渋谷のラジオで毎月一緒に番組をやっている元美容師で編集者のミネシンゴさんはパートナーの三根かよこさんと夫婦でアタシ社という出版社を営んでいる。東京ではなく、三浦半島の最南端で。編集もデザインも営業も発送も販促イベントもぜんぶ二人でやる。事務所にしている商店街の古い船具店では蔵書を無料で閲覧できるようにしていて、地元の子供たちの放課後の集い場にもなっている。夫婦二人だけが生活していければいいからなのか、出版不況にもかかわらず大手のような焦燥感はない。不必要な気負いもない。無理がない。何よりいつも笑っている。少なくとも僕の目にはそう映る。