茜さす夕照の浜でおじいさんがひとり凧揚げをしていた。

 僕は砂浜から海抜15メートルほどまで坂道を昇ったところにある西海岸通りからその姿を見ていた。いつものランニングの途中だった。冷たい潮風が凧を空へと引っ張り上げてゆく。おじいさんは