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【第338号】キャプテン・ジャパン:バーデン・オブ・ドリーム

2021/10/27 07:00 投稿

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  • Dr.マクガイヤー
  • オリンピック
  • キャプテン・ジャパン
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マクガイヤーチャンネル 第338号 2021/10/27
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おはようございます。マクガイヤーです。

観よう観ようと思っていた映画がいつの間にか公開終了したり、配信停止したりしていて、後悔している毎日です。



マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。



〇11月15日(月)19時~「最近のマクガイヤー 2021年11月号」

・時事ネタ

『エターナルズ』

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』

『ハロウィン KILLS』

『テン・ゴーカイジャー』

『ドーナツキング』

『映画トロピカル~ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』

『最後の決闘裁判』

『キャンディマン』

『THE MOLE(ザ・モール)』

『キャッシュトラック』

『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』

『コレクティブ 国家の嘘』

『ルパン三世 PART6』

その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



〇11月28日(日)19時~「『カウボーイビバップ』と渡辺信一郎のアニメみたいな映画」(放送日が日曜日に変更になりました。ご注意ください)

11月19日より実写ドラマ版『カウボーイビバップ』がNetflixで配信開始されます。98~99年に放送されたアニメ『カウボーイビバップ』の実写版で、全10話構成だそうです。


『カウボーイビバップ』といえば『(大隅版)ルパン三世』『探偵物語』『傷だらけの天使』といった70年代作品の影響を多く受けています。これらはジャン=ポール・ベルモンドのアクション映画やヌーヴェルヴァーグとフィルムノワール、『殺しの烙印』『顔役』のような和製フィルムノワールのふりをした和製ヌーヴェルヴァーグ、そしてロバート・アルトマンやサム・ペキンパーの影響を受けています。監督の渡辺信一郎もこれらの作品の影響を公言しています。

こういった作品群をオマージュしつつ、90年代のカッチョ良さで表現されたアニメが『カウボーイビバップ』でしたが、Netflixで実写化されると、果たしてどのような作品になるのでしょうか?

そこで、アニメ『カウボーイビバップ』について解説しつつ、実写ドラマ版『カウボーイビバップ』について楽しくトークするような放送を行います。


ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇12月13日(月)19時~「最後のアンサーソングとしての『エウレカセブン』」

11月26日より映画『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』が公開されます。『交響詩篇エウレカセブン』のリブート作品にして、テレビアニメ・ゲーム・漫画などのエウレカセブンシリーズを包括した『ハイエボリューション三部作』の完結編になるそうです。


2005~2006年に放送された『交響詩篇エウレカセブン』は久しぶりに一年に渡って放送されたロボットアニメでした。シリーズものの続編ではない新規作品であると同時に、『ガンダム』から『エヴァンゲリオン』までのロボットアニメのオマージュに溢れた作品でもありました。

そんな『エウレカセブン』が、『シン・エヴァンゲリオン』が公開されたのと同じ2021年に完結する……かどうかは分かりませんが、リブート作品の完結で一区切りつくことに、因縁めいたものを感じてしまいます。


そこで、『エウレカセブン』シリーズ全作について解説しつつ、いったい『エウレカセブン』とは何だったのかについてトークするような放送を行います。


ゲストとして声優の那瀬ひとみさん(https://twitter.com/nase1204)をお迎えしてお送り致します。



〇12月27日(月)19時~「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会2021」

例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」。

2021年に語り残したオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくる予定です。

ゲストとして編集者のしまさん(https://twitter.com/shimashima90pun)をお迎えしてお送り致します。


ちなみに過去の忘年会動画はこちらになります。

2020年

2019年

2018年




〇藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄の作品評論・解説本の通販をしています

当ブロマガの連載をまとめた藤子不二雄Ⓐ作品評論・解説本『本当はFより面白い藤子不二雄Ⓐの話~~童貞と変身と文学青年~~』の通販をしております。

https://macgyer.base.shop/items/19751109


また、売り切れになっていた『大長編ドラえもん』解説本『大長編ドラえもん徹底解説〜科学と冒険小説と創世記からよむ藤子・F・不二雄〜』ですが、この度電子書籍としてpdfファイルを販売することになりました。

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合わせてお楽しみ下さい。





さて、本日のブロマガですが、引き続きキャプテン・ジャパンの妄想話について書かせて下さい。



●バーデン・オブ・ドリーム その2

東京23区の縁から電車で離れること数駅――東京の郊外といっていい某市の名を関する某駅にコウイチは降り立ちます。数百メートル歩くと、目的の駐輪場がみえてきました。時刻は朝の9時。ちょうど通勤のために自転車を停めようと押し寄せる人波が一息ついたところです。年配の駐輪場の管理員が数人いて、ゆったりとした動きで自転車を整理したり、箒と塵取りを使った清掃をしたりしています。

管理員の一人に、コウイチは目的の人物をみかけました。酒も飲んでいないのに、うっすらと赤い顔をしています。数ヶ月前に調査をした時と比べると、赤みが薄くなっています。あの時は変装し、ドローンも使って、常に視界の外から観察するようにしていたのですが、今回は普通に相対します。


「誰かと思ったら五代目じゃねえか」


やはり、向こうもこちらを認識していたようです。コウイチは嬉しくなりました。それは、レッド・エゴスにまだ組織力があり、(前回の調査では見逃してしまっていた)なにがしかの活動を続けている証だからです。


「少し話がしたいのですが……」というコウイチの申し出は快く受け入れられましたが、レッド・エゴス……いや元レッド・エゴスの赤ら顔の老人の家に招き入れられると、コウイチは少し失望しました。築ウン十年の木造1Kアパートの室内は、完全に貧乏独身初老男のそれだったからです。<盾の会>のように、地下に大規模な施設があるのかとも考えたのですが、後日、工事を装って地中レーダー探査を行っても、それらしき構造物を発見できなかったのでした。


キャプテン・ジャパンにとってのレッド・エゴスといえば、バットマンにとってのジョーカー、スーパーマンにとってのルーサーにも匹敵する、一番の大敵でした。一方で、まだ20代のコウイチにとって目の前の赤ら顔の老人は明らかに年長者です。引き続き敬語で話しかけると、エゴスは吹き出しました。


「おいおい、いったい今度のキャプテン・ジャパンはどうしちまったんだ? 二代目や三代目は初対面でおれを殺さんばかりの勢いだったぞ。日本文化はオリジナルとコピーに違いがない、ってのがおまえらの主張じゃなかったのか?」


コウイチは苦笑しました。20年ごとに建て替えられる建築物が神聖なものとされる伊勢神宮に代表されるように、日本文化はオリジナルとコピーの弁別を持たない。コピーにオリジナルの生命なり、魂なり、「意思」なり、「記憶」なり……なにものかがが託され、コピー自体がオリジナルになる。これは天照大神と各代の天皇との関係と同じである――三島が『文化防衛論』に記した考えです。これは当然、初代と後継のキャプテン・ジャパンの関係性にも通じます。


コウイチは説明を始めます。新型コロナウイルスことCOVID-19によるパンデミック。にも拘わらず開催にむけて準備が着々と進んでいる東京オリンピック。このまま東京オリンピックが開催されればCOVID-19による死者が増えるのは明らかなこと。なんとしても開催を阻止したいが、それは自分一人では難しいこと、折り入って協力をお願いしたいことがあること……

そこまで説明すると、エゴスは笑い出しました。


「オマエも最近の若い奴らといっしょなんだな。連合赤軍や日本赤軍と俺たちとの区別がついていない。武装闘争や世界同時革命なんてとっくの昔にリアリティゼロだよ。結局<代々木>が正しかったってわけだ」


コウイチは知っていました。エゴスは連合赤軍や日本赤軍の母体となった赤軍派の最初期メンバーの一人でした。1970年、エゴスは逮捕され、スーパーヴィラン用の刑務所<弘明寺プリズン>に収監されます。約20年の獄中生活を経て釈放されると、かつてエゴスが作り上げ属した組織は、何度も内部ゲバルトを繰り返した挙句、崩壊していたのでした。

しかし、エゴスの心にはまだ革命家としての残滓が残っていました。シルバー人材センターからの紹介で得た駐車場管理員としての仕事に一労働者として汗を流しつつ(ずっと革命戦士として生きてきたエゴスにとって初めての「労働」でした)、仲間の管理員を巻き込んでエゴスのような世代のための労働団体<銀齢の会>を結成し、「老人いじめの市政と戦い、若者と老人から希望を奪う政権打倒」を目指し活動しているのでした。

そんなエゴスならコウイチがやろうとしてくれることに協力してくれるはずです。



●バーデン・オブ・ドリーム その3

コウイチは<施設>から回収してきた資料の一部をエゴスに見せ、説明します。資料に記載されていたのは戦時中に満州で行われた<超人血清>に関する実験結果――どれくらいの容量の<超人血清>が人体にどのような効果を及ぼすか――についての実験結果でした。


コウイチが注射されたのは約500ミリリットルの超人血清でした。資料によれば、100ミリリットル以上の注射で「超人」となる効果があることが示されていました。

それ以下の容量ではどうなのでしょうか? 資料には段階的に血清を希釈し、その効果を確認する実験が記載されていました。10ミリリットルと1ミリリットルでもそれなりの肉体と強化と抗老化の効果があり、100マイクロリットルでも筋力増強とたいていの細菌・ウイルス・寄生虫感染を防ぐという、軍事的に有用な肉体強化の効果があるとされていました。1マイクロリットルと100ナノリットルでは、筋力増強と抗細菌・ウイルス感染効果が無くなるものの、感染症発症が明確に抑制されることを示していました。凍結や凍結乾燥でも効力を失わず、安定して保管できるとのことでした。

資料には実験責任者として関東軍防疫給水部、明らかに731部隊が関与した人体実験でしたが、コウイチは隠さずにエゴスにみせました。


「1~0.1マイクロリットルね……」

 

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