映画のタイトル同様、ゲームのタイトルも元々の名前と他国発売版の名前が違うことがあります。検閲の場合もあれば、国によってはヒワイな意味になってしまうから、名前を変えたほうが売れるからといった理由も......。
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しかし、時にまったく理解できない理由で名前が変更されていることもあるようです。そこで今回は、海外版がおかしな名前へ変更されてしまったゲームタイトルの数々をご紹介。日本のあの作品も......
■『BULLY』
日本語に訳すと「いじめ」
変更後のタイトル:『Canis Canem Edit』(イギリス版)
理由:日本版も発売されている『BULLY』(ブリー)は学園生活を描いた作品で、発売前からそのタイトルからアメリカだけでなく、ヨーロッパでも議論を巻き起こしました。
特にイギリスにおいては、開発元のRockstarがタイトルを『Canis Canem Edit』に変更、それでも、いじめ防止団体は販売に反対するキャンペーンを行っていました。さらに、このゲームに「15歳以上」という年齢制限を下したイギリスのレーティング団体は、制限の年齢が低すぎると批判されています。
『Canis Canem Edit』はゲーム中の学園のモットーのラテン語で、英語では「dog eats dog」、「食うか食われるか」といった意味です。元々はPS2用の作品でしたが、その2年後にXbox 360とWii向けに内容をアップデートしたバージョン、『Bully: Scholarship Edition』(日本版『BULLY』はこちらがベースとなっている)が発売されています。なお、この際にはタイトルはそのままでした。しかし、名前がそのままでもやはりこの時も発売にあたって批判を受けています。
■『魂斗羅』
ロボットに見えるように変更
変更後のタイトル:『Gryzor』の後『Probotector』(ヨーロッパとオセアニア版)
理由:アメリカでは日本版からとられて『Contra』というタイトルのままですが、当初PAL地域向けにはアーケードゲーム『Gryzor』として登場しました。「Grazer」なら草食動物や放牧者といった意味になりますが、なぜ『Gryzor』というタイトルになったかは謎です。
ある説では改名の背景には、米国がイランへ武器を売った金を「コントラ」というニカラグアの反共ゲリラ援助に使っていたとされる、80年台の政治スキャンダル「イラン・コントラ事件」(Iran-Contra Affair)があるのではないかと考えられています。このゲリラの名前「Contra」は、もともとスペイン語の「la contrarrevolución」、「反革命」という言葉の略だそうです。
その後『魂斗羅』は別の理由で再度名前の変更を余儀なくされます。それはドイツの検閲法のため。ゲーム中の人間やエイリアンの敵達はロボットに見えるように変更され、タイトルもその変更に合わせて「ロボットのプロテクター」だから『Probotector』(プロボテクター)となりました。
PAL地域で検閲されていない初の『魂斗羅』シリーズ作品は、1996年の『Contra: Legacy of War』でちゃんとタイトルにも『Contra』と入っていますが、日本では未発売です。
[Image via Movie-censorship.com]
■『Elebits』
フランス語で「性器」だから?
変更後のタイトル:『Eledees』(ヨーロッパとオセアニア版)
理由:コナミの電気生物を捕まえるゲーム『Elebits』(エレビッツ)。ヨーロッパとオセアニア版ではタイトルが『Eledees』(エレディーズ)に変更されているものの、公式な説明はありません。
この変更の理由には諸説あり、ダジャレ(LED>エルイーディー>エレディーズ)ではないか? というものや、フランス語で性器を意味するからだろうという説も。
■『メタルギア ゴーストバベル』
マーケティング目的?
変更後のタイトル:『Metal Gear Solid』(日本国外版)
理由:もともとコナミヨーロッパから、ゲームボーイカラー向けの『メタルギアソリッド』移植作品を作って欲しいと要望があったために作られた本作。
結局全く違ったゲームとなり、どちらかと言えばMSX2用に発売された最初の『メタルギア』を元にしたファンフィクションといった雰囲気で、ストーリーもその7年後を描いています。それでも『Metal Gear Solid』(メタルギアソリッド)という名前に変更された理由は、シリーズファンサイトSnake Soupによれると、「マーケティング目的」なんだとか。
[GIF via Metal Gear Wiki]
■『Mortal Kombat: Deception』
翻訳の問題?
変更後のタイトル:『Mortal Kombat: Mystification』(フランス版)
理由:2004年の夏、『モータルコンバット』シリーズ最新作の副題「Deception」(偽り)のフランス版のタイトルは変更されるとすでに噂されていました。当初パブリッシャーであったMidway Gamesはその噂を最初は否定するものの、後にタイトル副題が「Mystification」(英語では「神秘化」)になると認めています。
同年10月に発売となったこのゲーム、Midwayはこのタイトル変更を「翻訳の問題」のせいだとしています。Google翻訳先生によればフランス語で「déception」は「失望」という意味になってしまいますから、タイトルの変更もうなずけます。
■『パックマン』
フ●ックと書かれないように
元々のタイトル:『Puck Man』
理由:『パックマン』開発者である岩谷徹さんは、もともとは日本語で食べ物を食べる際のオノマトペ「パクパク」からこのゲームを『パックマン』と名づけました。ローマ字表記では当初『Puck Man』とされ、最初のアーケードゲームではそのまま、1980年5月に行われた最初の実地テストでも、その表記の筐体が使われました。
後にパブリッシャーであるナムコが西洋で発売する計画をたてた時に、アメリカでの販売業者であるMidwayが、このままでは筐体に落書きされて簡単に「Puck」を「Fuck」に書き換えられてしまうだろう、と通知。ナムコはこうしてローマ字表記名を『Pac-Man』と変えたのでした。
[Image via Wikipedia]
■『ラチェット&クランク』シリーズ
訳すと下ネタ......
変更後のタイトル:ヨーロッパとオセアニア版の続編タイトルはほとんどすべてが別の名前に。
理由:場合によっては『Ratchet & Clank: Going Commando』(「Go commando」で「ノーパンでズボンを履く」という意味に。日本版タイトルは『ラチェット&クランク2 ガガガ!銀河のコマンドーっす』)や『Ratchet & Clank: Up Your Arsenal』(「Up your arse」で「ケツに突っ込め」、日本版は『ラチェット&クランク3 突撃!ガラクチック★レンジャーズ』)のようにわかりやすい理由で名前が『Ratchet & Clank 2: Locked and Loaded 』、『Ratchet & Clank 3』へと変更されています。
でも『Ratchet & Clank: Size Matters』(「Size matters」は主に男性器を差しての「大きさが問題」といった意味。日本版は『ラチェット&クランク5 激突!ドデカ銀河のミリミリ軍団』)はなぜか名前の変更はなし。でも『Ratchet & Clank: Full Frontal Assault』(「Full frontal」で前面をはだけた「全裸」の意味)の名前は『Ratchet & Clank: QForce』に変更されており、日本語版もそちらからとられて『ラチェット&クランク 銀河戦隊Qフォース』となっています。
しかしよりランダムに名前が変更された作品もあるようで『Ratchet: Deadlocked』(「Deadlock」は「行き詰まり」。日本版は『ラチェット&クランク4th ギリギリ銀河のギガバトル』)はなぜか『Ratchet: Gladiator』(グラディエーター)に。そして『Ratchet & Clank Future』(『ラチェット&クランク FUTURE』)シリーズは何故だかPAL地域では「Future」(未来)の部分が省かれています。理由は不明です。
■『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』
ニンジャ観の問題?
変更後のタイトル:『Teenage Mutant Hero Turtles』(ヨーロッパの数か国での初期のゲーム版のみ)
理由:ヨーロッパ圏の数カ国では「忍者」がタブーだったようで、検閲されています。『Teenage Mutant Ninja Turtles』(ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ)フランチャイズの「ニンジャ」が「ヒーロー」に置き換えられて『Teenage Mutant Hero Turtles』となっているのです。
ゲーム版ではタイトル以外での変更はありませんが、イギリスのTV版ではミケランジェロのヌンチャクは完全にカットされ、シーズン3以降ではヌンチャクがグラップリングフックに変更されてしまいます。
他にも「ニンジャ」の犠牲となった作品には『忍者外伝』シリーズも。こちらはヨーロッパの数カ国では『Shadow Warriors』と改名されて発売されています。
[Image via Rockethideout.com]
■『V-Rally』
関係ないのに......
変更後のタイトル:最初の2作品が『Need for Speed: V-Rally』、『Need for Speed: V-Rally 2』(北米版)
理由:プレイステーション向けの『V-Rally』三部作はフランスのEden Studiosにより制作されたシリーズです。しかし北米ではパブリッシャーが『ニード・フォー・スピード』シリーズも販売しているエレクトロニック・アーツだったことから、関連性は全くないにも関わらず最初の2作品を『ニード・フォー・スピード』作品としてマーケティングしました。
奇遇にもエレクトロニック・アーツの『Motor City Online』はもともと『ニード・フォー・スピード』タイトルとして開発されていましたが、開発中にシングルプレイ部分を省く決定とともに『ニード・フォー・スピード』という名前も削除されています。
[Image via GameFAQs]
■『UFO: Enemy Unknown』
UFO消失
変更後のタイトル:『X-COM: UFO Defense』(北米版)
理由:不明です。元々のヨーロッパ版タイトルの「UFO」が北米版で「X-COM」となって以降、シリーズの「UFO」部分は世界的に謎の消失を遂げ、シリーズは「X-COM」シリーズと呼ばれるようになりました。
少なくとも『UFO: Enemy Unknown』が発売されて18年後である2012年に出たリメイクでは、「Enemy Unknown」の部分だけは当時のまま、『XCOM: Enemy Unknown』となっています。
[Image via GameFAQs]
以上、発売地域によって名前が変わってしまったゲーム10作品でした。名前が地域で変更されたタイトルはまだまだたくさんあり、有名ドコロでは『バイオハザード』が「Resident Evil」だったり、『ロックマン』が「メガマン」だったり、『戦国BASARA』が「デビル・キングス」となっていたりします。
タイトルの変更にはさまざまな事情があるようですが、まだまだ地域で違う名前の作品を知りたいという方は米Kotakuコメント欄でも沢山紹介されているので、そちらもどうぞ。
[via Kotaku]
(abcxyz)
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