小沢一郎代表定例記者会見(2013年11月5日)

20131105代表定例会見

11月5日、小沢一郎代表が定例の記者会見を行いました。
質疑要旨は以下の通りです。

【質疑要旨】


山本太郎氏天皇陛下への手紙手交問題、アントニオ猪木氏無断渡航問題について

Q. 山本太郎議員が先日の園遊会の際に、天皇陛下に直接手紙を渡したという事で、今日もこの後参議院の議運では本人から事情を聞くという事だが、まずこの行為について代表はどう思われるか、特に今回天皇の政治利用という観点からの意見もあるけれどもその点も含めてどのようにお考えかお聞かせいただきたい。
アントニオ猪木議員が議運の了解なしに北朝鮮に渡った。この事についても併せてお答えいただきたい。(NHK)
A. 山本議員の行為については、政治利用という言葉はちょっと当たらないと思う。憲法の精神、理念は天皇陛下が直接政治に色々と関与しないと、統治権者ではないという理念で構成されているので、そういう意味では利用という言葉は今言ったように少々変だと思うが、適切ではなかったのではないかと、そう思っている。

それから、アントニオ猪木氏については、これも山本議員も、悪意を持って、意図を持ってやった行為ではないと思うけれども、ごくごく初歩的なことだろうなと思うけれども、それは国外に行くときはきちんと了解を取ってという事が一つのルールになっているわけなので、決していいことではないと思う。

具体的にどうするかは、院と本人の判断だと思う。


特捜による徳田毅事務所家宅捜査について

Q. 徳田毅衆議院議員の件について。まだこの件は逮捕や起訴などに至っていない段階だが、一部では、議員会館に家宅捜索が入ったというような報道がある。捜査自体も含めて、代表はこの件をどのようにご覧になっているか。(読売新聞社)
A. 事実関係が私どもには全く分からないので、論評することは出来ないけれども、選挙違反で特捜がやるというのは異例ではないか。あまり聞いたことがない。各都道府県警がやる事。その制度を私はいいとは思ってないけれども、そういうシステムに今はなっている。

だから、どういう背景がありどういう事実関係なのか、そこがわからないと、特捜が直接選挙違反の関係についてやっているという事について、論評は出来ないし、分からない。


特定秘密保護法案について

Q. 特定秘密保護法案について伺いたい。党としても反対という事で方針が決まっていると思うが、小沢代表自身この法案のどこに一番問題があるのかというお考えか。(毎日新聞)
A. それはもう当たり前のことで、俗に言われるように、治安維持法よりも更に基本的人権を侵害する恐れがある、という事が言われているように、それが一番の問題だと思っている。

特定秘密の指定も何十万件といったかな、政府役所による判断だけで全部できてしまう。いずれにしても基本的人権に係わる制度を作る時には、よほど慎重にその侵害を防ぐことが出来るような配慮が必要だと思うのだけれども、その点について非常に大雑把に役所の考え判断ですべてが出来るという形になるので、それは極めて国民の基本的人権を侵害する恐れがあるという点において、賛成できないという事だと思う。

あなた方の取材がどうのこうのとか色々なことがあるけれども、全て基本的人権の問題なので、そういう観点で捉えて、私どもとしては賛成できないという結論になっている


国家戦略特別区域法案について

Q. 今日、政府で国家戦略特区の法案が閣議決定された。国家戦略特区の一つとも言われているカジノにはIR議連(国際観光産業振興議員連盟)という超党派の議連があると思う。そこに小沢代表の名前があると思うが、事実関係としてまだ小沢代表自身もIR議連に所属しているのかというのと、カジノについての所見を伺いたい。(IWJ)
A. これは、賛否の事は別にして、各党それなりの人達が名を連ねているので、よろしくというお話があったので、私もその議連に名を連ねたことは事実。

カジノというか賭博というのは刑法で日本の場合は禁止されているけれども、それについての議論は単なるきれいごとの話ではなく色々とあると思う。現に日本では競馬とか、競艇とか競輪とかやっているわけで、それぞれ屁理屈はつけているけれども。たとえばイギリスなどは全く自由だから、子供でもいわゆる賭博といわれる種類のものについて、自由に町中で券を買ったりできる。ゆえに、賭博というものについての問題も、全て国民個人個人がきちんと自分自身で判断し、自分で行動できるようになっているかどうかの問題である。

日本ではパチンコという問題もある。これは賭博ではないから、景品を裏で売買するという話になってしまうわけだ。すると果たしてそれが本当にいいのかと。では、きちんと賭博に認めて、大衆娯楽として賭博に認めて、パチンコ屋できちんとお金に変えられるように整備した方が、暴力団の資金源になることもないし、また税制上の脱税だなんだなんて善良な経営者まで痛い腹を探られる必要もなくなる。そういう議論もあるわけである。

だから、カジノカジノという話になっているけれども、果たして建前のきれいごとで現実的にはパチンコも賭博行為として事実上機能しているのに、賭博ではないという建前を貫くのがいいかどうかという問題もあるから、これは今後議論していったらいいのではと思う。

Q. 生活の党ではどうするかというのはまとめられているか。(IWJ)
A. 法律案として出れば党として議論する。

福島第一原発4号機、核燃料棒取り出し作業について

Q. 11月9日に予定されている(福島第一原発)4号機の燃料棒取り出しが大変危険な作業で、海外メディアは、この地球に汚染をもたらしかねない作業を日本一国で任せておけないというような論評や記事が毎日のように報道されている。汚染水漏れの事も、詳しい数字や分析と共に毎日報道されている。国際社会が介入しなければ、日本ではこの大作業は為し得ないというような意見も海外からある中で、日本政府は万一失敗したり、放射能漏れをした時に北半球全体が汚染しかねないものにも関わらず、具体的に国民をどう避難させ被爆から守るかという危機管理の発表が一切なされていないように見える。日本のマスコミもこの問題を追及していない。ぜひこの海外の人達に答えるという意味でも一言いただきたい。(山崎ジャーナル)
A. この問題は、事故が起きていない時から、私はずっと自分の考え方を機会あるたびに発信してきたつもりだけれども、非常に危険な深刻な状況にあると思っている。
だから、最初から政府がこの事故対応の前面に出て、諸外国を含め衆知を集めて、まず放射能をきちんと封じ込める策を、作業をしなくてはならないという事を言ってきたのだけれども、これは民主党政権の時からだが、結局は東京電力に当事者としての責任を負わせ、東電がまずやれと、政府がそれを後押しするというような恰好での仕組みをやってきてしまった。

安倍政権で政府が率先してやるような事を決めたようだけれども、別に中身が何もなく、何をやるのかも分かっていないような状況で、海外の人々が地球規模の汚染に対して非常に神経を尖らせているという事は、当然のことだと私は思っている。

特に4号機の使用済み燃料の取り出しというのは、現実にあの中に入って、側に行って検証した上で安全だと、やり切れるという事でやるのではないような気がする。使用済み燃料を覆っている金属、被覆管自身もかなり傷んで脆くなっているのではないかという風に良識ある専門家は言っている。仮に、(被覆管が)丈夫でしっかり壊れることはないという事であったとしても、遠隔操作のような形であれを1本1本、何百本も取り出すのは至難の業であるわけで、被覆管がぼろぼろになっていればその作業中に使用済み燃料が飛散するという事も十分考えられる。11月9日と報道されていても現実にそれだけの危険な作業を政府が東電にやれと言っているという事自体が、本当かどうかも私は疑わしいくらいに、危険な作業だと思っている。

今からでも遅くないので、政府が前面に出て政府自身がその作業をやっていくという体制に少なくともしていかないと、私は非常に危険で、もし1本でも吊るしている途中で落っこちて壊れてばら撒かれたということになれば、それこそ誰も近寄れなくなってしまう。ほっておけば汚染は更に進むという事になるので、そんな危険を冒してまで東電にやれと言っているかどうか自体を疑うけれども、いずれにしろ、大変危険な作業で、もっと政府が慎重にしかも安全をきちんと確認出来る方法を考えるべきだと私は思っている。

例えば、あれを取り出したからといってどこかに置いておかないといけない。容器に蓄えるという話だけれども、ちょっとその場しのぎの発想とやり方で非常に危険だと思う。何としても政府が当事者となって放射能封じ込めの作業を全力でやるという事にしなくてはいけないと私は思っている。


国家公務員制度改革法案、内閣人事局について

Q. 国家公務員制度改革の関連法案が今日閣議決定されたが、その賛否を党としてどのようにお考えか、もしまだ賛否の決定に至っていない場合、現時点でどのような問題点を感じていらっしゃるか教えてほしい。(時事通信社)
A. その中身について詳しく検討していないので分かわないけれども、どういう内容なのか。
Q. 内閣人事局を内閣官房に付けて、(時事通信社)
A. そこで公務員の人事を全部やるという類の話か。

私は官邸で全省庁の人事をやるというのは、作業として事実上非常に難しいと思っている。それによって政治主導が実現されるかのようなことなのだろう。そういう意味でやろうというのだろうが、私はそういう形を取ったからといって、決して政治主導の行政にはならないと思う。そんな問題ではない。

何を作っても、日本人はマスコミも含め、なにかというと機構作りをするが、役人のポストを増やすだけ。たとえば震災の復興庁は何の権限もないでしょう。地元にとって、窓口が二重になって面倒臭いだけなのだから。だけど、復興庁復興庁と言えば全政党賛成であろう。復興庁が全部一元化して自分で権限を持って各省庁を乗り越えて実質的にやると言うならわかるけれども、ただの窓口で、復興庁で了解得てまた今度は所管官庁に行ってまた判子をもらって説明して、二重手間になるという類の事に私はなると思う。

だから、中身を検討しないと分からないけれども、多分そのようなことであるならば、あまり意味がない。それよりも政治家自身がしっかりした見識を持ち、行政にあたるという事の方がまず真っ先に大事なことだと思う。