給食のチキンナゲットを食べて謎の病原菌に感染した子どもたちが、大人たちを次々と襲うコバタリアン映画『ゾンビスクール!』。
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今回は本作に主演、そして製作としても参加しているイライジャ・ウッドにお話を伺いました。
子どもたちとの撮影の感想は?
――たくさんの子どもたちとの撮影で楽しかったこと、大変だったことはなんでしょうか?
イライジャ・ウッド(以下、イライジャ):子どもたちと一緒にいるのはすごく楽しかったです。
みんな感染した役なので、メイクもすごくグロかったおかげか、熱意を持った、やる気まんまんな子どもたちがたくさんいました。日によってはメイク用のテントをいくつか建てて、子どもたちがたくさん来ていたので、ハロウィンかと思うような状況だったんです。
大変だったのは、やっぱりたくさんの子どもたちにいろいろと説明することです。どのくらい暴力的にやっていいのか? というレベルにしても、彼らに説明するのは簡単なことではありません。エネルギーのレベルをキープしてもらいながら、子どもたちにどのような演技をしてほしいのかなどを説明するのは1つの挑戦でした。
そんな中ですごいと思ったのは、子どもたちはいったん理解すると本気で楽しんでくれたことです。
――撮影中に子どもから学んだ事や、それがヒントになって作られたシーン、描写があれば教えてください。
イライジャ:子どもたちを撮影したシーンのほとんどはそのまま使っています。本作は、撮影期間が4週間と短く、常に撮影しているような状況だったので、子どもたちの登場するシーンで使っていないカットはほとんどありません。
物語の中での彼らの行動や、彼らが見せているリアクションはほとんど撮影されています。もともと意図していたことと、彼らが実際に演じてみて起きたこと、その両方をそのまま使っているんです。それこそが、作るにあたって望んだものでしたしね。
――「邪悪な子ども」がテーマのホラー映画、そしてゾンビ映画の歴史は長いですが、本作の製作に影響を与えた作品はなんでしょうか? また、ご自身が一番お好きな「邪悪な子ども」ホラー映画とゾンビ映画はなんでしょうか?
イライジャ:やっぱり『ザ・チャイルド』です。製作中にもこの作品の名前はよく挙がりました。
恐ろしい子どもが登場するホラーとして、さまざまな作品に大きな影響を与えていると思いますし、大勢の子どもたちと戦うことになる大人たちは人数が少ない、といった設定は『ゾンビスクール!』もちょっと似ています。
『ゾンビスクール!』はもともとストレートなホラーを作ろうということで企画が立ち上がったんですが、僕の友人でもあるリー・ワネルが関わってからホラーコメディに変わりました。
でも、考えてみると「Cooties(原題、シラミの意味)」という単語は、何十年にも渡って小学校でからかうような時によく使われている単語なんですね。そういうタイトルの映画なので、「そもそもシリアスなホラーとして作ろうという方が間違っているよね」という話になりました(笑)。タイトルがすでにユーモラスですから。
すでにたくさん良作が存在するので、あまりゾンビものにしたくなかったというのはあります。ゾンビものに落としこむというよりは、自分たちの製作会社の方針でもある「よりユニークで今までにない新しいもの」にしたかったんです。
子どもたちが感染してからの行動などは、どちらかというと『ザ・チャイルド』に近い、子どもらしい行動が肝でした。伝統的な作品であればモンスター化するところを、そうではなく、みずみずしい子どもらしさ、遊び心のある部分をキープしながら、それでいて感染しているという描き方をしたかったんです。そういった部分は『ザ・チャイルド』を参考にしています。
『ザ・チャイルド』には、子どもたちが男性を逆さ吊りにしてボコボコにするシーンがあるんですが、これは自分が見てきたジャンル映画の中でも一番好きなシーンの1つなんです。『ゾンビスクール!』でも再現を試みたんですが、時間の都合でできませんでした。子どもたちは、そういった暴力性と遊び心の両方を持ったような造形にしたかったんです。
一番好きなゾンビ映画は、やっぱりジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』かな......。リメイクも悪くないんですけどね(笑)
最近はホラー映画への出演が多いイライジャ・ウッド
――子どもたちに比べると、個性的ではあるものの大人の教師たちは「死ぬべき」と感じさせるほどには悪く描いていないように感じました。そこに何か意図はあったのでしょうか?
イライジャ:主人公は感染せず、子どもたちが感染することで、子どもたちがある意味悪役になります。それに対して、大人たちは確かにちょっと変わっている個性的な人間ばかりなんですが、本質的には「善」な存在として描くようにはしました。
物語の構造上、観客たちがついていくのは先生たちですし、経験としても先生たちを通して観客に楽しんでもらう作品なので、先生たちに共感したり、彼らのことを大丈夫かな? と感じたりしてもらわないと映画が成立しませんからね。
――感染しているとはいえ、子どもに暴力を振るう描写は批判されてもおかしくないのでは? と感じたのですが、撮影の際に工夫したポイントがあれば教えてください。
イライジャ:僕たちが非常に気をつけたことの1つがそれです。作品の企画を練っていく中で、暴力性をどのように描くのか? というのは心を砕いて考えました。
子どもを殺してしまうといった描写はタブーとされることではありますが、作品のコンセプトですし、そもそも子どもたちが感染するという話なので、子どもたちに対して主人公たちが反撃しないと成立しなくなってしまいます。
そして、ホラー映画として期待に応えなければならない部分もありますよね。じゃあ、それをどういう風に描くのか? というのは悩みどころだったんです。
デリケートに注意を払いつつも、観客にとって面白いと感じてもらえ、なおかつやりすぎない範囲で表現するということをすごく意識しながら作りました。そのためにやったことの1つが、観客が先生たちについてきてくれるように、しっかり描くことです。
ものすごく重要だったのが、この子どもたちはもう普通の子どもではない、もう死んでいて普通の子どもに戻れる希望はないとしっかり見せることでした。そのために、武器は銃を含めて全く登場させないと決めたんです。
アメリカでは学校での銃がらみの事件がここ数年多発しているので、本作ではそういった事件に意識がいかないようにしようと。場所が学校で、子どもたちがいて~という設定もありますしね。
もう1つが「逆にコマンドーが~」というシーンで言っていますが、「そこにあるものを使う」ということを考えました。そうすることで、武器が喚起する暗いイメージだったり、事件だったりを回避できますし、ユーモアも生むことができます。
先生たちは物語の中で自分たちよりも巨大な敵と対決しなければいけませんが、彼らが手に持てるのは最もベーシックな、家や学校で見つけられる物しかない、ということから生まれるコメディ、笑いがあるわけです。そこは気をつけて描いている部分で、本物の銃や武器は登場しません。
加えて、子どもたちに危害を加えるということに関して、重要な場面が1つあります。ウェイドが消火器で感染した子どもをボコボコにするシーンです。あそこは流れを変えるシーンでもあります。
なぜかと言うと、敵である子どもたちをやっつけても他の先生たちが別に喜んだりしません。むしろ子どもの死を悼む沈黙の瞬間......「恐ろしいことになってしまった」という瞬間であって、そこで「あ、もう彼らは子どもではないんだ......」と先生たちは感じているわけです。
続くシーンではダグによる分析から「子どもたちはもう死んでいる」と定義付けられます。本作ではそれ以降から、大人たちが感染した子どもたちに危害を加えるようになるという展開になっているんです。
――ここ数年、さまざまなホラー映画に参加していらっしゃいますが、ホラーがお好きな理由は何でしょうか?
イライジャ:なぜホラーなのか? というのは簡単に答えられる質問ではないです。ただ、自分がそういった作品を見て感じることと関係しているとは思います。
僕はホラーを怖いというよりは「スリリング」に感じるんです。そして、他のジャンルではできない形でいろいろなストーリーが描けるジャンルでもあるんじゃないか? と思っています。
例えば個人的な恐怖だったり、実存的な念だったり、大きい何かに対する恐怖だったりといったものを、他のジャンルでは描けない形で掘り下げられるのがホラーなのではないか? と考えているんです。
そして、良質なホラー映画は美しくもあります。ダークなビジュアルには美しさも備わっていることが多いですよね。自分は、日本のホラー映画にはそれをすごく感じます。美しく、ユニークで、ちょっと奇妙で、何か特徴的なビジュアルを持った幽霊ものやホラーが日本では作られているんです。
――ご自身に一番影響を与えたホラー映画、そしてここ数年観たホラー映画の中で一番衝撃を受けた作品はなんでしょうか?
イライジャ:僕には7歳年上の兄がいるので、幸運にも年相応ではない映画を小さい時からたくさん見てきました(笑)。兄がレンタルで借りてきた作品を一緒に見られましたから。
そんな環境の中で一番影響されたホラー映画は、VHSで見た『Truth or Dare?: A Critical Madness』(日本未公開)です。内容や演技、さまざまな要素がすごく粗削りなんですが、同時にすごくチャーミングで、僕はセンチメンタルな愛情をこの作品に持っています。
小さい頃に見た影響もあると思いますが、ずっと自分の中に残っているんです。シーン1つ1つもすごくよく覚えていたんですけど、タイトルは覚えていなくて、後々「それってあの映画じゃない?」と言われてタイトルを覚えた作品でもあります(笑)。
あとは『ハロウィン』シリーズ、『エクソシスト』シリーズ、『エルム街の悪夢』シリーズ、『オーメン』シリーズ......いっぱいありますね。
『ゾンビスクール!』は、2月20日(土)シネマサンシャイン池袋ほか全国にて開校!
© 2014 Cooties, LLC All Rights Reserved
[映画「ゾンビスクール!」公式サイト]
映画『ゾンビスクール!』予告編(2月20日公開)[YouTube]
(スタナー松井)
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