凄い映像に壮大な物語! 映画の予告編ならそれもありかもしれませんが、ゲームのトレーラーでは上手くいかないかもしれません。なぜなら、ゲームは映画とは全くの別物だから。
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ゲームやポップカルチャーのフリーランス・ライターとして活躍するケヴィン・ウォンさんによる寄稿を読んでみましょう。
最悪なゲームのトレーラーとはどんな内容でしょう?
それはきっと、美しいコンセプトアートのモンタージュがカットシーンに続くカットシーンの中に映し出され、トリッキーなアングルで微妙な表情の変化を映し......実際のゲームプレイは見せない類のもの。
想像するに、プロデューサーたちはトレーラーを見る私たちに、物語を通じてキャラクターに共感してもらいたいと思っているんだと考えられます。しかし、ゲームではそれは通用しません。
キャラクターたちがわずかなピクセルで描かれていたゲーム創成期だって、私たちはキャラクターに共感できました。それはプレイヤーがキャラクターを思い通りにコントロールできるから。もし自分の思い通りに彼らを操作できるなら、そのキャラたちは私たちのゲーム内でのアバター/分身です。その一対一の運動感覚を通じたつながりが、私たちの共感を誘うのです。
以下は素晴らしいゲームトレーラーの例。
シネマティックなシーンもありますが、それらはゲームプレイと一緒に映し出されています。ゲームのグラフィック表現を中心に据えたものではありません。任天堂は常にグラフィックよりもゲームプレイに重きを置いていますし、それはきっと正しい方向性でしょう。
このトレーラーの中心は「マリオに何ができるのか?」という点。例えば、ヨッシーに乗ってその舌を使って峡谷を飛び越えられるとか、ドリルを使って地面を掘り進めるといったことです。この「ゲームをゲームとして」マーケティングする方法は、(最初に述べた悪いトレーラーの例のような)受け身型のエンターテイメントとしての宣伝よりもゲーマーを夢中にさせます。
一方で、『コール オブ デューティ2』のトレーラーはあまりよろしくない例と言っていいでしょう。
初代Xboxが発売されて間もない時期に公開されたトレーラーですが、その時期も相まって混乱してしまいます。Xboxではこんなグラフィックでプレイできるのか? と。結果的にトレーラーがXboxの届かないところへ、見るものの期待値を設定してしまっています。
また、ゲームシステムも一切紹介されていなければ、どの兵士の特徴も紹介されていません。このようなトレーラーには、ポストプロダクション段階でしか存在しなかったディテールやステージを含んでいることがあり、消費者が実際にプレイする内容とは違うものを宣伝してしまう可能性があります。それは非常にリスキーです。
開発者たちが約束するリアリズムが実際に届けられるのかをプレイヤーが疑問に思うのは当然のこと。きらびやかなマーケティング用トレーラーを見るとますますそう思います。そして、ゲーム機のライフサイクル初期のプレイヤーのように、私達は慎重ながらも楽観的になるべきです。
『The Void』を例に挙げてみましょう。『The Void』はアメリカに設立が予定されている世界初のヴァーチャルリアリティー・テーマパークです。巨大なプレイルームの中を自由に動き回れるものとなっており、部屋の中には障害物や構造物も存在し、その上にゲームのグラフィックがオーバーレイされます。
壮大なインドアレーザータグになりそうな雰囲気。
以下はトレーラーです。
これには感動しそうですが、実際のところどうなるのかはわかりません。歴史を振り返ってみると、まだ生まれて間もない技術から、魔法のような素晴らしい物を期待するのは難しいです。一方で、こういったやり過ぎ感のあるトレーラーが私達に夢を見せてくれたのも事実でしょう。
若いころのおもちゃのコマーシャルを思い出さずにはいられません。爆発の中をアクションフィギュアが飛び越えて、泥の中をかき分ける......そして実際に購入して手にとると、ただのおもちゃ、それ以上でもそれ以下でもないおもちゃでした。
この宣伝による期待は会社の成功にとって必要であり、また同時に会社の成功を傷つけるものでもあります。特に巨大企業の持つような技術や開発者を持たない小さな会社の成功にとっては大きな意味を持つのです。
消費者の目を引くためには大きな期待を持たせないといけない。しかし、一度注目を浴びた後、最後までついてくるようにできるのでしょうか?
確かに、受動的なエンターテイメントである映画とインタラクティブなエンターテイメントであるゲーム。この2つを同じやり方で宣伝して、上手くいくということは考えにくいですよね。
一方で、ゲームも映画も宣伝が本編より上手く作られていると「期待を高めておきながら結局こんなものか」、「これは宣伝されていたものと全然違うじゃないか」なんて思われてしまうのは共通しています。これに関しては、作り手も見る側も注意しないといけないのかもしれません。今は昔と違って、あまり大らかな時代ではない気もしますしね......。
[via Kotaku]
Super Mario Galaxy 2 (Wii) E3 Trailer[YouTube]
Call of Duty 2[YouTube]
THE VOID[YouTube]
(abcxyz)
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