失敗は誰でもするものですが、失敗が映像に残ることはあまりありません。ところが俳優は仕事柄、そういった失敗が撮影されています。NGシーンがDVDの特典に収められ、永遠に人に見られることになるなんてことは普通ですし、監督が間違いに気づかなかったり、気に入っていたりすると、そのまま劇場公開されることも......。
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そこで今回は、Screen Rantがまとめた、劇場公開されてしまった俳優やクルーの間違いの数々をご紹介。
ちょっとした間違いが映画に深みを持たせていたり、キャラクター・アークを盛り上げていたりすることがわかります。一部ネタバレがありますので、ご注意ください。
■『スター・ウォーズ』
デススターを破壊して戻ってきたルーク・スカイウォーカーに喜び勇んで駆け寄るレイア。彼女の「ルーク!」という呼びかけに、「キャリー!」と答えるルーク。マーク・ハミルは役名のレイアではなく、女優の名前を口にしてしまっています。
ちなみに、この間違いをツイッターでマーク・ハミル本人に確認した猛者が......。すると、マーク本人はこれを否定。
「脚本には「There she is(彼女がいた)」と書かれていて、自分は「There she...」と言ったんだ。セリフが途中までしか聞こえていないだけだよ」と答えています。
■『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
才能のある俳優であれば、監督を喜ばせるイカしたアドリブを入れることもあるでしょう。しかし、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』にはキャラクターの性格を表すような良いアクシデントが起きています。
ジェームズ・ガン監督によると、クリス・プラットが惑星を破壊するオーブを取り出した瞬間に誤って落としかけるシーンは演技ではなくアクシデント。
不意の出来事にも関わらず、クリス・プラットがキャラクターを崩さず、最後まで演じきったため、そのまま採用されたそうです。
■『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』
アドリブを得意とする俳優ジム・キャリーは、本作でもアドリブを沢山入れていたそうです。
しかし、子供達が意地悪(というレベルの話じゃない)なおじさんに会った時のシーンは、演技に失敗したと感じたジム・キャリーが本当に「撮り直してくれ」と言ったにも関わらず、オラフ伯爵のキャラクターのまま口にしていたため、カメラは回りっぱなし。
監督はこの風変わりなシーンが映画のトーンに合うと判断し、カットしなかったそうです。
■『北北西に進路を取れ』
アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作の1つですが、古い映画らしく、車の運転シーンで観客によりリアリティを感じてもらうために、あるトリックが使われています。それは、後部座席に座っている人が運転の揺れや遠心力に合わせて左右に体を揺らすというものです。
ケーリー・グラントが警察官と後部座席に座っているシーンで、ケーリーは忘れずに体を左に寄せる演技をしていますが、隣の警察官役の俳優はそのことをすっかりと忘れている様子。そのため、ケーリーが彼の体を押しています。
あからさまに不自然な動きをしているのですが、ヒッチコック監督はそのまま採用してしまったようです。
■『キャビン』
本作の見所の1つといえば、賭け事に興じていた人間たちが、解き放たれたモンスターたちの餌食になるシーンでしょう。
マーマンが人を襲う場面は、食べられる被害者から大量の血しぶきが出る、非常にグロテスクなものになる予定でした。血糊を勢いよく出し、カメラが止まる前にタンクを空にしようとクルーは考えていましたが、インクが不足し始めるとスプレーのように噴射するようになり、その場にいた面々は爆笑。
このシーンをきっかけに、ゴアのトーンをギャグに変えようということになったそうです。
■『セレニティー』
ジョス・ウィードン監督のTVシリーズ『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』の完結編である本作。同盟化の波が押し寄せる中、同盟に反抗する退役軍人のマルが船長を務めるセレニティー号は、人々に重大な真実を伝えるという命がけのミッションを果たしに行きます。
この真実が明らかになった後、マル率いるセレニティー号のメンバーにあそこまで殺意を持っていた同盟軍の退役軍人は、兵に武器を下ろして攻撃を止めるように伝えます。
この「武器を下ろせ」という命令に従ってしまったのは俳優たちだけではありません。カメラマンも微かにではありますが、カメラを下ろしているのです。
■『オズの魔法使』
「実は撮影現場で危うく死人を出しかけた映画10選」でも取り上げた西の国の魔女の退場シーンに関するもの。
西の国の魔女がマンチキンランドから去る時、舞台の隠し扉が開き、赤い煙がモクモクと出た後に炎が燃え上がります。この赤い煙が出る部分ですが、扉がパカッと開いているのがはっきりと見えるのです。では、何故撮り直さなかったのか?
その理由がマーガレット・ハミルトンの大事故にあります。ハミルトンは隠し扉の故障とメイクに含まれていた石油が原因で、2ヶ月にわたって撮影を休まなければならないほどの大やけどを負ってしまいました。
現場への復帰後、マーガレットは火を使うスタントを一切拒否したため、問題のシーンはリハーサルテイクを使わざるを得なかったのです。
■『デイズ・オブ・サンダー』
トム・クルーズのようなスーパースターと共演となれば、舞い上がってしまうのは当然かもしれません。
本作で医者のクレア・レビツキ(ニコール・キッドマン)と恋仲になったコール・トリクル(トム・クルーズ)はかつてのライバルであるラウディ・バーンズ(マイケル・ルーカー)の家を訪ねます。
そこでラウディの妻ジェニーが思わず「トム!」と劇中の名前ではなく本名(トム・クルーズの正確な本名はトーマス・クルーズ・メイポーザー4世)を口にしていますが、トムはサラッとスルー。このシーンはそのまま採用されています。
■『スパイキッズ』
グレゴリオ・コルテス(アントニオ・バンデラス)とイングリッド・コルテス(カーラ・ギグノ)のスパイ夫婦が囚われの身となってしまい、2人の子供達がハイテクメカを駆使してピンチの両親を助けに行くというファミリー映画。
監督は『デスペラード』や『シン・シティ』のロバート・ロドリゲスですが、鏡台の前に座ったカーラ・ギグノの右手の鏡にスタッフの姿が写り込んでしまっているシーンを採用しています。
意外な写り込みをロドリゲス監督は気に入ったらしく、カットしなかったそうです。
■『ターミネーター2』
アーノルド・シュワルツェネッガーはユーモアに溢れる人物。その証拠に彼はアクションだけでなくコメディにも出演していますし、コメディ映画を監督したことがあるほど(『アーノルド・シュワルツェネッガーのキッチン・ウォーズ 彼女の恋は五つ星』はオススメです)。
そんなシュワルツェネッガーが『T2』で見せたアドリブが、T-1000との戦いでボロボロになりつつもジョンを守ったあとにT-800が発した「I need a vacation.(休みがほしい)」。
本来であればT-800のセリフはありませんでしたが、何度かこのシーンを撮影している時に、ジェームズ・キャメロン監督が「彼は休暇が必要だな」と言ったため、ジョークが好きなシュワがその言葉を引用。
監督は笑い、T-800のキャラクターにも合っていると判断して、そのまま採用したそうです。
いかがでしたか?
失敗してもキャラを維持し続ける俳優が多いのを見ると、「Show must go on(やり遂げなければならない)」の精神が根付いていることを感じます。
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(中川真知子)
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