おはようございます。マクガイヤーです。
前回の放送「放送100(+α)回記念 ヨーロッパ旅行報告会&オフ会」は如何だったでしょうか?
一緒に旅行に行ったシロたん(http://erosion-soft.com/)が出演してくれて、楽しい放送になりました。
ちょっとだけ訂正させて下さい。
「カルネアデスの板の絵画」などといっていた↑ですが、正しくは「メデューズ号の筏」でした。
「カルネアデスの板」はギリシャ時代に哲学者カルネアデスが出したトロッコ問題のプロトタイプのような哲学的思考実験ですが、同じようなことが実際に19世紀フランス海軍のフリゲート艦メデューズ号に起こり、それを題材とした絵画ですね。
また、旅行の概要は以前ブロマガにも書いていますので、合わせてお楽しみ下さい。
マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。
○12月15日(土)20時~「最近のマクガイヤー 2018年12月号」
・『来る』
その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。
○12月29日(土)20時~「Dr.マクガイヤーのオタ忘年会2018」
例年お楽しみ頂いている「オタ忘年会」。2018年に語り残したオタク的トピックスやアイテムについて独断と偏見で語りまくります。
アシスタントとして御代しおりさん(https://twitter.com/watagashiori)に出演して頂く予定です。
ちなみに過去の忘年会動画はこちらになります。
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
○1月前半(日時未定)「ぼくらを退屈から救いに来た『SSSS.GRIDMAN』と『電光超人グリッドマン』」
10月からアニメ『SSSS.GRIDMAN』が放送されています。
原作となる特撮ドラマ『電光超人グリッドマン』は1993~94年にかけて放送されていましたが、約15年間の特撮・アニメ・玩具・ネット環境・サブカルチャーなどの進化や深化を踏まえた演出・ドラマ・ネタの数々に、毎回ハァハァと興奮しながら視聴しています。これでやっと『電光超人グリッドマン』のことが好きになれそうです。
そこで、『電光超人グリッドマン』が平成特撮に与えた影響を踏まえつつ、『SSSS.GRIDMAN』のどこがどのように素晴らしいのかを解説するニコ生をお送りします。
さて、今回のブロマガですが、藤子不二雄Ⓐの『少年時代』について書かせて下さい。
●『少年時代』とは当時の少年漫画
「藤子不二雄Ⓐと映画と童貞」というタイトルの本連載ですが、『少年時代』を外すわけにはいきません。
『少年時代』は78年の夏から79年までの一年間「週間少年マガジン」に連載された作品なのですが、『少年時代』は作家 柏原兵三の自伝的小説『長い道』を漫画化したものです。そして、『少年時代』はⒶ作品の中では珍しく実写映画化されました。それも、Ⓐ自らがプロデューサーとなって。
舞台は太平洋戦争の末期、昭和19年の夏、主人公は小学5年生の風間進一です。東京から富山へ縁故疎開した進一は、進藤武(通称タケシ)という少年と親友になります。タケシは級長であり、番長であり、同級生の中でリーダーを通り越して権力者的存在でした。放課後、二人だけの時は親切に接してくれるのですが、学校や他の同級生がいる前では新一に対し常に冷たい態度で接します。やがてタケシに対してクーデターが起きるのですが……というのが『少年時代』のあらすじです。
このあらすじは原作小説『長い道』、漫画『少年時代』、映画『少年時代』の三作品で共通しています。
●『長い道』との違い
というか、このあらすじのみが共通している、といってもいいかもしれません。漫画『少年時代』と映画『少年時代』は比較的共通点が多いのですが、『長い道』と『少年時代』の間ではかなりの違いがあります。
まず、キャラクターの名前が異なります。『少年時代』の進一とタケシは、『長い道』では「杉村潔」と「竹下進」として登場しています。東京からの疎開者と田舎の級長で番長という関係性は同じですが、『少年時代』のタケシの家が貧乏で友達を招きたがらなかったのに比べて、進の家はある程度裕福という違いがあります。『長い道』の潔は進よりも少し背が低いという設定ですが、『少年時代』のタケシは大柄で筋肉質に描かれます。『少年時代』の方が、同じように勉強ができる優等生だけれども、裕福でひよわな都会ものと、貧乏だけど逞しい田舎ものという分かりやすい構図に落とし込んだともいえます。『少年時代』のタケシは愛国少年で、進一が戦争で日本が負ける可能性を口にすると激高しますが、『長い道』ではどちらかといえば主人公の潔の方が飛行兵になることを夢見る愛国少年です。
クラスメイトも、キャラクター的に整理された形で登場します。いかにも三下的なノボル・キヨシ・コウジの三人組、気のいいデブのマサルにおとなしいけれど観察力のあるキスケ、第二の番長的存在であるフトシ、中盤から登場して標準語を喋り虎視眈々と復讐の機会をうかがうダークホースのようなケンスケ(魔太郎的な要素を受け継いでいるともいえます)と、きちんと読み込まないと複雑な性格や背景を理解できない『長い道』に比べて、一目見ただけでキャラクターを把握できる分かりやすさです。中でも、悪意はないのに時々調子にのってしまうシゲルは、作画含めてどことなく『怪物くん』の狼男のような小市民的味わいがあり、ニヤニヤしてしまいます。
主人公の疎開環境も異なります。『長い道』では親戚の家に一人で疎開しますが、『少年時代』では弟と二人で知り合いの僧庵に疎開します。世話をしてくれるのは親戚ではなく庵主である尼僧です。『長い道』や映画版『少年時代』で登場する兄たちも漫画では登場しません(これに関連して、映画版の主人公の名前は「進二」となっています)。これは、Ⓐ自身が一人きりではなく母と弟の三人で疎開していたこと、1944年(タイミング的に疎開する直前です)に住職であった父が死ぬまで光禅寺に住んでいたことが関係しています。
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