衆議院本会議討論(2013年11月7日)
衆議院本会議にて、NSC(国家安全保障会議)設置法案、および自民・公明・民主3党提出の修正案について討論が行われ、生活の党を代表して玉城デニー幹事長代理が反対の立場から発言しました。
討論内容全文は以下の通りです。
【反対討論全文】
私は、生活の党を代表して、政府提出の安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案および自民党、公明党、民主党提出の修正案に対して反対の立場から討論を行います。
国民の安心、安全を確保することは国家の責務であり、そのために首相官邸に省庁縦割りの弊害を排し、外交・安全保障政策立案を一元的に担おうとする基本的な考え方は理解できるものです。
しかし、安倍政権が進める本法案によってもたらされるのは国民の安心・安全ではなく、むしろ最大の同盟国であるアメリカとの情報共有による安全保障偏重の政策判断と実効性を担保させようとするものであります。
このことは、「総理への権限集中」と「情報の一元化」などを一層強化し、中国や韓国、北朝鮮との更なる緊張と平和に対する脅威を煽るものであり到底賛成できるものではありません。
この間の委員会における質疑で、これまでも日本版NSCの名称や制度がなかろうとも危機管理や外交政策、安全保障政策という実務は内閣として機能していたこと、また、情報の取り扱い是非についての仕分けも問題はなかったことが確認できています。
情報の一元化と総理への権限の集中は、総理の絶対的権限をさらに集中させることへ繋がることは明らかであり、本来、この絶対的権限は抑制的に使わなければなりません。
アメリカやイギリスのNSCをモデルとしたというのであれば、例えばイギリスのように野党党首がNSC会議に参加できるような、国民の生命・安全に直結する外交・安全保障での意思決定には、党派を超えてコンセンサスを図るということが必要であります。
さらに言えば、「集中する情報の正確性への疑問を常に持つこと」や、「外交安全保障政策立案の決定に至る前の、必要な抑止力の分析も含めた、日本の防衛・外交の全体像をしっかり出し、二度と無駄な戦争をしないこと」に最大の任務を負うべきだ、という政策理念を有することが重要なのです。
総理が「このNSC法案と両輪である」と表現された「秘密漏えいの防止と罰則を強化するための特定秘密法案」いわゆる「特定秘密保護法案」がすぐ後に控えており、国家の機密保持以上に国民に保障された「知る権利」や「自由な取材の著しい制限」「秘密漏えい防止の厳罰化」など「秘密漏えいの防止と罰則を強化するための特定秘密法案」への大きな疑念や懸念が、国民はもとより、外交政策で順調に連携と成長路線に進もうとする先のAPEC会合各国からも、安倍政権の外交・安全保障政策に警鐘を鳴らす論調が強くなっていると言われています。
丁寧に、時間をかけて国民の声を聴き、慎重に審議することこそが尊重されなければなりません。
会期の短いこの臨時国会で、本法案や特定秘密法案等の早期成立を急ぐため、たたらを踏まんとするばかりに前のめりになっている安倍政権の外交・安全保障に関する政策姿勢は、「国民主権忘却内閣」と断ぜざるを得ません。
なお、自民党、公明党、民主党提出の修正案についても、各省庁の情報提供の義務付けが追加明記されたのみであり、内容はまだまだ不十分であることから、反対することを申し添えて、私の反対討論といたします。
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