無名時代には宅録ゼロ円で済んでしまうレコーディングも、超一流のミュージシャンたちとなると億単位の金額を費やします。これにはギャラだけでなく、スタジオや機材のレンタル費や編集ソフト、各パートのエンジニアに技術者などなど、その気になれば制作費は青天井!
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ということで今回はMetalSucksが掲載した、史上最も制作費のかかったハードロック/ヘヴィメタルのアルバムを4枚ご紹介します。
■ガンズ・アンド・ローゼズ/『チャイニーズ・デモクラシー』
スタジオ・アルバムとしては、前作の『ユーズ・ユア・イリュージョン』と『~ll』から17年も経過し、キーボード奏者のディジー以外のメンバーはバンドを去ってしまい、独裁者アクセルのワンマンバンドのようになってしまった後にリリースされたのが本作です。
音楽性は黄金時代のテイストから少し進化し、アクセルの体型はイングヴェイに近付き、あまつさえアクセルの髪の毛は薄くなり「植毛したのではないか?」と巷でウワサが絶えなかったのがこの頃。
制作費は14億円。ハードロック/メタル界では最高額の制作費ですが、全ジャンルにおいては上から2番目。史上最高額は、マイケル・ジャクソンの『インヴィンシブル』で約34億円とのことです。
ちなみにセールスは、2011年12月に計算した方の書き込みによると、世界中で300万枚を下回るくらいと言われています。2016年の今は、多く見積もってもプラス100万枚くらいになるのでしょうか?
■デフ・レパード/『ヒステリア』
まずイギリスではガッポリと税金が取られてしまうため、その対策としてデフ・レパードのメンバー全員がアイルランドのダブリンへ引っ越します。
超売れっ子のメンバーが引っ越すとなると、それなりの金額が必要になることは想像に難くありませんが......『ヒステリア』の制作中に、ドラマーのリック・アレンが交通事故で左腕を失うという大惨事に見舞われてしまうのです。リックの復帰までに2年を要し、アルバムのリリースもそのぶん遅くなってしまいました(=さらにお金がかかる)。
制作費は1987年で4.5億円。今のレートで換算すると9億円ほどになるそうです。しかし、幸い世界中で2500万枚が売れるという空前のヒット作になりました。
■ザ・ダークネス/『ワン・ウェイ・ティケット・トゥ・ヘル...アンド・バック』
ロックンロールに対する、人一倍強いこだわりを持つジャスティン・ホーキンスだからか、アルバム全曲の1曲ずつに120から160のギター音を使用しており、場合によってはたった2秒のために100のギター音を使った曲もあるんです。
しかもアナログ派のジャスティンは、10曲で35分のアルバム1枚のために、最終的に1万トラックを収めた400本のテープを使ってミキシングしたのだとか。
制作費は1.8億円ですが、恐らくそのほとんどはこうした音作りに使われたのでしょう。
■メタリカ/『メタリカ』
スラッシュ・メタルから骨太なロック・サウンドに転向し、ファンたちの評価を二分してしまった『ブラック・アルバム』。それでも全世界で、3000万枚ほどの売り上げを誇る大ヒット作です。
制作費は今のレートで1.75億円と、上記ザ・ダークネスを少し下回るくらい。それでも、1991年当時はかなりの予算だったことでしょう。
ロックが流行っている時代に加え、バンドの実力と人気が次回作への予算編成に大きく関係するのでしょう。費用対効果で見て大成功したアルバムもあれば、やたらと時間がかかった挙句イマイチ売れなかった作品まで、さまざまな例があります。
中には、音楽性の変更で成功した、もしくはそれほどでもなかったといった分岐点となる作品も含まれているのが興味深いところです。
source: Metal Sucks, YouTube1, 2, 3, 4, GunsNFNRoses
(岡本玄介)
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