太陽と蝉が渾身の力を振り絞って夏の残り火を燃やし尽くそうとしている。
大楠山の深い森の中から聞こえてくる蝉の合唱には数日前から鈴虫のリハーサルが混ざり始めた。強い陽射しの中に秋の涼風が吹き抜けていく。
冷蔵庫から取り出したばかりの缶ビールを手に浜に下りていく。去りゆく夏を惜しむように浜辺を歩く。打ち寄せる波の冷たさが足先から脳天に駆け上っていく。
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