眠れないのだろうか。無理もない。人生で一度しかない故郷での初のワンマンライブは明日なのだ。この島で生まれ育った宿命と向き合い、この島を出た証を音楽で刻みつける瞬間なのだ。家の一番奥にある彼女の部屋からは午前2時を過ぎても物音が途絶えることはなかった。