「パパのとなりにすわりたい」
 後部座席のチャイルドシートに坐っていた娘が唐突にそう言った。保育園に向かう朝のことだった。最近はベルトを締めるのさえ嫌がることもある。意志の芽生えとそれを他者に伝える言語の獲得により、はっきりとイエスノーや不快なことを事細かに伝えてくるようになった。肌着の裾がズボンの中にちゃんと入っていないとか、靴下がちゃんと履けていないとか。そのくせ靴は左右逆に履いていても何も言って来ないので時折り理解に苦しむのだけれど。