娘の見上げた先に河津桜が咲き誇っていた。薄桃色の眩しさの向こうに澄み切った青が広がっていた。海沿いの国道と交わる小川伝いの散歩道。一昨年もここで河津桜を見たのを彼女は覚えているだろうか。ぼくは覚えている。春から入園する保育園の説明会に行った帰りのことだった。しかし、娘からは「おぼえてなーい」というしっかりした声が返ってきた。
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