家庭が使える所得を増やす政策を!
鈴木克昌衆議院幹事長代表質問に立つ(2013.1.31)
「安倍内閣総理大臣所信表明演説」に対する代表質問
生活の党 鈴木克昌
私は、「生活の党」を代表し、安倍内閣総理大臣の所信表明演説に対して質問をいたします。
(安全保障政策について)
まず、冒頭、アルジェリアで発生したテロ事件にてお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、突然のことであり、ご遺族、ご関係者各位の悲しみはいかばかりかと拝察し、深く哀悼の意を表します。
世界の最前線で活躍する尊い命を失うことは、企業のみならず我が国にとっても大きな損失であります。私たち「生活の党」は、政府がご遺族、ご関係者の方々にできる限りの支援をはかることに全力を挙げることに対し、できる限りの協力をいたします。それと同時に、今後同様の悲劇を繰り返さないために、今回の事件への政府の対応について、しっかりと検証し、必要な提言をしてまいりたいと思います。
しかし、政府がこの悲劇を悪用し、憲法の解釈をねじ曲げて自衛隊の海外での戦闘を合法化しようとするのであれば、そのことだけは、断固として阻止しなければなりません。確かに、主権国家にとって、自国民の生命と財産を守ることは、国家の義務であります。しかし、歴史を見れば明らかなとおり、いつも戦争は自国民の生命や権益を守るために、軍隊を派遣することから始まっているのです。国際紛争を一国の軍事力によって解決することは、不可能であるだけでなく、更に紛争を大きくするということを歴史は示しているのです。最近のイラクやアフガンの例を見ても明らかなとおり、世界最強の米軍を何万人投入しても決して「民を安定」させることはできないことが証明されております。
私たちは、国際法に基づくより良い解決策を模索しなければなりません。人質になって日本人の命が失われたことで、海外派兵の道を開くような議論は平和主義の基本理念に反するとともに、私たちが国際社会で生き延び平和のうちに繁栄していく上で、極めて危険で短絡的な発想だと言わざるを得ません。
そこで、安倍総理にお伺いいたします。総理は、自衛隊の海外での戦闘を合法化しようと考えているのでしょうか。また、どのような状況と条件の下において、自衛隊を自国民救出のため、単独で海外に派遣すべきと考えておられるのでしょうか。具体的にお答え願います。
(経済財政政策について)
政府は、「経済再生」を最大かつ喫緊の課題と位置づけ、今般の補正予算でも約5兆円を公共事業に投入することとしております。しかし、このような財政拡張政策では、その効果が富裕層や大手企業に留まり、果実が一般国民に回ってきません。国民の生活の視点を欠いた小泉政権以来の自公政権の経済政策の結末を見ても明らかなとおり、いざなぎ越えの経済成長をもたらしたといいながらも、一般国民にはその成長は実感できず、社会格差も拡大したという事実が、そのことを証明しております。
私たち「生活の党」は、財政政策は、「国民の生活が第一」の観点から行うべきと考えます。その際、最も大事な取組みは、家計の可処分所得を増やす政策であります。バブル崩壊後の20年間で、若者の所得が減っております。これでは結婚もできない、子どもも持てない、家も買えないのです。若者が希望を持って生きていける社会を作らなければ、家族を持とうという気にならないのです。国民の幸せの単位である家族を増やすことはできない、そんな国家には未来はありません。我が国の生産年齢人口は、1980年に7,800万人だったのが2050年には5,500万人に減少すると推計されております。一方で、海外を見ると、中国は1980年の5億8,300万人が2050年に7億9,000万人に、インドは3億9,800万人が11億4,300万人に、フィリピンは2,500万人が1億200万人に急増するとされております。先進国のアメリカにおいても、1億5,200万人が2億4,200万人になると推計されております。このままでは、我が国の経済は、世界の成長から取り残され、生産年齢人口減少の問題に対する処方箋を欠いたアベノミクスこそが縮小均衡のスパイラルに陥ってしまいます。
私は、日本を元気にするために1番重要な取組みは、人口の増加促進策であり、そのためには「家族の生活が第一」の目線で、日々の生活の負担を軽減させることが必要不可欠と考えます。ところが、安倍政権では民主党政権で行ってきた可処分所得を増やす結果となった子ども手当や高校授業料の無償化を見直すとしております。子どもを持つ家族にとって一番負担になっているのは、教育費であります。この負担を取り除くような家族重視の分配政策を取ることにより、個人消費は拡大し、経済も自立的成長に向かうようになります。「家族の生活を第一」にする国であってはじめて、家族が増え、人口が増えていくのではないでしょうか。
そこで、安倍総理にお伺いします。子ども手当の拡充、高校授業料の無償化の継続、そして家計の可処分所得を増やすための方策についてどのようにお考えでしょうか。また、生産年齢人口減少の問題に対する対処方針についてもあわせてお聞かせください。
また、今般の補正予算による約5兆円もの公共事業により、短期的に景気浮揚効果を演出し、消費税増税の前提となる経済成長を達成しようというのが政府の本音ではないでしょうか。しかし、公共事業の増額により景気浮揚を目指す一方で、消費税増税により景気を冷え込ませることになるこのような手法は、いわばアクセルとブレーキを同時に踏むようなものであって、非常にちぐはぐな政策であると言わざるを得ません。私たち「生活の党」は、消費税増税に断固反対しますが、政府は、今後の経済成長の動向如何によっては、消費税増税を中止する覚悟が本当にあるのか、安倍総理にお伺いいたします。明確にお答えください。
(地域が主役の社会の実現について)
私たち「生活の党」は、「自立と共生」の理念と「国民の生活が第一」の原則に基づいて、日本をつくり直し、安全で公正な社会の実現を目指します。そのためには、地域のことは地域で決める「地域が主役の社会」を実現しなければなりません。東日本大震災の復興の遅れに象徴されるように、中央が全てを決めて地方に押し付ける中央集権体制は、国民の声に応えられなくなっております。行政の権限と財源を地方に大胆に移すべきです。特に、国の補助金は原則、自主財源として地方に交付すべきです。それにより地域経済を活性化させ、デフレ脱却を促進することができます。
ところが、安倍政権が唱える国土強靱化構想では、紐付き補助金の復活など、以前のような公共事業至上主義と受け取られるような政策のあり方に戻ってしまう懸念があります。確かに、建設土木事業の維持・発展は、社会資本の老朽化に対応するために必要であります。しかし、それは、地方にあったものを地方の判断で、予算執行できるようにするのがあるべき姿であります。国家官僚の役割は、国家としての大きな方向性を提示することと、政策分野ごとに地方公共団体で何がなされているのか、調査とその結果の公開を行うことに特化すべきであります。こうすることで、国家官僚は箇所付けや全国一律の画一的制度の作成から解放され、真に国家レベルで必要とされる仕事に集中できるようになります。そして、大幅に権限が移譲された基礎自治体は、中央官庁が調査した結果に基づいて公開される情報を活用することで、自分たちの街で行われている制度や予算の執行が、ほかの街と比べて効果的であるのかどうか、容易に検証できるようになるのです。地域住民や基礎自治体の議会の役割も、より住民自治が進む形で深化します。このプロセスを通じ、標準的な地方行政のコストも明らかとなり、国の持つ財政調整機能を適切に機能させることもできるようになると考えます。
このように大胆な統治機構の改革を行い、予算執行の仕組みを変えることで、地域で必要な事業は地域の自主性を尊重する形で行えるようになるのです。これこそが、真の意味での地域経済活性化を行う経済対策と言えましょう。このような大胆な統治機構の改革について、安倍総理はどのように考えるのか、お答えください。
(代替エネルギー対策について)
最後に、代替エネルギー対策についてお伺いいたします。残念ながら安倍総理の所信表明演説には、エネルギー政策についての言及がありませんでした。しかし、エネルギー政策は、日本経済再生を実現する上で最も重要な課題の一つであります。私たち「生活の党」は、「エネルギー政策の大転換」で、10年後を目途に全ての原発を廃止することを主張しております。そのために、日本の省エネルギー技術と再生可能エネルギーの普及、効率のよい天然ガス・コンバインド・サイクル火力発電、さらにエネルギーの地産地消を強力に促進する必要があります。愛知県渥美半島沖で始まったメタンハイドレートの海洋産出試験もその中の一つだと思います。これにより、原発立地地域をはじめ、地域経済の発展と雇用の拡大を実現することができると考えます。
私たち「生活の党」は、代替エネルギー対策の分野に大胆な公共投資を行うべきだと考えておりますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。
(おわりに)
私たち「生活の党」は「国民の生活が第一」の理念に基づき、「いのち」と「暮らし」と「地域」の3つを守ることを政治の最優先課題としております。そのために、政治、行政、経済、社会の仕組みを一新して、日本を根本から立て直します。エネルギー政策の大転換、消費税増税の阻止、行政の権限と財源の地方への大胆な移行を実現するとともに、社会保障、雇用、人づくりの仕組みをつくり直し、高齢者には安心を、若者には働く場を確保します。全ての国民が「安心、安全で、安定した生活」を送ることができ、国民も地域も健全に自立し、互いに共生できる社会を実現します。それにより、日本は国家として自立し、世界の平和と安定に協力する外交を展開できると確信しておりますことをあらためて申し上げ、私の質問を終わります。
(以上)