生き物を玩具にしてはいけません!
フィラデルフィアを拠点とするAnalog Watch Co.が披露した最新の商品は、腕時計に3~5匹のアリを入れた、なんとも不思議なプロダクト。
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このネタを伝えたio9によると、同社はこの商品を「生物と対話する作品」と説明しているそうです。恐らくエイプリルフールのネタだと思われますが、真偽のほどは...?
この「Ant Watch(蟻時計)」の配送開始は4月とされており、セット内容は、
1. ガラス瓶に入った生きた蟻5匹
2. 砂
3. 餌/水用スポイト
4. ピンセット
5. ケース開閉用ツール
6. 飼育方法ガイドブック
とのこと。
この蟻時計を組み立てる前に、ガラス瓶に入った蟻を冷蔵庫に10分程度入れて眠らせる(仮死状態?)と作業しやすいというアドバイスも。同梱のピンセットは、蟻を時計の中に入れるために使用します。
製造業者によると、蟻の餌は砂糖水を1ヶ月に1~2回あげるだけで良いのだとか(この企画そのものが真実かどうか不明なので試さないでください)。それで4~6ヶ月は生きるとされています。さらに、その寿命に合わせて新しい蟻が送られてくるそうです。
さて、この時点ではジョークなのかどうか判断が付きにくい蟻時計を、io9のジョージ・ドヴォースキー記者が事実を確認すべく、Analog Watch Co.に電話で直撃。しかし、留守番電話に飛ばされてしまい直接会話することはできなかったとのこと......。
しかし、The Dodoのスティーブン・メッセンジャー記者は、蟻時計のクリエーターであるマイラス・ブー氏と会話に成功。その時に聞き出した内容を引用して、ご紹介します。
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「一見、動物虐待だと感じさせるので、ビックリするかと思いますが、蟻の寿命を縮めているといったことはありません」とThe Dodoに話したブー氏。巣となる砂もあれば、食べ物や仲間もいるため、蟻にとって問題はないと彼は考えているようです。
「蟻は可愛らしいわけでも、哺乳類のように抱きしめたくなるような外見をしているわけでもありません。そのため、人は蟻を蔑ろにしがちです。しかし、私たちは動物に敬意を表そうと、できることをやっているのです。これは人の腕に装着した生き物との対話です。蟻が作ったものを見て楽しむことができます。人々の腕をこれまでとは全く異なる構造のもので彩ることができるのです。
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例えブー氏が「問題ない」と言っていても、こんなに狭い空間に閉じ込めるというのは、蟻がストレスを感じたり、閉所を怖がったりといった感覚があるかどうかに関わらず、気の毒であり、見ていて気分がいいとは思えません。
また、「動物に敬意を表する」のであれば、こんな方法でなくともできるのではないでしょうか? 確かに蟻の巣の観察をするために、水槽に数匹の蟻を入れるということはありますが、ここまで狭くはありません。
io9のドヴォースキー記者も、「最新の科学では昆虫の脳は人間が考えていたよりも遥かに優れているということを示しており、こんな小さな空間に閉じ込めて腕につけるといった生き地獄を味合わせるようなことはすべきでない」とコメントし、怒りをあらわにしています。
さて、そんな動物虐待とも受け取れる蟻時計――やはりエイプリルフールのネタだったことを、Analog Watch Co.がThe Dodoにネタばらししたそうです。生き物を使ったことで各所から非難されたのでしょう。
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先日の主張を一転させAnalog Watch Co.が、The Dodoに「蟻時計」はエイプリルフールのネタだったということを認めました。反動が凄まじかったそうです。
「それはそれは強烈でした。自分としては明らかに現実的ではないアイディアだと思っていたのです。私たちは風変わりで奇妙なダイアログを作りたいとおもったのですが...。」とブー氏。
「2つのプロトタイプを作る過程で、断じて蟻を傷つけてはいません。」
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エイプリルフールのネタも、純粋に笑えるものが良いのかもしれませんね。そこが難しいところではあるのですが......。
(中川真知子)
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