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マクガイヤーチャンネル 第166号 【最近の映画】

2018/04/11 07:00 投稿

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マクガイヤーチャンネル 第166号 2018/4/11
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おはようございます、マクガイヤーです。

高畑勲特番、山田玲司先生とのイベント、そしてこのブロマガと、色々なことが重なってしまい、わりと忙しくなってきました。

でも、自分で望んだことだからなあ……頑張るぞ!




マクガイヤーチャンネルの今後の放送予定は以下のようになっております。


○4月14日(土)20時~

緊急特番「追悼高畑勲 勲の犯した罪と罰」

アニメーション監督の高畑勲さんが4月5日に亡くなりました。

哀悼の意を込めて、遺作となった『かぐや姫の物語』を中心に、これまでの高畑勲作品を振り返ると共に解説するニコ生放送をお送りします。

果たして姫、じゃなかった高畑勲の犯した罪と罰とは何だったのか?

高畑勲を失くした宮崎駿はどうなるのか?

高畑勲が日本アニメ、に遺した功績とは何なのか?

……そんなことについてお話できればと思います。



○4月28日(土)20時~

「『レディ・プレイヤー1』と『ゲームウォーズ』とスピルバーグ」

4/20よりスピルバーグの新作映画『レディ・プレイヤー1』が公開されます。

本作はアーネスト・クラインが2011年に発表したオタクコンテンツのスーパーロボット大戦のようなSF小説『ゲームウォーズ』を原作としています。VR空間を舞台にデロリアンやビバップ号が疾走し、レオパルドンやボルトロンがバトルするさまに、そのスジの読者は狂喜したものでした。

そんな『ゲームウォーズ』が映画化される、それもスピルバーグの手によって! スピルバーグによる有名小説やコミックの映画化は、ガッカリする結果になることもままあるのですが、予告をみる限り誰もが納得する映画化のようです。また、スピルバーグが全作品に渡って追い求めてきたテーマ「大人になること」「Homeを求めること」も当然のように含まれているでしょう。

そこで、これまでのスピルバーグ作品を振り返ると共に、『レディ・プレイヤー1』とその原作『ゲームウォーズ』について解説するのニコ生放送をお送りします。

アシスタントとしてアメコミ翻訳家の御代しおりさん(https://twitter.com/watagashiori)を再度お招きする予定です。



○5月3日(木)20時~

「『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はなにがインフィニティなのか」

4/27に期待の新作映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が公開されます。

究極のお祭り映画にしてイベント・ムービーである本作を観ない人なんていないと思いますが、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)シリーズもこれで19作品目、ここからMCUに入るのに躊躇している人もいるかもしれません。

そこで、これまでのマーベル映画作品を振りかえると共に、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を100倍楽しめるような放送をお送りします。

ゲストとしてアメコミ翻訳家の御代しおりさん(https://twitter.com/watagashiori)を再度お招きする予定です。



○5月26日(土)20時~

「石ノ森ヒーローとしての『仮面ライダーアマゾンズ』」

『仮面ライダーアマゾンズ』はシーズン1、2がAmazonプライム・ビデオで独占配信されている特撮シリーズです。

いわゆる平成ライダー1期のスタッフが『アギト』でも『ファイズ』でも『カブト』でもやれなかった仮面ライダー、あるいは石ノ森ヒーローとしての限界描写を突き詰めたような内容で、自分はおおいに楽しみました。

そんな『アマゾンズ』がこの春『仮面ライダーアマゾンズ完結編(仮)』として、劇場公開されるそうです。それも、これまで意欲作(と自分には思える)春のスーパーヒーロー大戦映画枠を廃止してまで公開する劇場版です。未だ詳細な公開日が発表されていないことが気になりますが、大いに期待しています。

そこで、これまでの『仮面ライダーアマゾンズ』を振り返ると共に、あるいは石ノ森ヒーローとしての『アマゾンズ』に迫りつつ、劇場版を予想するニコ生放送をお送りします。

今度のシロタロスは裏切らないぜ!

アシスタント兼ゲストとして、友人の虹野ういろうさんをお招きする予定です。




○6月初頭(日程未定)20時~

「最近のマクガイヤー 2018年6月号」

いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

詳細未定



○5月5日(土)開場12時、開演13時~

「山田玲司とDr.マクガイヤーのエロコンテンツバトル」 in 阿佐ヶ谷ロフトA

漫画家山田玲司とDr.マクガイヤーによるプレゼンバトル第二弾。

今回のバトルテーマは素直に「エロコンテンツ」!

「実はエロい」「意外にエロい」「本当はエロでしかない」……漫画やテレビや映画やその他のコンテンツについて、熱くトークバトルします。

果たしてどんなエロ話が飛び出すのか?!

イベント詳細は↓

http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/86342

チケットは4/6 12時より↓から購入できます!

http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002257405P0050001P006001P0030001






○Facebookにてグループを作っています。

観覧をご希望の際はこちらに参加をお願いします。

https://www.facebook.com/groups/1719467311709301

(Facebookでの活動履歴が少ない場合は参加を認証しない場合があります)



○コミケで頒布した『大長編ドラえもん』解説本ですが、↓で通販しております。ご利用下さい。

https://yamadareiji.thebase.in/items/9429081





さて、今回のブロマガですが、今週末のニコ生は予定を変更して高畑勲特集をお送りすることになりましたので、「最近のマクガイヤー 2018年4月号」で取り上げる予定だった最近公開されている映画について、紹介がてら短評を書かせて下さい。



『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』

そもそもリメイク元である『ジュマンジ』が、それほど大した映画ではなかったわけですよ。どちらかというと「『ジュラシックパーク』で確立したCGI技術を使って一丁おカネ稼ぐか!」的コンセプトが明け透けな映画で、たいして印象に残っていません。どちらかといえば、監督であるジョー・ジョンストンの次作『遠い空の向こうに』や、「精神的続編」であるジョン・ファブローの『ザスーラ』の方が面白かった記憶があります。

だからディレクターのケンちゃんに「えっ! 『ジュマンジ』観るんですか?!」と驚かれた気持ちはよく分かります。ただ、「オタクな高校生がマッチョ化したり、JKがおっさん化してゲーム世界に入る」というコンセプトが、どう考えても面白そうだったのですよ。そして、実際に面白かったです。

まず、「居残りを命じられたせいで様々なスクールカーストの異なる生徒たちが一同に集う」という、『ブレックファスト・クラブ』そのままの導入部に拍手です。ゲーム世界に行ってからは、童貞ドウェイン・ジョンソンやジャック・ブラックの女子力講座といった『君の名は。』ばりの中身と外見ちがうギャグを挟みつつ、「NPC」「説明デモ」「死んだら残機が空から落ちてきて復活」等のテレビゲームネタが実に楽しいのですが、異世界でしっかり成長する王道青春ストーリーという一本筋がしっかり通っています。ゲームで成長できないなんてウソやったんや!

更には、『ジュマンジ』シリーズにお馴染みの「別時間のキャラクター」との交流を用意しつつ、『ブレックファスト・クラブ』へのアンサーにもなっているラストには、感じ入ってしまいました。上手いなあ。さすが『ドリームキャッチャー』で有名な名脚本家兼監督ローレンス・カスダンの息子が監督を務めているだけのことはあります。

それにしても、『ピッチ・パーフェクト』『ホームカミング』『パワーレンジャー』そして今回の『ジュマンジ』と、ジャンルを越えて様々な作品が『ブレックファスト・クラブ』にオマージュを捧げたり、下敷きとしています。ジョン・ヒューズ作品はもう、当然踏まえておくべきクラシックという扱いなんですね。



『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

アメリカには、歴史的出来事を持ってくることで現在の出来事に対して上手いこと物申すという文化があります。現在起こっている社会問題に対して、建国の歴史や奴隷制度や第二次大戦などを例に持ってきて新しい視点を提供する(という形で自説を開陳する)、というやり方です。「フランス革命はテロだったのか?」「移民を排斥するなんて建国の父たちはどう思うか?」みたいな言説です。

スピルバーグはこれまで、『ミュンヘン』『リンカーン』『ブリッジ・オブ・スパイ』といった、このやり方を大いに利用した映画を作ってきました。いずれも、ポスト311、オバマ大統領と議会、移民問題といった当時の状況に物申す形で作られています(『リンカーン』は偶然そうなった部分が大きいのですが)。

たとえ政治的なテーマを扱っていても、エンターテイメントとしてみせるのがスピルバーグの上手さです。だから、これらの映画はスパイ映画やアメリカ人の大好きな法廷ものとしての魅力もてんこ盛りです(『ミュンヘン』に007でブレイクする前のダニエル・クレイグが出ていたり、『リンカーン』と『ブリッジ・オブ・スパイ』では主人公が弁護士だったりします)。

『ペンタゴン・ペーパーズ』もその例に漏れません。本作はあの手この手で国防総省の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を白日の元に晒そうとするワシントン・ポスト編集主幹(トム・ハンクス)のスパイ映画であり、法廷ものです。

一方で、スピルバーグの全作品には「故郷を探す流浪の民」「死者の目線」「立場の弱いマイノリティのアイデンティティ確立」というテーマが共通しています。実は、本作のメイン・テーマはこちらの方で、一番セレブな人物であるワシントン・ポスト社主・発行人であるグラハム夫人(メリル・ストリープ)が、実は最も立場の弱い人だったというみせ方が上手すぎます。裁判所を出る時に、様々な人種・世代の女性に無言の賞賛を受けるというシーンは、本作でスピルバーグが最もやりたかったことではないでしょうか。。社主の夫という「死者」に映画が支配されているというのも、スピルバーグらしいです。

 

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