「何々?どうしたの?何があったの?」
 ネットニュースを見るたびに娘が駆け寄って来る。緊急地震速報などのアラームがひっきりなしに鳴っていたせいで不穏な空気だけは察しているのだろう。何が起きているのかを知ることで不安を解消したいのだろう。もう嘘や誤魔化しが通用する年齢ではない。聞かれたことには答えるようにした。でも、聞かれていないことまで話すのは避けた。映像も見せなかった。おかげでぼく自身もほとんど見ることがなかった。子どもの心を守ることは自分自身の心を守ることにも繋がっていると気づいた。