日曜日、妻を駅まで送った後、娘と二人で逗子のミサキドーナツを訪れた。ショーケースに並ぶ色鮮やかなドーナツの中から娘はいちごが丸ごと乗ったものを、ぼくは大好きなレモンクリームドーナツをそれぞれ選んで、窓際の席に向かい合って坐った。店内にはあたたかな陽射しが射し込んでいた。今年初の夏日だった。昼前の店内はぼくらの他に若い女性客が二人だけというのどかな時間だった。

 ドーナツとともに娘にはりんごジュースが、ぼくには淹れたてのコーヒーが運ばれて来た。ドーナツのポーズ、と言って両手で大きな輪を作った娘を笑いながら写真に撮った後、ワープロを広げた。ここに来たのは、娘と約束した手作り絵本の物語を紡ぐ為だった。