WETA DIGITALが映画『猿の惑星:新世紀』のVFXの裏側を公開しました。猿を演じる俳優たちの動きや毛を滴る水を表現するソフトウェアの開発など、感心させられることが多々ある内容となっています。
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以下より、動画とその要訳をご覧ください。
VFXチームは、人間と共演しても違和感のないレベルの猿を作る必要がありました。監督は才能ある俳優に人間役の俳優と共に同じ舞台で猿を演じさせることで、より洗練された演技を引き出しています。
さらに、雨や雪、みぞれといった悪天候のセットにも対応できるようなキャプチャーの道具を開発する必要がありました。モーションキャプチャー用のカメラにワイヤレス技術を開発しただけでなく、マーカーには激しい動きにも耐えられるようにプラスチックやゴムといった素材のカバーを施しています。これらは日中の屋外でも読みとることが可能です。
猿役の俳優と人間役の俳優を共に演じさせることで自然な演技を引き出すことに成功していますが、猿の腕は人間のそれよりも長く、足は短いといった特徴があり、猿役の俳優が演じた動きを猿の体に当て込んで行く作業は一苦労でした。
そして、猿の顔の動きは人間の動きとも随分異なります。アニメーターは常に個々の猿役俳優のフェイシャルモーションを猿のキャラクターにどうやって当て込んでいくべきかということにも頭を悩ませたのです。
足と手の指にはマーカーを付けず、それらは撮影した際のデータを参考にしながらモーションを手付けしています。飛び散る汗や唾といったものもキャプチャーでは得られないので、マニュアルで付けているのです。同様に、感情的になった時に流れる涙や目の充血も、目のモデルをオーバーホールしてアニメーションを手付けしています。
猿の毛や肌質に力を注いでおり、正確で詳細なものを再現するために新しいソフトウェアを開発。特定の猿には100万以上の毛の束が付いています。あるシーンには1000匹以上の猿が映るため、それらの要素の管理は非常に重要な作業だったのです。
猿の他にも、荒廃したサンフランシスコを再現しています。サンフランシスコの街並みを写真撮影し、その画像を元に、建物を退廃させたり、植物を生やしたりし、さらに3Dでつくった木や壊れた車などを配置しています。それらにアニメーションをつけ、レンダリングしています。
このデジタルサンフランシスコは、まず軽い容量のデータで数マイルに渡り実際のサンフランシスコを再現することから始まりました。退廃し、草木がボウボウと茂った仮想のカリフォルニアストリートは、シーンに応じて破壊されるようになっています。そこにエフェクトチームが作った煙や炎といったものが追加されているのです。
人間が住む高層ビルは、実際に南アメリカやアジアにある途中で建築が中止になった建物を参考にしています。そこに現代の建物の建設現場にみられる機械部分や瓦礫、機械部分といったものを加えることで、最後のシーザーとコバの対決シーンにおいて、崩れ落ちるシーンをよりリアルにドラマティックに見せているのです。
[Via Comic Book Movie via io9]
(中川真知子)
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