的に考える人間たちがいたんですな。

<人間宣言>はGHQが強制的にさせたもので、昭和天皇は未だ<神>である、もっといえば、戦後民主主義の基で育った明仁皇太子以降の継承者は、<神>にふさわしくない、経済的繁栄にうつつを抜かし、国の大本を忘れ、国民精神を失い、本を正さずして末に走り、その場しのぎと偽善に陥り、自ら魂の空白状態へ落ち込んでゆく欺瞞と虚妄の世界で育った者は、制度上の天皇にはなりえても<現人神>にはなりえない、なりえる筈がない、最後の<現人神>であり、神と人間との接点に成りうる存在である<現人神>がこの世からいなくなるのは耐え難い、看過できない、<現人神>が永らえるためにできることがあるならばすべきではないか――そう考える超党派的集団です。狂信的右翼集団、と呼んだ方が適切かもしれませんな。本当の右翼、というか保守主義者なら、殉死を選ぶべきとはいわないが、クローンを作るなんて最も不敬は発想には至らない筈なんですが。

……彼らが、封印された体細胞クローン作成技術にたどり着くまでそれほど時間はかかりませんでした」


そして、あなたが誕生したわけですね。そうコウイチが言葉を差し込むと、ヒロシはニタニタしたほほ笑み顔をよりニタつかせました。


「使ったのは脂肪吸引で採取した脂肪由来の間葉系幹細胞ですよ。「ドリー」に倣って、「キノシタ」とか「キンタロー。」とかいう名前にならなくて良かったですよ。「桜」なんて安易な苗字も本当は返上したかったんですが、「サクラヒロシ」って名前は悪くない。人から親父の名前を尋ねられたら「友蔵」って答えることにしてますよ。親父はカプセルです、遺伝子的にはハルノミヤヨシヒトです――なんて答えるわけにはいかないですからね。ああ、でも親父の名前が「ヨシオ」ってのはアリだったかもですね」


そういって、ヒロシはまたニタニタ笑うのでした。



●シークレット・エンペラー その3

個人が組織を倒す、というのは善である――ものごころついたヒロシが生来身に着けていた反骨精神を発揮し、狂信的右翼集団の研究施設を脱走し、当局に駆け込むまで長い時間はかかりませんでした。

関係者は秘密裡に処分され、別のもっともらしい理由から表舞台を退き、ヒロシは「本当の右翼」であるところの会長の元に身を寄せ、すくすくと育ちました。学問を修め、人に交わり、彼なりに世の中のために貢献しようとしているのだそうです。

なるほど、コウイチがヒロシに克己心と反骨精神が合わさったものを感じたのは当然でした。権力から逃れ、どこまでも自由に生きることが、ヒロシにとっての反骨精神の発現であり、と同時に、自分のように権力の犠牲となっている人間の助力となることが、ヒロシにとっての克己殉公なのでしょう。その意味では、結局のところ由来元となった人物と同じ人生を歩んでいるではないか……という言葉は、失礼になりそうなのでぐっと飲みこむコウイチでした。


「戦後民主主義は欺瞞であり、虚妄であるのかもしれない。しかし、世界が虚妄だ、というのは一つの観点であって、世界は薔薇だ、と言い直すことだってできます……貴方さんの先代もそう言ってましたよね?

なによりも、大竹まことと大竹オサムのように、あるいはおすぎとピーコのように、ワタシと昭和天皇は別の人間ですよ。生まれ育った時代も環境も違いますしね」


「しかし、アンタも昭和天皇も、同じように生物学を学問として志した……」と、エゴスが口を挟みます。

 

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