幕が上がるかどうか分からない舞台の稽古をしている人たちがいる。公開日が決まらない映画の仕上げをしている人たちがいる。ぼくも似たようなものだ。一進一退。すべてが感染状況と二転三転する国家権力の対応に振り回されている。ぼくらの自由や基本的人権、そしてひとり一人の命の重さとそれを命駆けで守ってくれている人たちのことなど彼らの目には見えていないのではないだろうか。感染収束と経済復興という大命題。その難局を乗り越えるという大義名分の下ではすべてが許されると思っているような気がしてならない。