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マクガイヤーチャンネル 第78号 2016/8/1
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おはようございます。『シン・ゴジラ』を本当に観たマクガイヤーです。ゲロ吐くシーンのある映画は傑作の法則がまた一つ証明されましたね!

前回の放送「最近のマクガイヤー 2016年7月号」は如何だったでしょうか?

ポケモンGOネタもスパロボネタも結構ウケて、虹野先生もちょっと出演してくれて、楽しい放送になったと思います。


一つ訂正があります。

次回8/11の『シン・ゴジラ』特集のアシスタントはしまさんとお伝えしましたが、別の実力派アシスタントが出演予定です。

8月は3回放送予定ですが、残り2回の放送はしまさんがアシスタントを務めてくれます。しまさんファンも安心ですね!


改めまして、マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。



○8/11(木)20時~(仮)

「『シン・ゴジラ』とゴジラ評論」

7/29より期待の怪獣映画『シン・ゴジラ』が公開され、各所での評価も上々です。

日本製作のゴジラシリーズとしては12年ぶりであり、総監督・脚本は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』を中断して参加する庵野秀明です。また、監督・特技監督を『平成ガメラ』シリーズや『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』で腕を奮った樋口真嗣が務めます。特撮博物館や、そこで上映された『巨神兵東京に現わる 劇場版』のコンビが、ギャレス版『GODZILLA ゴジラ』後の日本版『ゴジラ』を作るわけです。日本映画界におけるこの夏最大の話題作といっていいでしょう。

そこで、いったい『シン・ゴジラ』とはどういったものかについて語りたいと思います。

是非とも『シン・ゴジラ』を鑑賞後にお楽しみ下さい。

実力派アシスタントが出演予定です。

お楽しみに!



○8/16(火)20時~(仮)

「マイナー生物大バトル(仮)」

先日ゲストとして漫画家 山田玲司先生が主催する山田玲司チャンネルに出演しました。

先生は『Bバージン』『絶望に効くクスリ』『ゼブラーマン』などの著作でお馴染みですが、先生は『Bバージン』の後半や『ドルフィンブレイン』でもお分かりの通り、生物に造詣の深い方でもあります。

そこで8月スペシャル番組として、山田玲司先生をお迎えして生物について2時間たっぷりお話することになりました。

山田玲司先生をお迎えするのに漫画のことを全く語らないこの贅沢さに驚け!

アシスタントはしまさんが務めてくれます。



○8/21(日)20時~

「夏休みスペシャル ドクターのお宅訪問!」

毎年恒例となっておりますこの企画。

いつもはワニスタからお送りしている当番組ですが、夏休みで家族がいない隙を狙って、マクガイヤー家から生放送でお送りします。

スタッフとアシスタントは暑さに耐えられるのか?

昨年と比べて玩具はどれくらい増えたのか?

ダサいTシャツはどれくらい出てくるのか?

乞うご期待!




番組オリジナルグッズも引き続き販売中です。

マクガイヤーチャンネル物販部 : https://clubt.jp/shop/S0000051529.html

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ワレカラ・エイリアン・ウォーリアー


……等々、絶賛発売中!




さて、今回のブロマガですが、本当に観た『シン・ゴジラ』についてです。


本ブロマガをお読みの皆さんなら当然既に映画館で観ているものと思うのですが、一応、明示するまでなんとなくネタバレしないように書きますよ。


ゴジラ映画といえば、宮崎アニメ以上の「国民的映画」だった時代があったわけです。

だから、宮崎アニメの3倍、細田アニメの10倍くらい色々言われます。「不安」だの「期待してる」だの「希望を持ってる」だの、公開前から毀誉褒貶激しいわけです。別にゴジラ新作がコケても当たってもメリットもデメリットも無い人間――関係者でもなんでもない人間が大半なのですから、不安も期待も希望も関係ないのですが、それだけ「自分」と「ゴジラ映画」とを心の中の同じ箱に入れている人間が多いということでしょう。

つまり、それが「国民的映画」です。


で、既に観たであろう我がブロマガ読者の皆さんなら同じ思いだと思うのですが、『シン・ゴジラ』はめっちゃ面白かったわけですよ!

よかった! 安心した! まだ映画を観てもいない(おれみたいな)ウザいオタ客の中傷に耐えてよく頑張った!!


なにが良かったかというと、そのバランスです。

まず『シン・ゴジラ』は、ほとんどコントみたいな政治劇から始まります。大杉漣、柄本明、余貴美子、渡辺哲……といった、今の日本映画には欠かせない錚々たる役者陣が閣僚を演じているのですが、台詞が変です。

もう、全然リアリティの無い台詞を、変な間で、しかも早口で喋るのです。誰だ『シン・ゴジラ』は日本にゴジラが襲来したリアルなシミュレーション云々などと言ったのは。

凄いのは、今なにが起こっているのかが、全て台詞で説明されることです。会議の中で説明されなかったことは、直後に下っ端官僚たちの愚痴や世間話や注意という形で、これまたすぐに説明されます。20年ほど前に『総理と呼ばないで』という三谷脚本のコメディドラマがあったのですが、あのドラマの台詞と台詞の間を編集で詰めれば、ほとんど同じようなものになるのではないでしょうか。

というか、『シン・ゴジラ』の会議シーンは役者陣の台詞の応酬を、編集段階で実際に間を詰めています。よくいえば演劇的で戯画的な政治ドラマになっています。悪くいえば、樋口真嗣は過去の監督作で人間ドラマの演出の下手さを批判されてますし、庵野秀明に至っては人間に興味が無いわけですが、両監督はこれを充分に自覚していて、本作ではアヴァンギャルドといっても良い方法論で押し切った結果でしょう。

会見前にパフォーマンスとして作業服に着替えたり、次々と入ってくるメモで答弁内容を変えたり、なにかにつけて会議するシーンなどは、分かり易い笑いどころとして演出されてます。閣僚全員で弁当食べたりお菓子つまんだりするシーンが無いのが不思議なくらいです。そういえば『トップをねらえ!』では、寿司をつまみながら会議するシーンがありましたね。

日系女性が40代で大統領というのは冷静に考えて全くリアリティがありませんが、このありえなさは一周廻って東宝特撮っぽい、といっても良いでしょう。というか、インチキ外国語訛りの日本語を喋るアスカの21世紀実写版と受け止めたいところです。嗚呼、それにしても、石原さとみと長谷川博巳が恋愛してキスするとか、親子○世代のドラマがどうこうとか、そういうのが無くて本当によかった。


その後、東宝自衛隊史上最もリアリティ溢れる戦闘シーンが描かれ、映画の中のニッポンはシリアスな状況に陥り、観客にあっと言わせる展開でウソみたいなハッピーエンドを迎えます。これらは、両監督がこれまでの作品で培った方法論・演出論を存分に活かしており、観客がもっともみたいシーンが続くわけです。『踊る大捜査線』でも使われた『エヴァ』の「Decisive Battle」や、『怪獣大進撃』『宇宙大戦争』)の自衛隊マーチが流れるシーンは、「ここからは違う映画ですよー!」という宣言であり、リアリティレベルが若干変わる目印なわけです。10式戦車が超信地旋回してから、武蔵小杉の多摩川河川敷を逃げ回るシーンはガルパン感がありました。


テーマとしては、初代『ゴジラ』が太平洋戦争の9年後、第五福竜丸事件の8ヶ月後の日本に現れた戦争や核の呪いや復讐や象徴であったのに対し、「第二の戦後」5年目に現れた震災や津波や原発事故の呪いや復讐や象徴としてのゴジラを描いているわけです。「想定外だよ、よくあることだろ」とか「それどこの省庁に言ってます?」とか「貴方の国は誰が決めるの?」とかいった台詞の数々や、放射能汚染について発表するのを戸惑ったりするシーンや、なによりも本作におけるゴジラの倒し方やその結末は、福島第一原発事故直後の混乱と「アンダーコントロール」されている現状の戯画化として、これ以上ないというくらいの収まりの良さです。死人や被害がこれ以上のレベルで描写されていたら子供から大人まで観られるG指定のエンターテイメントになりえなかったでしょうし、かといって(過去の多くのゴジラ映画にように)放射能や死人が中途半端な描写だったら311を経験した観客に届かなかったでしょう。

希望溢れるラストも、現実への皮肉な応援歌と考えれば悪くありません。現実には、政治や権力構造のスクラップ&ビルドは起こりませんでしたし、除染には長い長い時間がかかるのですが、これはウルトラセブンの『狙われた街』の最後のナレーションみたいな意味合いがあるわけですよ。

ご安心下さい、これは遠い遠い未来の物語なのです……えっ何故ですって? 我々人類じゃなかった日本人は今、政治や権力構造をスクラップ&ビルドできてませんし、いつ終わるとも知れない除染に苦しんでいるわけですから……


一つ疑問なのは、本作が福島第一原発事故が起こった我々の現実世界の延長線上の世界観で作られているのか、もしくは原発事故が起こる代わりにゴジラが襲来するのかという点です。おそらく前者なのですが、この点は8/11のニコ生放送できちんとお話できると思います。

 

さて、本作で自分が気になったのは、学者たちです。

それも、映画監督が役者として出演して演じる学者たちです。

具体的には、松尾スズキと塚本晋也と岡本喜八です。



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