『極道大戦争』で想像を超える超展開な「やくざファンタジー」を描いた三池崇史監督と、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で30年ぶりに完璧なポストアポカリプス世界を創造したジョージ・ミラー監督の、夢の対談が実現しました。
【大きな画像や動画はこちら】
ジョージ・ミラー(以降、ミラー):(トップ画像のマッドマックス仕様のKAERUくんを見て)コイツはなんていう名前だい?
三池崇史(以降、三池):"KAERUくん"です。
ミラー:ミスター・フロッグ!? ファンタスティック!! このキャラクターのアイデアはどこから生まれたんだ?
三池:日本には「ゆるキャラ」というのがありまして(笑)。『極道大戦争』は偉そうなことを言う映画じゃないので、ゆるキャラを主役にしたんです。『ザ・レイド』というアクション映画に出演していたヤヤン・ルヒアンも、この映画に出てくれました。
ミラー:(『極道大戦争』のプレスシートを見ながら指さして)彼かい?
三池:いえ、それは日本の俳優で市原隼人といいます(笑)。
――実は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と『極道大戦争』は同じ6月20日に公開されます。
ミラー:なに、それは本当?
三池:はい、『マッドマックス』の影に隠れて公開されます(笑)。
ジョージ・ミラー監督も興味津々のKAERUくん
トム・ハーディとKAERUくんは似ている!?
――『極道大戦争』は三池監督が久々に原点回帰したアクション映画です。
ミラー:私と一緒だな!
三池:本当はトム・ハーディと一緒に仕事をする予定だったのですが、クランクイン直前に彼の都合でできなくなって、自分のスケジュールが空いたんです。それで、何かやろうと思って作ったのが『極道大戦争』です。
ミラー:どうりで、ミスター・フロッグがトム・ハーディに似てると思ったよ(笑)。
三池:今年のカンヌ映画祭で『マッドマックス』がワールドプレミアで上映されましたよね? 『極道大戦争』もカンヌの監督週間で上映されたんです。やっぱり常に僕の映画は『マッドマックス』の影にいるなと思って(笑)。
ミラー:カンヌは楽しかったかい?
三池:今回は新作を撮っていたので行けなかったんです。それで、せっかく来ていただいたお客さんへのお詫びに、僕が着物を着て女装したカードを配ったんです(と、カードを見せる)。
ミラー:これは映画の中で三池監督が演じた役かい?
三池:いえ、僕は出てないんですが、せっかく集まってもらった皆さんに、すいませんという気持ちをこめて作ったんです。
ミラー:......とってもキレイだよ(一同爆笑)。
三池:僕は若いころジョージ・ミラーさんにすごく影響を受けたので、今回、こういう場を設けてもらって、とても光栄に思っています。『マッドマックス』シリーズのファンだった自分が今、こうしてミラーさんとお会いして、マックスを演じたトム・ハーディとも仕事の打ち合わせをしていた。そんな繋がりが生まれるのが、映画の持つ力だと感じています。
ミラー:そう、新たに『マッドマックス』を作ったおかげで、三池監督をはじめ世界中のフィルムメーカーから嬉しい言葉をもらえた。私もいい作品に出会うと非常にエネルギーをもらえる。この映画が皆さんからそういう言葉をもらえる作品になったのが、本当に嬉しいね。
三池:作品そのものも非常に楽しんだし、最高に興奮したんですが、同時に僕ら映画を作る人間からすると、『マッドマックス』を観てしまうと、世界中の映画人は物を作れない理由を状況のせいにできなくなったなと思ったんです。「作るか、作らないかだけ。それはアナタの問題だ」と、ミラーさんからエネルギーをがんと突きつけられたような気がしました。
ミラー:1週間前にスティーブン・スピルバーグから電話をもらって、今、三池監督が言ってくれたようなことを彼もすごく興奮しながら言ってたんだ。私もスピルバーグをはじめ、ロバート・ロドリゲスやJ・J・エイブラムスといったアメリカのフィルムメーカーからエネルギーをもらって、もっと映画を作りたいという気持ちになったからね。
三池:ただ、最近の僕は、最初に映画を撮りだした頃の情熱はまだあるつもりなのですが、自然と湧いてくるわけじゃなくて(笑)、自分で自分を焚き付けないといけなくなっているところがあるんです。
ミラー:映画を作り始めたときは、みんな熱意と情熱だけだったからね!
三池:そうなんです。今回の『マッドマックス』を観て、これから映画を続けるには、辞めるか原点に戻ってもう一回ゼロからやるか覚悟しなきゃいけないと思いました。
三池:ところで、映画の中で、この演出は僕にもできるっていうのが一つだけありました。
ミラー:どこだい?
三池:(頭の後ろに手をやって鉄仮面を取り外そうとする仕草をしながら)カシャカシャカシャってやつです。
ミラー:ハハハハ!!!
三池:トム・ハーディが装着させられた鉄仮面を外そうといつも手を動かしているのは、脚本にも書かれていたんですか?
ミラー:そう、はじめからあった設定なんだ。とにかくマックスは自由になるために脱出しようとしているので、あの顔を覆う仮面が相応しいと思ったんだ。
三池:あれはヤスリさえあれば僕の映画でもできる(笑)。あれ以外は、とても自分には撮れないと思いました。
ミラー:三池監督なら他のシーンも撮れるさ!
鉄仮面をつけられ、車に括りつけられるマックス
無残にもデコトラに轢かれるKAERUくん
KAERUくんとマックスは、どうやら車運が無いという点でも似ているようです。
固い握手を交わして対談を終えた三池監督は、ミラー監督の印象を「KAERUくんのことを聞いてきたり、好奇心の塊みたいな人でした。そのエネルギーがすごいなと思いましたね。自然体でカッコいい人ですよ」と語っていたとのこと。
さらには「日本と違って、ハリウッドで監督していくのは作品をプロデュースしていく力が重要なんですよね。いろんな人間たちを選んで良い仕事をさせる環境を作るというのが監督にも求められる。バジェットが広がれば広がるほど、その能力が重要なんだろうなと思います。ミラーさんみたいにクレバーじゃないとできない。それで『マッドマックス』を作るんだから、狂気を感じますよ(笑)」と絶賛していたそうです。
『極道大戦争』は6月20日(土)TOHOシネマズ 新宿ほか 全国ロードショー。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、6月20日(土)、新宿ピカデリー・丸の内ピカデリー他2D/3D&IMAX3D公開。
写真:金井尭子
(C) 2015「極道大戦争」製作委員会
c2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED
[『極道大戦争』公式サイト]
[『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイト]
(スタナー松井)
関連記事
- 確定申告を高速化! 全自動のクラウド会計ソフト「freee」で16連射すると...?
- コンビニで買える! 支払い地獄を避けられるVプリカギフトの天使な使い方
- スタートアップ企業がやるべき 「PRを駆使した伝え方」とは
コメント
コメントを書く