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マクガイヤーチャンネル 第101号 2017/1/9
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年末年始のお休みがあっという間に終わり、驚愕しているマクガイヤーです。


もう三日くらい休みたい……




今後の放送予定ですが、以下のようになっております。



○1月14日(土) 20時~
「マイナー手塚漫画大バトル」

「国民的漫画家」「漫画の神様」と評される手塚治虫ですが、作品数が膨大なためか、死後27年経ったためなのか、『アトム』『ブラック・ジャック』といった有名作以外はあまり振り返る機会に恵まれません。
そこで新年スペシャル番組として、『Bバージン』『絶望に効くクスリ』『ゼブラーマン』などの著作でお馴染みの山田玲司先生をゲストにお迎えして、知られざる手塚漫画の魅力について2時間たっぷり語り合うことになりました。
それぞれのお薦め手塚漫画をプレゼンし合うという、ビブリオバトル形式でお送りする予定です。


○1月28日(土) 20時~
「最近のマクガイヤー 2017年1月号」

『ポッピンQ』

『動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊』

『マグニフィセント・セブン』

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』

『アンダーワールド ブラッド・ウォーズ』『バイオハザード・ファイナル』

『Y:The Last man』

その他、いつも通り最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。



○2月前半 20時~

「『沈黙』とマーティン・スコセッシの秘密(仮題)」

1/21より『沈黙 -サイレンス-』が公開されます。

本作は遠藤周作の原作を基にしつつ、これまでキリスト教をテーマの一つとして選ぶことの多かったマーティン・スコセッシ監督の20年越しの企画といわれています。

そこで、マーティン・スコセッシ監督の過去作をふりかえりつつ、映画『沈黙 -サイレンス-』について特集します。



○2月後半 20時~

「最近のマクガイヤー 2017年2月号」

いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

詳細未定。



お楽しみに!


番組オリジナルグッズも引き続き販売中です。

マクガイヤーチャンネル物販部 : https://clubt.jp/shop/S0000051529.html

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思わずエナジードリンクが呑みたくなるヒロポンマグカップ

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これからの寒い季節に着たい、乳首ポケストップトレーナー

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『ローグ・ワン』公開に合わせて着たい、マクガイヤー・ウォーズ トレーナー

 

……等々、絶賛発売中!




さて、今回のブロマガですが、前々回の続きとしてAmazonプライムで観ることができる『スーパー戦隊』シリーズのお薦め回について独断と偏見で語らせて下さい。



『救急戦隊ゴーゴーファイブ』27話『イエロー戦線離脱』

『ゴーゴーファイブ』といえば、強烈に覚えていることが二つあります。


一つはみやむーこと宮村優子です。声優業をやりつつJACにも所属していたみやむーは長年戦隊好きを公言してきましたが、本作で隣のお姉さん的なセミレギュラーポジションを勝ち取りました(「闇村悠ノ介」名義で敵側のマスコット的存在童鬼ドロップの声もやってます)。

てっきり、途中で第六の戦士に変身するものとばかり思っていたのですが……声優業が忙しかったのか、Vシネでのみ変身することになったのはちょっと残念でした。

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(残念ながらAmazonプライム対象外です)

でも、しょこたんは時間さえあればこういった立ち位置で『スーパー戦隊』に参加したいんだろうなあ。


もう一つは、レッドの異様なまでの熱さです。

『ゴーゴーファイブ』は一家の長であり博士である巽モンドを含めて、全員が家族という設定なのですが、

家族の誰かが新登場した強敵に負けそうになったら

「気合だー!」

と新武器を持って駆けつけ、

家族の誰かが敵の策略にハマって気落ちしたり心が折れたりしたら

「そんなもん、気合いで跳ね返せ!」

と胸倉をつかんだり、

そんな具合で、全てを気合いで解決するのです。

おかげで、他の四人のメンバーの影が薄いこと薄いこと……と思いきや、そうでもないところが本作の魅力です。


27話『イエロー戦線離脱』は四男でありイエローであるダイモンの主役回です。

末っ子的ポジションであるものの、努力家で心優しきダイモンは、敵の戦闘員であるインプスを討とうとします。使う武器は「Vマシンガン」、スーパー戦隊的には普通の武器ですが、日本で使う武器としてはオーバーパワーです。

で、運悪く、ダイモンが放った銃弾は逃げ遅れて隠れていた少年に当たってしまうのです。


「(絵の好きな克哉が)もし二度と描けない身体になったら、一生あなたを恨みます!」

「こんなミスをする人が、武器を持って戦って良いんですか!」

両親から非難されるダイモン。

「最低だ! 武器を使う怖さを忘れていた……戦っちゃいけないんだ、僕みたいな奴は!」

ダイモンは慟哭し、戦えなくなってしまいます。日曜の朝とは思えないシリアスさです。


「僕にはもう戦う資格がない」と塞ぎこむダイモンを、ここぞというタイミングで励ますマトイの台詞が奮っています。

「資格? 馬鹿野郎、そんなモン誰も持ってねえんだよ!

いいか、あるのは「責任」だけだ! 戦う責任。あの子を傷つけちまった責任。

そいつを果たすには、この地球を守るしかねえんだ。

俺は励まさねぇぞ、慰めるつもりもねぇ。 自分の責任は自分で取れ、立ち上がって来い、ダイモン。そしたら俺達が幾らでも支えてやる!」

なんかもう書き起こしてるだけで熱くなってくる台詞です。


奮起したダイモンが、途中で少年の両親に頭を下げたり、全てを察知した父親が怒る母親を無言で制止したりするシーンを入れるのがまた上手いです。

更に、この後ダメ押しとしてダイモンがもう一回Vマシンガンを撃つシーンがあるわけです。


刑事ものなんかでよくある話といえばそれまでなのですが、あまりの完成度の高さに唸らされました。



●『救急戦隊ゴーゴーファイブ』36話『奥義! 竜巻落とし』

こちらもダイモンの主役回です。

牛乳が大好きなダイモンは、番田流格闘術の使い手なのですが、この回には師匠である番田一徹が登場します。牛乳を飲みながら登場するところがポイントです。

師匠は本当に強く、敵の怪人――サイマ獣スパルタンさえ投げ飛ばしてしまいます。あまりの強さに思わず弟子入りしてしまうスパルタン。しかし、それは策略で、師匠の奥義「真空竜巻落とし」を盗んだスパルタンはすぐに裏切ります。

一番弟子としてスパルタンと対決するダイモン。しかし、番田流格闘術の最強奥義を破るには、オリジナルの技を開発しなければなりません。病気を抱えた師匠をくしゃくしゃの顔で投げ、オリジナル最強奥義……いわゆる「師匠越え」の話なのですが、ここでダイモンが放つオリジナル最強奥義の名が……

なんと「牛乳竜巻落とし」!


バックに雪印牛乳の画像がインサートされ、「ンモー!」というSEまで入ります。

何故雪印牛乳かというと、この時期スーパー戦隊シリーズのスポンサーの一つが雪印だったからです。皆さんご存知の通り、雪印乳業はこの後集団食中毒事件をおこし、雪印メグミルクになったことを考えると味わい深いです。


ダイモンを演じた柴田賢志さんは、実はメンバーの中で最年長だったりするのですが、ちょっと上ずっている声と、ほとんど顔芸なくしゃくしゃの笑顔や怒り顔で、見事に末っ子的ポジションを熱演しています。


柴田賢志さんは番組終了後、脳腫瘍であることが分かり、芸能界を休止します。脳腫瘍の手術は成功したものの、後遺症で右半身麻痺、治療で服用したステロイドの影響で大腿骨骨頭壊死を抱えながら生活しているものの、2016年には横浜市内の幼稚園にスタッフとして就職したそうです。

http://plaza.rakuten.co.jp/kingkenji/



●『救急戦隊ゴーゴーファイブ』41話『マトイが負けた男』

メンバーが全員兄弟で博士や司令官や「おやっさん」的ポジションの人を含めて家族である、という設定は『スーパー戦隊』では全然珍しくないのですが、『ゴーゴーファイブ』は敵も家族であり、家族VS家族という点に面白さがあります。


で、この回は戦隊メンバーの父親であり博士である巽モンドを演じるマイク眞木の息子である真木蔵人が、マトイの首都消防局レスキュー隊員時代の先輩にしてライバルとして登場し、終始いがみあうのです。つまり、マイク眞木の番組上の息子と実の息子が張り合うわけですね。

勿論、最後には和解する(というか最初からマトイのことを認めていたことがわかる)という黄金ストーリーなのですが、吉田豪いうところの「最強」である( <http://miyearnzzlabo.com/archives/37634 )真木蔵人の特撮らしくない演技や、マイク眞木への「遊び尽くしたって顔してますね」という台詞、それに対するマイク眞木の「親の顔がみてみたい」という返し……等々のメタ的笑いが見所です。


今気づきましたが、36話もこの話も小林靖子脚本なんですね。



『未来戦隊タイムレンジャー』32話『犯罪者を救え』

自分は小林靖子のことを00年代の東映特撮を救った女だと考えております。

そんな靖子にゃんが『ギンガマン』に続いてメインライターを務めたのが『タイムレンジャー』です。

・ストーリーに一年を通じた仕掛けを作る

・にも関わらず、ストーリーではなくキャラクターありきで脚本を書く

・追加戦士を含めて無駄になるキャラクターが(少なくとも味方側には)いない

……といった『スーパー戦隊』における靖子にゃんの手法が確立した作品が『タイムレンジャー』です。


また、本作が放送された2000年は平成ライダー第一作である『仮面ライダークウガ』が放送された年でもあります。当然、直後に放送される『クウガ』と比較しても見劣りしないようなシリアスさや仕掛けが備えられています。カラオケで全く歌うことができない主題歌と、幼児をお遊戯させることなんて一欠けらも考えていないエンディングテーマに気合すら感じてしまいます。5機の戦闘機がまるでゲッターロボのように3形態にチェンジするタイムロボもカッコいいです。『クウガ』よりも本作の方が面白いと主張していた人も少なくありません。その一人が自分です。



本作も、とりあえず全部観ておけ、『シンケンジャー』が好きな人は絶対に観ておけ……と言いたいところですが、一本だけ観るなら32話でしょう。


『スーパー戦隊』のお話には「七変化回」「洗脳回」「恋愛(失恋)回」「レッドが一人で戦う回」「イエローやブルーがカレーやあんぱんのために仲間を裏切る回」……等々、幾つかのフォーマットがありますが、「敵怪人が仲間になる回」もその一つです。

『タイムレンジャー』の32話『犯罪者を救え』も「敵怪人が仲間になる回」の一つなのですが、面白いのは、本作における「怪人」は改造された人間でも知能の低いモンスターでも突然変異で生まれた哀しきミュータントでもなく、知性も人権も尊厳もある宇宙人(但し犯罪者)であるという点です。「未来戦隊」の名の通り、タイムレンジャーのレッド以外の4人(と敵)は31世紀の未来から時を越えてやってきた未来人なのですが、31世紀の地球は宇宙旅行と異星との交流が日常化しており、様々な宇宙人が普通に地球にやってきているという設定なのですね(この「怪人ではなく宇宙人である」という設定は後の『デカレンジャー』でも使用されることになりました)。

で、敵組織である「ロンダーズ・ファミリー」は世界征服でも人類抹殺でもなく「金儲け」の為に行動しており、ロンダー刑務所の上層階ごと現代にタイムスリップしてきた関係で、「圧縮冷凍刑」にされた宇宙人の囚人たちを少しずつ解凍して共闘を持ちかけて自分達の仲間にしている……という凝った設定です。よく考えたなあ。


で、この32話では心優しき爆弾魔D.D.ラデスが、もう人は傷つけたくないとロンダーズを脱走します。ラデスは数週間前から登場した6人目の戦士にして第三勢力であるタイムファイヤー率いるシティガーディアンズに追われるのですが、タイムレンジャーのメンバー中唯一の宇宙人であるシオンは同じ宇宙人としてラデスを守るという熱いお話です。


タイムファイヤーは、傍目からはモンスターにしかみえない爆弾魔D.D.ラデスを追い詰めます。

「化け物に生きる権利は無い」

と言うタイムファイヤーに対して、反論するシオンの言葉が凄いです。

「化け物ですって! そんなの変です!

見かけが地球人と違うからって撃つんですか? 生きる権利を奪うって言うんですか?

彼らから見れば、銃を構えて立つあなたの方がよっぽど怪物です!!」


つまりこの回は、「敵怪人が仲間になる回」というフォーマットを利用しつつ、「差別」をテーマにした、実に深い回だったのです。

ラデスの姿かたちがこれまでのスーパー戦隊においてサクサク殺されてきた「怪人」そのもので、視聴者もそのように考えがちというジャンルのお約束すら利用しています。差別している人は差別を感じないのですから。実に見事です。


そんなふうにお薦めしつつも、この回の脚本は靖子にゃんではなく山口亮太なのですが。



●『未来戦隊タイムレンジャー』43話『歴史修正指令』


『タイムレンジャー』は一年を通じた大仕掛けが実に見事で、財閥の御曹司であるレッドと父親との関係や、それぞれの理由を抱えた未来人であるレッド以外の4人のタイムレンジャー、彼らを現代に派遣した時間保護局レンジャー部隊長リュウヤ(まだあどけなさの残る永井大がレッドと一人二役)、庶民から成り上がろうとするタイムファイヤー、そして快楽殺人犯が混ざっていたロンダーズ・ファミリー……といったキャラクター全員のお話が佳境を迎える43話から最終話までの流れが最高なのですが……とりあえず全部観てください!


『忍風戦隊ハリケンジャー』3話『ニセモノと60秒』

スーパー戦隊のお楽しみの一つに、「たまに豪華すぎるゲストが出る」という点があります。

『バイオマン』でイエローフォー失踪のお詫び的に出演した真田広之から、このブロマガでも話題にした『カクレンジャー』のショー・コスギ、『ゴーゴーファイブ』の真木蔵人と枚挙に暇がありません。最近ではお笑い芸人がゲストどころかレギュラーを務めるのが半ば恒例となりました。

そして、なんとこの『ニセモノと60秒』では……おれたちのアイドル、杉作J太郎が登場します!!

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ヤッター!


しかも杉作J太郎の役柄は、なんと「音楽プロデューサー」です!

長澤奈央演じるハリケンブルーは普段、演歌アイドルとして活動しているという設定で、この回はハリケンブルーの主役回なのですが、もう杉作J太郎がつんくや秋元康のパロディのような「怪しい音楽プロデューサー」を完璧に演じています!


ロフトプラスワンで行われたJ太郎と吉田豪のイベントで一度上映されたことがあるのですが、ロフトプラスワンが爆笑の渦でした!



●『忍風戦隊ハリケンジャー』30話『アイドルと友情』

ピンクの主役回といえば「七変化回」「失恋回(主に小林靖子脚本)」「(視聴者代表のような男性キャラクターとの)恋愛回」「もう一人の女性メンバーとのいがみ合い回」……等々が定番でしたが、この回にて新たなフォーマットが誕生しました。

それが「(主に荒川稔久が脚本を書く)アイドル回」です!


これまでの「七変化回」は、ピンクがコスプレをしまくり、女幹部とキャットファイトを繰り広げる……といった展開に大きなお友達向けの魅力がありました。

アイドル回は、敵と味方の女性キャラクター含めてコスプレしまくるという点は同じなのですが、なんと敵味方の垣根を越えてユニットを組み、アイドル活動をするのです!


色々あって、悪の組織であるジャカンジャを辞めたフラビージョ、演歌アイドルとして営業中のハリケンブルーに報告していると、なんとマネージャーにスカウトされます!

「実は新しい展開を考えていたんだ。二人で、アイドルユニットを組む!」

……という驚きの展開に!

や、驚きではありません。ハリケンブルーを演じる長澤奈央も、フラビージョを演じる山本梓もグラビアアイドルなのですから。


二人は「美女っ娘セブン」というダサすぎることこの上ない名前のユニットを組みます。アイドルソングが流れる中、いかにも練習中のアイドルらしいジャージやTシャツ姿で歌とダンスの特訓を繰り広げるモンタージュの完成度が半端ではありません。脚本家だけでなくスタッフもノリノリです。

フラビージョはハリケンブルーにジャカンジャを裏切った理由を告白します。


「私、宇宙忍者学校のオチこぼれだったの。それで私は宇宙コギャルになった。なんでもよかったの、生きてる意味がみつかれば。でも、(そうやって入った)ジャカンジャでもまた落ちこぼれ」

「分かる気がする……私も落ちこぼれだったから」

「私たちの歌でみんなをハッピーにしよう! そしたら、ジャカンジャだって見返せるよ!」

売り出し中の若手アイドルのごとく友情を結ぶ二人。ここら辺、本当にアイドルが好きなスタッフが作ってるんだろうなあという力の入った映像が続きます。


しかし、それは最強ロボフラビジェンヌを作らせようとするフラビージョの策略だったのです。

「美女っ娘セブン」のポスターを破くフラビージョの姿がショッキングなことこの上ありません。

演歌アイドルらしく、演歌が鳴り響く中、必殺仕事人のごとくフラビージョに復讐する長澤奈央の素面アクションがたまりません。

長澤奈央が破られたポスターを手にして、二人で特訓していた丘の上で人知れず涙を流す……というラストも最高です。


以降、「アイドル回」はスーパー戦隊の定番の一つとなり、『ゴーオンジャー』で一つの究極形に達します。



『特捜戦隊デカレンジャー』37話『ハードボイルド・ライセンス』

靖子にゃんが開発した「まるでアニメのごとく個性的なキャラクターありきで脚本を書く」という手法は戦隊・ライダー限らず東映特撮の定番になりました。

『ゴーオンジャー』までオールアフレコで作られ、着ぐるみキャラは声優が演じる東映特撮は、押井守が「すべての映画はアニメになる」という名言を吐く前からアニメ的要素が高かったのですが、いよいよ製作陣も意識するようになったのです。

それに加えて『デカレンジャー』は、異様なまでの脚本・映像面でのクオリティの高さが特徴です。なにせ数々の刑事モノ・警察モノの名作を放ってきた東映です。更に、『相棒』『科捜研の女』といった現役の人気刑事・警察シリーズと重複するスタッフも多いです。


その『デカレンジャー』における最高傑作が『ハードボイルド・ライセンス』です。


はっきりいって、刑事モノにはよくある「貧困と病気ゆえに犯罪に走る孤独な家族」というか、『怪奇大作戦』の『死神の子守唄』そのままのプロットなのですが、映像作品としての完成度が半端ではありません。


貧乏アパートで孤独に暮らす(異星人の)姉弟、犯罪者に思わず共感してしまう刑事(デカブルー)、ヒロインが奏でる『非情のライセンス』『特捜最前線』ばりのムード歌謡BGM、電車が走るカットと共に告白される真実、地下道での実相寺ライクなグラフィカルな構図、止め絵で表現される発砲、涙のような雨に濡れる刑事……と、力の入り具合が半端ではありません。

当然のように戦闘員との集団アクションも巨大ロボ戦もカットです。

そして、デカブルーとヒロインとの関係性は、『京都買います』ばりの結末に辿り着きます。


こんなものがニチアサに放送されるのか! と、テレビの前で何度も息を呑みました。



『魔法戦隊マジレンジャー』45話『二人はともだち~ジー・ゴル・マジュナ~』

●『魔法戦隊マジレンジャー』46話『湖へ向かえ~ゴール・ゴル・ゴル・ゴルディーロ~』

前述の通り、「敵怪人が仲間になる回」というのは「スーパー戦隊」におけるフォーマットの一つなのですが、その究極形が『マジレンジャー』の45・46話だと思うのですよ。


『マジレンジャー』は魔法モチーフというかハリー・ポッターを意識した戦隊らしく、「冥獣グール」とか「冥獣人ハーピー」とかいったファンタジーにおけるモンスターをモチーフとした怪人が出てくるのですが、終盤に「冥府十神」という最強の敵が出てきます。

「十神」の名の如く、イフリート、サイクロプス、ゴーゴンといった有名どころのモンスターをモチーフとした怪人が、十体まとめて出てくるのです。まさに平成のデルザー軍団です!

冥府十神は「神罰執行神」として「絶対神ン・マ」というラスボスを復活させようとします。


一方、マジレンジャーもゴーゴーファイブと同じく、メンバー全員が兄弟であり司令官役も含めて家族なのですが、二人いる女戦士のうちの一人マジピンクが、長女にも関わらずホワホワした天然ボケした性格でして、冥府十神の一人ティターンが戯れに犬を撫でている姿をみて

「アフロくん、あなた、いい人でしょ。殺生は嫌いとか言ってたし」

……などと言い放ち、友達になろうとするのです。ルフィか!

横にいたアニキであるマジグリーンは呆然自失です。なにせ、マジレンジャーはつい数分前にティターンにボッコボコにされているのですから。


てっきり、父も母も変身できるマジレンジャー一家と冥府十神の血で血を争う闘争が始まるかと思った自分はテレビの前でずっこけました。

そうそう、「アフロくん」というのは、ティターンの頭部形状がアフロに似ているからですね。


で、反対するマジグリーンを説得するために、マジピンクはティターンの前に立ちはだかり、自分を殺せと詰め寄ります。神罰執行でン・マを復活させたら皆死んじゃう。さっきティターンが可愛がっていた子犬も死んじゃう。優しいあなたにそんなことはできないはず。どうせ皆殺すなら手始めに私を殺して! ……というわけです。

そりゃ、番組前半でボコボコにされたのはロボ戦で、『スーパー戦隊』には「素面で死ぬことはありえない」というお約束がありますが、『ジェットマン』最終回がそうだったように、そのお約束は時折裏切られます。


勿論、ティターンはマジピンクを殺せません。それどころか、自分を殺してン・マを復活させようとする他の冥府神から逃れるために、マジピンクとグリーンの三人で逃避行するのです。



こんな終盤にこんな無理のある展開させるなよ! と憤る視聴者もいそうですが、自分には作り手の思いが理解できました。


このマジレンジャーが放送されたのは2005~2006年、2001年の911テロをきっかけとして起こったイラク戦争は一応終わったことになっていましたが、イラクではテロがドンドコ起こっていた時期です。

そんな中、『マジレンジャー』の作り手たちは、自分達にしかできないやり方で「戦争の止め方」を提示したかったのではないでしょうか。

そんな風に観ていたら、何故か感極まってしまったことを強烈に記憶しています。いや、マジで。


『タイムレンジャー』の32話のように第三勢力を登場させずに展開させたり、視聴者代表であるところのマジグリーンが「俺がインフェルシアは全員悪い奴だと決め付けていただけだったのか……?」と心の声でつぶやいたりするところも上手いです。


そうそう、ティーンエイジャーでアホみたいに可愛いホラン千秋も見どころの一つです。





特につまらないわけでもない『ガオレンジャー』『アバレンジャー』も省略して今回で終わらせようと思っていたのですが、どうも書きすぎてしまったようです……すいません、もう一回だけ続きます!



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企画編集:Dr.マクガイヤー
     平野建太

発  行:株式会社タチワニ
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