Cibele


『Cibele』はリリースされたばかりのPCゲームですが、もしかしたらSteamに星の数ほどあるゲームの中で、最もセックスに対して正直な作品かもしれません。


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一体どんなゲームなのか? 米Kotakuヘルナンデス記者のレビューを読んでみましょう。

どうやら、オンライン上での恋愛を経験したことのある人には共感できる内容のようです。




本作は2時間ほどで終えられる短いゲームですが、製作者であるニーナ・フリーマンさんの初恋を描いた自叙伝的な作品となっています。


MMOを通じて愛とセックスを探求するゲーム『Cibele』2

ゲームの舞台はデスクトップ


デスクトップ上にある、すべてのフォルダの中身を見ることが可能です。


MMOを通じて愛とセックスを探求するゲーム『Cibele』3

ありのままの文章や写真


本作には、フィルターのかけられていない生々しさがあります。フリーマンさんがパソコンに「保存した」ものを実際に見ていく感覚が味わえるのです。

この「すべて」というのは誇張ではなく、セルフィーから気まずい詩、メールやソーシャルメディアのアップデートまで、すべてがそこにあります。

そして、何よりも重要なのはオンライン友達とプレイできる『Valtameri』(※訳注:「Valtameri」はフィンランド語で「大洋」の意味)という架空のMMOゲーム。そこで、男性が絡んできます。

ネタバレにならない程度に説明すると、『Cibele』はフリーマンさんと『Valtameri』のプレイヤーである「Ichi」の関係を追っていくものです。

私は『Valtameri』みたいなMMOはプレイしたことがありませんし、Ichi(実在する人物がモデルになっている)に会ったこともありません。それでも、基本的にオンラインの世界で育ってきた女として、私はフリーマンさんの経験を恐ろしく身近に感じられました

私は10代の頃、一度も会ったことのない友達とチャットするためだけに、とてつもなく長い時間ゲームにログインしていました。時に恋に落ちることも......。まあ、少なくとも「恋に落ちた」と思ったことはありました。

最近では、デジタル求愛活動にははっきりとしたルールがあります。暗黙の了解もあれば、雑誌やオンラインで共有されているルールもありますが、ほとんどがみんな、チャットの「未読/既読」機能や「sexts」(セクシーなメッセージを送りあうこと)、「dick pics」(チ○コ写真。シャワーで裸体を洗い流すゲーム『リンス・アンド・リピート』の製作者による閲覧注意すぎるチ○コセルフィーゲームも存在するほどアメリカでは一般的)について意見を持っています。

今は「Catfishing」(ソーシャルメディア上でロマンス目的のなりすまし)に関してテレビ番組が作られるような時代ですが、未だにオンラインでの恋愛はめちゃくちゃな世界で、誰も自分がオンラインで何をやっているのか? を理解できていない状態です。

しかし、少なくともオンラインの世界の現象には名前が付けられています。オンラインデートにもう真新しさはなく、それぞれのデートサイトにお決まりの「またこれ?」はあるのです。『Tinder』(有名な出会い系アプリ)の男性のプロフィール画像には、虎と一緒に写っているものが多いなどがそうでしょう。



常にこうだったわけではありません。私が10代だった頃は「オンラインの恋愛」のすべてが新しくて、怖いものでした。それがゲーム内の恋愛であれば特にです。

国の反対側に住んでいる人と恋に落ちたら(そう自分が思ってしまったら)どうする? ほぼオンラインでしか知らないその人と実際に会うのはどういう感じ? 実際に会ったことのない人と親しくなれる? よくわからないオンラインの男にヌード写真を送るべき?

疑問は次々と浮かんできますが、私は答えを出せませんでしたし、誰もそれについて話していませんでした。孤独なティーン・エイジャーだった私には、ただ愛する人がほしいという熱望があったんです。それが例えオンラインで知り合った、大したことのない男であろうとも。

今では大人になりました。人がどれだけ簡単に、選び抜かれたセルフィーしか見えず、賢いツイートや素敵なインスタグラム写真を通じてしか知らない相手に感情的になってしまうのかがわかります。

実際の人間の乱雑さと切り離された状態のオンラインでは、ただの言葉がどれだけ誘惑的なのかも知っています。

オンラインで見知らぬ人を相手にすると、人がどれだけ簡単に自分をさらしだしてしまうのか、そしてオンラインでどれだけ気が合っても現実世界で気が合うかどうかは別の話だということも理解しました。

でも率直に言えば、それらを10代の頃の私がどれだけ知っていたとしても、失恋からは救ってくれなかったでしょう。

気まずい恋愛、赤裸々に語ったチャット、そして夜遅くに相手を求めてモニターを見つめたあの日々......そのすべての痛みと混乱が、今の私を作りあげています

『Cibele』はつつましいですが、これまでのゲームになかった器用さでインターネット上の恋愛というカオスへと飛び込んでいく作品です。

本作をプレイするのは心が痛くもあります。なぜなら全然手加減がないんですから。

『Cibele』は私が経験した多くの忘れたい思い出を、無知だったころの苦い経験を思い起こさせます。私にとってはそれが『Cibele』を経験する価値のあるゲームとするものでした。




なお「Cibele」というタイトルは、ギリシャ神話の大地母神キュベレーを指してもいるようです。

『Cibele』は一風変わっていますが、Steamでのレビューはほぼ好評。若い頃にネット上やオンラインゲーム上で恋愛した経験を追体験したい方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。


[via Kotaku
Cibele[Steam]
Cibele Release Date Trailer[YouTube]
A Game About The Complicated World of Dick Pics[Kotaku]
キュベレー[Wikipedia]

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RSS情報:http://www.kotaku.jp/2015/11/look-back-at-your-online-love-with-cibele.html