玉城幹事長代理 衆議院本会議討論(2014年5月15日)


5月15日、衆議院本会議にて、前日開催された厚生労働委員会で強行に採決された、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」の審議が行われ、これに対して生活の党を代表し、玉城デニー幹事長代理が反対の立場から討論しました。


20140515衆議院本会議討論(玉城)



【 反対討論全文 】


生活の党の玉城デニーです。
私は生活の党を代表して、議題となりました本法律案に対し、反対の立場から討論を行います。

まず、昨日の厚生労働委員会において強引に審議を打ち切り、採決を強行したことに対して厳重に抗議します。言論の府におけるこのような暴挙は、巨大与党の思い上がり以外のなにものでもありません。

本法案は、医療・介護という国民の生命・健康・生活に直接影響するものです。それゆえに野党各党は与党に対して、十分な審議時間を確保し、慎重に審議を進めることを再三再四求めてまいりました。

しかし、重要広範議案であるにもかかわらず、わずか28時間の審議時間を持って、昨年の社会保障制度改革プログラム法や特定秘密保護法などに引き続いて、またもや強行採決に踏み切った与党と安倍内閣の姿勢はまさに、議会制民主主義を根底から否定するものであると、糾弾されるに等しいものであります。

医療と介護の改革を一体的に進めることは必要と認めるものの、制度それぞれについては大きな改革を伴うものであるため、本来はそれぞれ個別に法案として審議することが重要であります。

にもかかわらず、19本にもわたる法律の改正を一つの法案にまとめて国会へ提出いたしました。これは個別の課題について審議を深めにくくするだけの、姑息で乱暴なやり方でしかありません。肥大化した与党の下でこうした法案提出や、国会日程ありきの短時間審議での採決強行を許してしまえば、国会での充実した国民の為の審議が不可能となり、国民を軽視する「白紙委任政策」が推しすすめられてしまうのです。

国民の生活が第一とする生活の党は、このような国会運営に断固として抗議し、法案の内容について、到底容認できるものでないことを申し上げておきます。

本法案では、介護保険制度改革において、一定所得以上の介護保険利用者の負担を2割に引き上げること、補足給付の支給要件として収入に加え、預貯金を勘案するなど、国民の負担増になる項目が並んでいます。政府は社会保障を充実させるといって4月から消費税を5%から8%へ引き上げました。
社会保障の充実が口先だけのもので、かえって負担が増えてしまうというのでは、国民は到底納得できるものではありません。

さらに、介護の現場を担っている介護従事者の処遇改善を図るための措置がなんら講じられていません。介護従事者の給与は低くとどまっており、消費税の引き上げによって実質的に下がっています。

これに追い打ちをかけるのが予防給付の地域支援事業への移行です。介護費用全体を抑制する圧力の下で、多様な主体を活用するという美名に言い逃れてボランティアを多用するということになれば、ヘルパー等の処遇が悪化する恐れも指摘されており、介護人材の確保が極めて重要な課題であるにもかかわらず、本法案ではその課題解決が図られないばかりか、介護人材の不足を一層悪化させる恐れすらあります。
現場の声をも無視し、受け皿の無いまま制度改革を強行すれば、要支援者等の弱者にしわ寄せがいくことは必定明らかであり、生活の党として絶対に看過できません。

高齢化が進展する中、国民の皆様が安心できる社会保障制度の実現のため、公的な責任における政策を充実させるべきであります。
しかし、国民への自助を強調し強要する安倍内閣の進める社会保障制度改革は、こうした方向に明らかに逆行するものです。

国民への負担増を押し付け続ける延長線上にある本法案は、絶対に賛成できるものではないことを重ねて申し上げ、私の反対討論といたします。